蒼兎達が出てきたのはショッピングモールの非常口近く。龍斗の携帯の位置情報を確認しそう遠くない場所にいることを確認し、風華と雷華が担いでいる倉橋と片岡の二人を起こす。
「おい、大丈夫か?」
「う〜ん……あれ?なんで白神くんがここに?ていうかここどこ?」
倉橋が困惑気味に周囲を見回す。そして思い出したのか蒼兎に焦ったようにたずねる。
「片岡さんは!?私と一緒に誰かに襲われたの!?一緒にいなかった!?」
「落ち着け、横にいるから。お前らが襲われてるところ見て隙をみて連れて逃げてきたんだよ。」
「あ、ホントだ……よかったぁ……。」
「誰に襲われたんだ?」
「分からない……でも手があんまり人って感じしなかった……。」
「(インベス使ったのか……そりゃあ抵抗できねぇな。)」
「とりあえず渚たちにも連絡して今日のところはもう帰ろう、寮で落ち着きたいだろ?」
「うん、ありがとう、助けてくれて……!」
「(厄介なことになったな……龍玄が襲った理由……どうせ俺らと一緒にいたからまた人質にでも使おうとしたんだろう……クソが。)」
シェアハウスに戻り、傷だらけの結衣は手当を受けていた。
「あはは、ごめんお兄ちゃん、やられちゃった……。」
「……。」
「(妹が傷ついてんのに何も感じないとは……ホントに頭おかしくなったもんだな、俺は。)」
「結衣、しばらくは戦うな、つっても戦えないか。」
「いや、大丈夫、私はまだ戦える。」
「ダメだよ結衣ちゃん!しばらくは安静にしなきゃ行けないんだろう!?」
「蒼兎!俺のせいで結衣が怪我したんだ!俺がカバーするから!」
「分かってる、だが誰のせいでもないし、お前がカバーしきれるほど甘くない。」
「ッ!」
「結衣一人が抜けて破綻するほど俺らは弱くない、だから安心しろ。」
「……分かった。」
「それから結衣、ちゃんと休めよ?」
「うん……。」
夏休みが始まって約一週間。無人島サバイバル合宿の前日、蒼兎達は無人島でどうするか話し合っていた。
「間違えなくアイツらが襲ってくる、無人島なんて逃げ場がない好都合な場所でのチャンスを見逃すはずが無い。」
「オマケに本当に不愉快だけどハーレム計画?ってヤツがあるんでしょ?誰かを襲うかも知れないわ。」
「私や霊夢も、また攫われるんでしょうか?」
「それはなんとしても阻止する……が、やはりなんとも言えんな……。」
「アイツら、転生者とも手を組もうとしてるんでしょ?大人数で襲われたらヤバくない?」
「マスター、俺達も連れていったらどうだ?」
「? 当たり前だろ?頼りにしてんだからよ?」
「お?おう!」
「サーヴァントは最初から頭数に入れてる……それでも転生者ライダーが他の転生者と手を組んだらマトモに太刀打ちできん、腐っても転生者、超能力や強い武器を持った奴らだ。」
「うぅぅ……どうしよー……。」
「(切り札はある……ただ、今のこの状況では使いたくない……。)」
「相棒を使うか……。」
『お?ようやく俺の出番か?』
『相棒さんて、何ができんの?』
『まぁそれなりに強い力を与えられるぜ?使ったあとチャージを要するのがネックだが。』
『全く俺みたいな失敗作を使うなんて相棒も頭おかしいよな!』
「ほっとけ。」
「じゃあサーヴァント達には、引き続き霊夢と咲夜の護衛だな。」
「んで、俺らは転生者が来たらぶっ潰す!基本変わらなんな……。」
「いい戦法が思いつかないからな……。基本後手にまわるしかないんだよ、俺らは。」
「明日から常に緊張して行くぞ。」
「うぉぉぉ!!すげぇ!!見渡す限り海だァァ!!」
「すごく綺麗だわ!さっきまで学園島に居たのにもうあんなに小さいわ!!」
「あ!!見て!見て!魚!魚いるよ!」
「ホントだ!魚だ!」
「写真撮りましょう写真!」
「お兄ちゃん!魚泳いでるよ!」
「……………」
翌日の早朝。蒼兎達は無人島へ向かうため、船に乗っていた。船上から見える海、そして泳いでいる魚を見て興奮している蒼兎を除くシェアハウス組。蒼兎は警戒しろと言ったのに観光気分ではしゃいでいる四人を見てこの先問題ないのか、一抹の不安を抱えるのだった。
