歩兵道   作:yudaya89

5 / 8
第05話『楽しいだろう戦車道って・・・』

 約束を守らない人間へ俺は容赦はしない。二度と戦車に乗れない強烈なトラウマを植え付けてやろう。という思いを胸に秘め、試合の準備を進めていく。当初はダージリンと正々堂々と正面から試合をするつもりだったが、相手が約束を守らないのであれば俺も容赦しない。彼女達やその他戦車道を受講している女性達が一瞬戦車に乗る事を躊躇する、若しくは辞めたくなる様な光景をみせてやろう。

 

 

 そして試合当日、会場には様々な学園の生徒の姿が見える。今は笑っている彼女達の表情が試合が終わった際にどんな表情になるのか・・・そして目の前にいる今日の対戦相手である聖グロの生徒の表情もどうなるのか。彼女は聖グロのレギュラーメンバーであるが、ダージリンには遠く及ばない。何故そんなモブ的な生徒を俺の対戦相手に選んだのか?恐らく偵察の意味だろう。俺の実力がとの程度なのか?それを彼女で測るつもりだろう。

 

 

 今回は砂漠が試合会場であり、天気は晴天、気温は試合が進むにつれ上昇するだろう。そして俺の装備は砂漠と同色の迷彩服、大型拳銃1丁、大型の工業用ハサミ1つ、ウインチ、そして火炎瓶。勿論火炎瓶の攻撃判定は15m以内となる。そしてもう一つ追加した装備がある。それは大型の水筒だ。砂漠で天気が晴天であれば脱水症状となり、最悪の場合死に至る。それを防止するための大型の水筒だ。因みに特別使用であり、戦車に踏まれても破損せず、充填量は4Lだ。まぁ持ち運びが少し難しいのが難点だがな。

 

 

 

 この試合で彼女達が勝つ方法は至って簡単だ。そう、試合開始地点から動かない事だ。これに関しては今回の試合だけに限ったことではない。しかし彼女達は試合開始とともにその場から動く傾向がある。俺はその理由を考察し、そして一つの理由に辿り着いた。そもそも歩兵道と戦車道では攻撃範囲が異なり、歩兵道は15m以内、戦車道に至っては戦車の砲撃距離となる。最大で3km?4km?それだけ差があるのだ。ならば試合開始と共に歩兵道を攻撃する事で、相手に一発も撃たせずに倒す事が出来る。しかしルールでは歩兵道に関しては、自分たちの好きなところから開始する事が出来る。そうなれば歩兵は戦車に先制攻撃が可能となる。15mという制約があるが、攻撃の有効性が15mであり、攻撃自体は実施しても良いという事だ。過去に15m以上離れて攻撃した事例もある。そうなれば自分達より劣る男共がチンケナ銃器で鉄壁の戦車に攻撃を行ってくる。その無意味で無駄な攻撃で戦車を傷つけたくないという理由で試合開始と共にその場から離れるという暗黙のルールが出来上がっている。これは誰も教えていないし、教わっていない。

 

 

 しかし今回の対戦相手は聖グロであり、その後ろにはダージリンという優秀な指揮官が鎮座している。もしも彼女が今回の相手に「試合開始から相手が近寄ってくるまで動くな」という命令を与えている可能性がある。それを考慮して、今回火炎瓶を持ち込んだ。火炎瓶というところに意味がある。爆発物系は意味をなさない。これにより戦車が試合開始時点に居ようが居まいが関係ない。

 

 

 

 俺は試合開始前に数百m離れた所に移動し、その状態で試合が開始される。相手は少し可笑しな動きをした。開始直後に数m動いたと思ったら、直ぐに動きが止まった。そしてそのまま動かなくなった。恐らくダージリンの指示だ。視界を確保し俺の姿を視認しやすくする。戦車内は暑さ対策が実施されているが、俺は暑さ対策を実施していない。彼女達は俺が暑さに耐えかねてノコノコ出てくるのを待てばいい。勿論俺がそんな面白みのない行動をするはずがない。

 

