俺が勝利した事は歩兵道協会にすぐさま知れ渡った。しかし今回勝利した対戦中学がそこまで強豪ではなかった事、そしてレギュラーではなく2軍であった事が、今回の勝利した事に対する評価となってしまった。俺としては欲望が満たされた事で大満足であったが、同好会のメンバーは違った。俺の努力、自分達の努力をを否定されたと落ち込んでしまった。
「落ち込むなよ」
「落ち込むだろ。見てみろよこの書き込み」
表示されている掲示板内容は、今回の歩兵道VS戦車道に対する書き込みだった。
『2軍相手に勝利しても・・・』
『2軍だろ?1軍でそれもレギュラーでもない奴に勝ってもな・・・』
『そもそも対戦相手は戦車道でも弱小ですからねww』
そこには歩兵道が勝利できたのは相手の弱さが原因だ・・・という大量の書き込みがあった。ならば、対戦先を此方が指定してやればいい。
「戦車道で強豪と言えば何処だ?」
「そうだな。サンダース大学付属高校、聖グロリアーナ女学院、プラウダ高校・・・そして黒森峰女学園」
「なら、その4高・・・全てと対戦しよう。それもレギュラーメンバーと」
「な!!・・・それは無理だ」
「何故だ?」
「この4高はレベルが高すぎる。今回の対戦相手と比較すると、子供と大人を比べるようなものだ!」
「それでいいのか?」
「何!!?」
「それでいいのか?今度もまた勝利したところで、また同様の言い逃れをされるぞ?ならば俺達が高校に進学するまでの後1年、色々準備を固めようじゃないか」
それから俺達は1年と言う歳月で高校進学への準備を開始した。進学先に歩兵道があるのか?あれば規模は?予算は? 歩兵道が無ければ同好会を作る条件は?等々
俺達は着々と準備を進める。そして4高についても調査を開始する。
現在の隊長は? 隊長候補は? その人物の性格は?
何を信念としているのか
それを踏み潰したらどうなるのか?
高校入学後、戦車道の全国大会が終了した。常勝だった黒森峰が敗北したことで、黒森峰は現在他校との練習試合は受けていない。ならばサンダース大学付属高校、聖グロリアーナ女学院、プラウダ高校の3高に絞られる。
この1年考えた結果、最初はお嬢様学園である聖グロリアーナ女学院とすることとした。恐らく相手にはされないと思うので、お嬢様にケンカを売ることにした。
聖グロリアーナ女学院は定期的に戦車道の練習風景を一般公開しており、俺はそれに足を運んだ。流石・・・強豪高と言ったとこか。戦車の操縦錬度、砲撃錬度等が高いことは素人の俺が見ただけで高いと判断できる。
俺は近くに居た聖グロリアーナ女学院の戦車道メンバーに声をかけた。大人しそうな可愛い子だ。
「すみません」
「な・・なんでしょうか?」
「聖グロリアーナ女学院はどうして、あんな戦車を主力としているんですか?」
俺の言葉で女の子は顔を顰めた。
「あんな戦車?」
「ええ、もっと火力のある、高機動な戦車を運用しないのですか?」
「聖グロリアーナ女学院の保有車輌はチャーチル歩兵戦車mk.Ⅶ、マチルダⅡ歩兵戦車mk.Ⅲ/Ⅳ、クルセイダー巡航戦車mk.Ⅲなどです。クロムウェル巡航戦車も保有していますが現在故障中です。硬い装甲の歩兵戦車で正面からじりじりと敵を追い詰め、足の速い巡航戦車で背後を取るといった戦術を得意とします。唯単に強い戦車を運用し、勝利するのは下品な戦い方は行いません!」
少し不機嫌になってしまった。
「しかし準決勝で、あなたの言う下品な戦いを行う黒森峰に敗北していますが、そこはどう考えますか?自分達が否定する戦術に負けるという事は、自分達の戦術は下品未満のクソ戦術と言えませんか?」
「な!!」
「だってそうでしょ?下品未満といえばクソですよね?」
「取り消しなさい!!」
「どういうことですか?」
「そのままの意味です!!今の言葉取り消しなさい!!」
「そんなに怒らなくてもいいじゃないですかww所詮素人の、それも男の言ってる事ですから」
そこへ
「どうしたのかしらペコ?」
上品そうな2人の金髪美人が登場した。
「彼方が殿方と言い争っているという話を聞いて来てみれば」
「どういう状況ですか?」
俺と言い争いをしていた女の子はペコと呼ばれているらしい。そして目の前の金髪美人はダージリンとアッサムだ。ペコと呼ばれる子に関しては調査していないが、この2名については現隊長と副隊長という事で調査済みだ。
ペコがダージリン、アッサムに事情を説明し、
「確かに彼方のいう事もわかります。しかしペコがいう通り彼方の発言は我々いえ、聖グロリアーナ女学院を侮辱した事と変わりありませんわ。発言を撤回する気はあるのでしょうか?」
「大げさではないですか?天下の聖グロリアーナ女学院の隊長さんであるダージリンさん?」
「分かっていてケンカを仕掛けられたのですか?」
「ケンカ?いやですね。ケンカなんて仕掛けてませんよ。ただ」
俺は彼女達の側まで歩いていく。それに対し周囲は動揺したが、彼女達は動揺しない。この程度で動揺していれば威厳に関わるだろう。
「ケンカ?いいえ、これから始まるのは、俺と彼方達との男と女を掛けた戦いですよ」
俺は彼女が持っている紅茶をスルリと奪い、そのまま頭の上に持っていき
「彼方は美しい、だが、これでもっと美しくなる」
そういい、紅茶を彼女の頭に掛けた。そしてカップを放り投げ
「美女がビジョビジョってね。では近いうちにまた」
俺は放心状態の彼女達、周囲の人間を尻目にその場を立ち去った。
かっよく立ち去ったと思うか?残念ながら違う。
横浜市内を何百人もの女子生徒に追いかけられるのは男として夢であると思うが、目が血走り、手に何らかの凶器を持っている女子生徒はお帰りになって欲しい。
5時間近く彼女達から逃走し、家に帰った俺はシャワーを浴びた後ベットに横になる。
「紅茶を奪うのではなく、唇を奪えばよかったか・・・」
そうなれば相手はもっともっと怒るだろう。俺を殺しに来るだろう。
お前が絶望するときの顔はどんな顔だ?俺のコレクションのベスト5に入るだろうな。そんな事を考えつつ眠りについた。