学校を襲撃され全員シェアハウスへ帰ることができた後、霊夢と咲夜に今後のことについて聞き、考えさせてほしいと言われる。そこからは夕食もとることなく、各々自室へと戻っていった。そして深夜の三時頃。蒼兎はこれからのことを今回のことを踏まえて考えていた。しかし夕食をとっていなかったので、腹を空かせてリビングへ向かった。
「蒼兎。」
「……龍斗か。」
調理場を漁っていた蒼兎は声をかけられる。入口の方には龍斗が立っていた。
「部屋を出ってったから、気になってよ。」
「……まぁ座れ。コーヒーくらいは入れてやるよ。」
二人分のコーヒーを作り、龍斗に渡す。
「……美味いな、コーヒー。」
「転生者殺すために喫茶店を営んだ事もあるからな。」
「……へぇ」
「………」
「なぁ」
「…ん?」
「蒼兎はなんで、転生者を殺すんだ?」
「お前の理由を聞いたら教えてやるよ。」
「……俺は、兄貴が殺されて……茫然自失?みたいな感じになってトラックで轢かれて……教育課に連れてこられて、そこで兄貴が転生者に殺されたことを知って……それでかな?」
「つまりは復讐ってことか?」
「いや、まぁそれもあるけど。犯罪を犯す転生者が許せないんだよ。」
「蒼兎は?俺は答えたぞ。」
「俺が死んだ時に神が目をつけた、以上。」
「……他に無いのかよ、なんで神様達はお前に目をつけたんだ?」
「………チャーム系の特典が効かないからだ。」
「そりゃまたなんでだ?」
「俺の感情が欠損してるからだ。」
「………え?」
「俺には喜びも怒りも悲しみもない。あるのは痛みと絶望と悲しみと憎しみと焦りぐらいだ。」
「…………」
「もうコーヒー飲んだろ?寝ろ。」
翌日、相棒が言っていた通りに学校は休校となっていた。大怪我をした三人は怪しまれないよう体を極力休めて怪我を治す。
「まぁ風華と結衣以外は治療に専念するとして、霊夢と咲夜は、まだ考えてたいか?」
「そうね……でもその間でもできる限りの事はするわ。」
「私も、霊夢と一緒にやれることは……。」
「……まぁいいだろ。」
後にメールで四日間の休校の通知が来る。その間、蒼兎達三人は療養していたがテレビニュースなどでは仮面ライダー同士の戦闘の話題で持ち切りだった。
「あーあ、あることないこと言われてるよ……。」
「覚悟はしてたけど色々キツいな……。」
「安心しろ、俺らを嫌う奴らはこれからもっと多くなる。」
「それのどこに安心する要素があるのよ……。」
「でも、お兄ちゃん達が悪口言われるのはあまりいい気分はしませんね……。」
「仕方ないことではある、この世界は異質だか俺らは異物だからな。」
「でもあんたらは私達のために戦ってんでしょ?なら味方だって言えばいいじゃない。」
「咲夜の時も言ったがこの世界の連中は仮面ライダーの力を恐怖してると共に欲しがってる。自ら正体をバラして狙われるより隠してた方が面倒が少なくて済むんだ。」
そして学校が再開するまでのこの四日間、怪我の治療に専念したおかげか、龍斗と雷華の怪我は目立たない程度にまで治っていた。
「転生者も来なかったから、怪我を治せたな。」
「まだ痛むんだけどね……。」
「俺もまだ重症患者だがな。」
蒼兎は体の至る所にガーゼや包帯を巻いていた。
「その怪我どう誤魔化すの?」
「俺は今日は学校休む、流石にこれは不味い。」
「誰かに面倒見てもらいたいけど……。」
「俺のことは気にしないで学校行け、大人数で休まれても怪しまれるからな。」
お昼過ぎ、昼食を済ませた蒼兎は自室で横になっているとビルドフォンから通知が来る。
「まぁ五日間も空いてたんだから都合よく療養させてくれないよな。」
『まさかその怪我で行くのか?』
「アイツらに学校抜けろって?」
『はぁ、俺も連れてけ。てか使えよ?』