 彼女達が動かない場合の対応は至って簡単だ。こちらも待てばいい。いくら戦車内の暑さ対策が出来ているとはいえ、炎天下の砂漠で鉄の塊が動かなければ、短時間で戦車内の温度は上昇する。そうなれば彼女達の集中力、判断力は大きく低下する。その時に悠々と正面から攻めればいい。

 

 

 

 昼過ぎになり気温は試合開始時よりも数度上昇した。

 

 

 「頃合だな」

 

 俺は潜んでいた砂山から相手戦車に向かって走り出した。相手の戦車の砲身、機銃を見る限り俺にまだ気付いていない。そして20m程度の時点で相手の砲身が動いた。遅い!遅すぎる!!俺は手にしている火炎瓶を戦車に向け投げつけた。

 

 攻撃判定は勿論ない。しかし俺の目的はそこではない。相手の戦車に火を付けることが目的だ。唯得さえ暑い状況に対し熱い物を追加する事で戦車内の空気は一気に熱しられ、乗員の状態も悪化する。そして砲身、機銃の命中精度が低下する。こんなに近くにいる俺に機銃は当たらない。俺と距離を取り砲弾を撃ち込みたいところであるが、先の火炎瓶の影響でエンジンがストールしており、再始動も上手くいかない。よって砲弾は使いにくい。

 

 

 もしも砲士、操縦士、車長といった面々が冷静な判断を下しておれば俺はここまで近接できなかっただろう。車長の索敵が疎かでなければ、砲士が熱膨張による砲弾の軌道修正を行っていれば、操縦士が無理な始動でプラグを燃料で濡らさなければ・・・きっと彼女達は俺に勝てただろう。しかし現実は俺の勝ちのようだが、彼女達はそれを認めないだろう。俺が幾ら大型拳銃で威嚇しても彼女達は見向きもしないだろう。彼女達はダージリンを信頼しており、彼女の作戦が俺如きに破られた事を認めない。

 

 ではどうする?

 

Q、一人ずつボコボコにして意識を飛ばして戦闘不能にするか?

A、否、野蛮人すぎる。

 

Q、一人ずつ外に連れ出し灼熱の大地に正座させるか?

A、否、3時間そこらで気温が下がる。意味がない。

 

Q、作戦通り、彼女達に負けを認めるように仕向けるか?

A、応、彼女達の悲痛な悲鳴を!!悲願する表情を!!

 

 

 

 俺は戦車に登り、中の乗員に問いかける

「負けを認めるか?」

「黙れ!!」

「勝負は着いた。これ以上の戦いは無意味だ」

「決着??敗北条件は双方戦闘継続が困難となった場合のみだ。こちらはまだ戦闘継続は可能だ」

「・・・」

「それだけか?私達を舐めるな!!」

 

 

 

 

 

 

「本当に素晴らしい。あなた方の思い、信念は心に響きます。そこまで信念ある皆様に提案です。今から戦車内に有る物を撒きます。それに対し皆様が信念を貫き通せたら皆さんの勝利となります。因みに貫き通せない場合は、こちらの勝利となります。因みに信念を貫けないと判断した場合、今日のダージリンさんのパンツの色を叫んでください」

「ふざけるな!!」

「ふざけていませんよ。至って冷静です。では問います。あなた方は信念を貫きますか?貫きませんか?」

「「「貫く」」」

「それでは」

 

 俺はハッチの横に大型拳銃で人の頭ぐらいの穴を開け、

「今まで暑かったでしょう?これはサービスです」

 そう言いつつ、スポーツドリンクを流し込んだ。そしてこの試合に初めて持ち込んだ大型の水筒(4L)を取り出し、

「この中には何が入っていると思いますか?」

「つまらない質問だな。腐った汚水等で我々が「いえ、これ生き物が入っています」どういう事?」

「今からこの穴から生き物をこの中に放り込みます。そしてこの穴を塞ぎ4時間耐えてください」

「おい!!ちょっと待」

 俺は彼女達の言葉を無視し、生き物を戦車内に解き放った。数十秒後には彼女達の悲鳴が会場に響き渡った。

 

 

 まぁ嫌がるのは無理もない。この生き物って奴は女性だけでなく人間全てに嫌悪感を抱かせている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぶっちゃけ「ゴキブリ」です♪

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。