無人島サバイバル合宿では七人一組の班になって行動する。男女混合でもテントを分ければいいというルールのもと、転生者のこともあり、シェアハウス組で班を作った。
無人島に到着し、殺せんせーから説明を受ける。
「それでは皆さんはこれから、この島にテントを作りそこから三日間生き残って貰います!ただし、皆さんの身に何かあったら大変です、なので体調が悪くなったり大怪我をした場合、棄権したい場合は、ここに先生達のテントがあるので報告してくださいね、無理は禁物ですよ!」
そのからは班で自由行動、一学年全員、散らばっていった。
「よぉーし!サバイバル生活やってやるか!」
「まず何処にテント張るかだよね!」
「私は日光が入ってくるような場所がいいと思います!」
「あのなぁ……遊ぶだけじゃダメなんだが?転生者がいるかもしれねェっつってんだろ?」
「でも転生者がいたら蒼兎分かるだろ?」
「今まで船に乗った形跡無し!転生者も犯罪を犯していないやつばっかり!お手上げじゃん?」
「安全だって分かったんだし、気楽に行こうぜ!?」
「キレそう」
『待て相棒、気持ちはわかるが落ち着け。』
『そうだよー!せっかくうちに来たんだし泳がないと!』
『おいおい?エボルトは泳げないだろ?』
『え?そんなことないよ?』
「「「は?」」」
エボルトは結衣の携帯から赤い球体として飛び出し、その姿を人型に変える。銀の長髪に真紅の目をした結衣ぐらいの身長の少女がかなりコズミックホラー的な誕生の仕方をした。
その圧倒的な変化は蒼兎と相棒、その他数名のシェアハウス組のメンバーを混乱させるのには充分すぎた。
『は?』
「エボルト……?」
「エボルトがエーちゃんになった!」
「かわいい!」
雷華と結衣は喜んでいたが。
「あの登場の仕方についてはノーコメントなの!?」
「私はなんでそんなことができるのかが気になるけど……?」
「ああーー、前に龍斗の体乗っ取ってフェーズ2になったら主のスマホから出れるようになった、理由は多分、フェーズ移行したから私自体が強くなった?んだと思ってる。」
「この人間としての体があれば、今まで主の体を借りてしてきたことができるようになるってね、食事とか。」
「これはいいことなのかしら?」
「いいことでしょ!?はぁ〜〜眼福……!」
「はぁ……まぁいい、人間になれるのであれば手伝ってもらうぞエボルト?」
「は〜い!任されました!」
「まぁ咲夜からの要望も一応念頭に入れて、日光が入って尚且つ監視ができそうなのが………」
『海近くにありそうな木の下とかどうだ?』
「相棒さんそれいいね!咲夜はどうだ?」
「海と近ければみなさんと遊べますね!」
「(さっき言ったのにもう遊ぶこと前提かよ……。)」
「分かった、そこを探そう。」
数十分かけて無人島内を散策し、理想の場所を見つけたシェアハウス組。テントを張るのは蒼兎と龍斗に任せた風華達は水着に着替え、テントの目と鼻の先にある海で遊んでいた。
「よし、完成っと。」
「なかなか手際がよかったな、経験あるのか?」
「ああ、生前は家族とよく川でテント張ってた。」
「なるほど」
小休憩としてテントの中であぐらをかいて座る二人。海で遊ぶ六人を見て龍斗は呟く。
「なんとも、楽しそうに……平和だねぇ……?」
「ああ……。」
誰に言うでもなく呟いたその言葉に蒼兎が答える。
結局、その日は一日中何も起こらず、海で遊んで一日は終わってしまった。夕食は蒼兎が火を起こして魚や串に刺した肉を焼いて食べた。
「蒼兎は火を起こすのがはやいなぁ?」
「当然だ、この程度でサバイバルなんて生ぬるいわ。」
「んん!!これがお肉!これがお魚!どれも美味しい!!」
『あ!エボルト食べすぎるなよ!?みんなの無くなっちまうだろ!?』
夜空には様々な星が光り、蒼兎達はそれを見ながらの夕食とった。その後テント内で就寝し、一日目は終わった。