「相棒の場合は強過ぎるんだよ、力加減が上手くいかない。」
ビルドフォンに示されている場所へ向かう準備をする蒼兎。巻いている包帯も動きに支障をきたさない程度まで外す。
「よし……行くか。」
『ビルドチェンジ!』
ロボットフルボトルでビルドフォンをバイクに変形させ、ヘルメットを被り跨る。目的地は学園島森林エリア。移動中、転生者についての情報を見てみる。
「連続強盗殺人で二人ねぇ……特典は……サーヴァント?」
過去の英雄を召喚して従わせる『サーヴァント』。転生者の特典がその誰かであると記載されていた。
「英雄が素直に従うとは思えないがな……?」
『いや、悪の大英雄ならどうだ?』
「どうだろうな。」
「はは、絶好調!絶好調!」
「ああ!特典にサーヴァントを選んで正解だったな!」
男二人が上機嫌にそう呟く。この二人はサーヴァントに強制的に命令できる『令呪』を使って無理やりサーヴァントに一般人を襲わせ金を取ると共に魔力も無理やりに取らせていた。
サーヴァントは魔力供給が無ければ現界に留まることができないが魔力があれば更に強くなる。一般人を襲わせ生命力である魔力を得ることで転生者である男二人は自身のサーヴァントを強くしていた。
令呪によって無理やり従わされているサーヴァント四人。現在は魔力消費を抑えるため霊体化しているがその四人の顔はマスターである転生者への不満で歪んでいた。
転生者二人が奪った金で買ったものを食べながら舗装された森林エリアを歩いていると男の前に一台のバイクが止まる。
「あ?なんだ?」
バイクから降りた蒼兎はヘルメットを外し、転生者二人を確認する。
「間違いないな、こいつだ。」
『サーヴァントは霊体化ってのをさせてるのか?』
「なんか用か?」
「ああ、お前のその命、貰い受けるぞ。」
『スクラッシュドライバー!』
「変身。」
『ロボット イン グリス!』
短時間で変身シークエンスを完了させブレイカーを装備する。
「情報によれば四人だから、手探りに…………!」
ブレイカーのビームモードで牽制する。そのまま行けば転生者を撃ち抜くことができたが、全てのエネルギー弾は弾かれてしまった。しかしそれと同時に実体化したことによって四人のサーヴァントの姿を見せる。
一人は紅い槍を持った青の槍兵。一人は白い旗を持った聖女。一人は手元が見えない騎士風の女性。一人は黒い長髪の片目を隠したシースルーのくノ一。
「全体的に長物が多いな……。」
『相棒……あの紅い槍からヤバい雰囲気を感じる……。』
「ああ、知ってるよ……!」
ブレイカーをアタックモードに変えて構える。
「行け!ランサー!」
それに対して驚異的な瞬発力で蒼兎へ肉薄するランサーと呼ばれた紅い槍を持った槍兵。振り上げられた槍を蒼兎はブレイカーで防ぐ。ブレイカーの杭を突き出しランサーの体を削り取ろうとするがランサーはジャンプで避けて槍を投擲する。
投擲された槍の軌道をブレイカーでズラして止める。着地した直後のランサーを狙い蒼兎は肉薄する。しかしランサーは手を槍へ向けると自動的に手元に向かってくる。後ろを見てそれを確認した蒼兎は向かってくる槍を宙返りで避ける。槍が手元に戻った槍兵はもう一度蒼兎へ肉薄する。
蒼兎はそのままの勢いでサマーソルトキックを繰り出す。突然動きが攻撃に転じたことに驚くランサー。体を仰け反らせてキックをかわすがブレイカーがビームモードになっていることに気づけず蒼兎に至近距離の連続射撃によって胸部や足などに被弾する。
「ランサーは後退しろ!セイバー、迎え撃て!」
「ルーラー!俺達を守れ!アサシン!隙を見て殺せ!」
転生者に指示されたサーヴァント達は逆らうこともできずにそのまま従う。ランサーが後退しセイバーと呼ばれた女性が蒼兎へ向かってくる。手になにかを持っているにも関わらず蒼兎にはそれが見えなかった。
「(相棒の認識阻害………とは違うな……?)」
恐らく横薙ぎに振るわれたであろうセイバーの武器をブレイカーで防ぐ。セイバーと言う名前からして剣であることは間違えないと考え、その刀身を予測して防ぐ。
上段、突きの順で放たれる技の数々を蒼兎はブレイカーと新しく装備したネビュラスチームガンを至近距離で射撃する。しかしセイバーは後退し、エネルギー弾を弾く。
『なんでアイツら全員で攻めてこないんだ?』
「(そりゃこっちが聞きたいね……!)」
「おい、他のライダー共はどうした?」
「さっきから見あたらんが……奇襲じゃないのか?」
「(ああ、そういうことね……。)」
「生憎俺一人だ。」
「そうか……なら、ランサー!行け!」
「ルーラーとアサシンもだ!」
「(やっぱそう来るよな……!)」
龍斗達はシェアハウスへ帰宅していた。休校明けとは言えまだ完璧にことを収めていないため学校は早めに終わったのだ。シェアハウスに着くと蒼兎の姿が無く、リビングに印のついた地図を見つけた。
「あいつ……安静って言ったのに……!」
「とにかくここに蒼兎がいるんだろ!?早く行くぞ!」
シェアハウスを出て、龍斗は結衣とは色違いの赤いレバーがついた二つの窪みの横にある歯車が特徴的なドライバー『ビルドドライバー』を取り出す。ドライバーを腰に巻き、機械的なドラゴン『クローズドラゴン』とドラゴンの成分が入った『ドラゴンフルボトル』を取り出す。
フルボトルを振って成分を刺激する。クローズドラゴンの頭と尾を収納しボトルを装填する。
『WAKE UP!』
ドライバーへクローズドラゴンをセットする。
『CROSS-Z DRAGON!』
レバーを回すとドライバーからパイプが伸び、結衣とほぼ同じような変身シークエンスが始まった。
『Are you ready?』
「変身!」
『Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!』
龍斗を挟むようにして合わさる青いスーツ。更に横からジャケットを着るように装甲が合わさる。龍の顔を模した仮面の戦士に変身した龍斗。その名は『仮面ライダークローズ』。
「その姿は久しぶりだね?」
龍斗が教育課にいた頃に使用していたライダーは仮面ライダークローズであったため、雷華はその頃の姿を久しく感じていた
「何言ってんだ早く行くぞ!」
「はいはい、女の子を急かさないの。」
『ギアエンジン!』
「はい、お姉ちゃん。」
「ありがと」
『ギアリモコン!』
「「潤動(……!)」」
「エボルト……いや、それだとなんか可哀想だから……エーちゃん!」
『愛称ってヤツですか!嬉しいね……!』
『エボルドライバー!』
『コブラ!』
『ライダーシステム!』
『エボリューション!』
『Are you ready?』
「変身!」
『コブラ!コブラ!エボルコブラ!』
『フッハッハッハッハッハ!』
「ところで結衣ちゃん?」
「はい?なんですか霊夢さん?」
「なんでそのドライバー?の声はエボルトじゃないの?」
「さ、さぁ?分かりません……?」
「なんでもいいから早く行くぞ!」
龍斗は跳躍して住宅密集地の屋根を飛んで行く。風華はネビュラスチームガンにロケットの成分が入った『ロケットフルボトル』をセットし引き金を引く。銃口から出てくる煙を右腕に纏わせるとロケットが腕についたように現れた。
「じゃあ二人とも、私に掴まってて。」
「うん!」
「お願いします。」
「では私達は……。」
「悔しいけどここでアイツらが帰ってくるのを待つわよ。」
「じゃあ行ってくるわ!霊夢!咲夜!」
三人は龍斗を追いかけるようにロケットで飛んでいった。