転生省特典犯罪制圧課活動記録   作:蒼かえる

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第一章 高・校・入・学
ファイル1 welcome 多重クロスの世界


多重クロスの世界へ向かうことが決まり蒼兎は過去最高レベルに危険な任務への準備をしていた。

 

50階建てビルの25階の廊下を左に曲がったところに『特典犯罪制圧課』の札と共にある、自分が所属する部署の部屋。

 

自分のデスクに置いてある使用するアイテムの数々。それを取りに来たのである。アタッシュケースにそれを詰め込んでいると、奥の部屋『研究室』と書かれた札がある扉から眠そうに目を擦りながら現れる白衣を着た緑の長髪の少女。

 

「詩音、また研究室で寝てたな?」

 

「あ、蒼兎だ。帰ってきたんだ。」

 

「これからまた仕事だよ、過去最高レベルに危険だとさ?」

 

「ああ、任務で思い出した。蒼兎に渡す物があるんだ。」

 

詩音と呼ばれた少女は研究室へ戻り、また蒼兎の元へ鞘に収まっている刀を持って戻る。

 

「はい、折れてた刀身、また戻しといたよ。ついでに頼まれてた材料も混ぜ込んで。」

 

「おお、ありがたいな。」

 

「ふふん、もっと私を褒めたたえ給え?」

 

渡された刀とアイテムを詰め込んだアタッシュケースを持って蒼兎は「じゃ」とだけ言い残し、部屋を後にする。

 

「つれないねぇ〜〜?」

 

 

 

 

 

準備が出来た蒼兎は自身の部署の一階下へエレベーターで移動する。扉が開くと目の前には人が一人入れる程度のカプセルが付いた機械が綺麗に並べられていた。

 

『転生室』蒼兎のような者や転生者はこのカプセルに入り、ありとあらゆる世界へ行くことができる。

 

「よし、行くか……。」

 

自分の手を機械に取り付けられたタブレットに乗せ、指紋を読み込ませる。カプセルの中に入り、数秒待つ。そして蒼兎は、意識が途切れるのを感じた。

 

睡眠にも似た感覚、眠気から覚めるように蒼兎は意識を覚醒させる。それと同時に自身の頭の中に声が聞こえてくる。

 

『んぁ……?また仕事か?相棒?』

 

蒼兎の頭の中に直接語りかけているのは蒼兎の切り札の一つでもあり、とあるアイテムが意識を持った存在でもある。今まで休止状態だったが今起きたようである。

 

「(おはよう、相棒。今回は過去最高レベルに危険な任務だとさ。)」

 

蒼兎も頭の中で相棒と会話する。このようにして相棒は蒼兎の話し相手にもなっているのだ。

 

『そりゃまたすごい。今回はどんな転生者だろうね?』

 

「(まだ詳しいことは分からんがともかく、今回はそれなりに上司からのバックもある。いつもと変わらんだろ。)」

 

上司から多重クロスの世界での任務の話の中に多少なりとも支援があると言われていた。その世界での生活は全て天界が援助してくれると言う。

 

また、転生者はその世界の一つの高校に多く存在してるためその高校の入学手続きも済ませてある。

 

「(初めから俺を行かせるつもりだったとしか思えないような配慮だな……)」

 

『まぁ、任務なら断らないだろ?お前。』

 

季節は春、現在の時刻は14時。まずは自身の拠点を見つけようと考え、辺りをぶらつく。どうやら住宅街の公園の芝生にポツンと置かれるようにこの世界に来たようだ。

 

恐らく近辺に自身の拠点となる場所があるはずだが、と思案していると『白神シェアハウス』と大きな札に達筆な字で描かれた一つのシェアハウスを見つける。

 

「(白神……って、どう考えても俺だよな……?)」

 

『まぁ転生先に自分の苗字がデカデカと描かれた札があるなんて普通はないわな。』

 

シェアハウスの敷地内に入りノックする。反応が帰って来ないのでドアを開けて中を確認する。どうやら無人のようである。

 

靴を脱ぎ、廊下を通り、左にあるドアを開くとそこはリビングだった。奥に調理場もあり、扉から廊下に出れそうだ。また廊下に戻り、右に2つの扉を見つける。手前の扉はどうやらトイレ。

 

奥の扉が洗面所兼脱衣所、その奥が風呂。二階に上がると左右に二つずつ部屋がある。全ての部屋は同じ作りでどうやらここがプライベートスペースらしい。

 

ベッドが二つずつ全ての部屋に設置されていたので一つの部屋に二人程で生活しろという事だろう。

 

『誰か増える予定でもあんのかね?』

 

「(なんだそれ?別に必要ないが……。)」

 

リビングに戻り、調理場の前に設置されているテーブルの上にはこれから通う高校の制服と学生証、その他諸々の資料が置いてある。さらにとあるデバイスとそこに挟まれたメモ用紙が一枚。

 

〔転生者の情報も随時このデバイス『ビルドフォン』で更新していきます。さらに他にも移動手段としてボトルをどれか挿せばバイクとして機能するようにもしておきました。活用してください。 上司〕

 

『ホントに名前を明かさないな?お前の上司。』

 

「別にそこまで気になる訳でもない。さ、仕事開始だ。」

 

蒼兎はビルドフォンを起動し、転生者の情報を探る。犯罪を犯しそうな転生者に荒方目星をつけながらシェアハウス内を散策する。

 

冷蔵庫を確認すると何も入っていなかった。蒼兎も仮面ライダーになるために体を多少なりともいじっているが生物である以上、腹は減る。

 

なのでビルドフォンの地図アプリを活用しながら近くにショッピングモールがあることを知り、そこで買い物をすることにした。

 

目的地に向かう中、見覚えのあるかないか曖昧な建物を見つける。そして図書館を見つけ、多重クロスの世界が普通の世界とどんな違いがあるのか気になり、図書館へよっていった。

 

歴史の資料があるコーナーへ向かう。図書館やショッピングモールなど、現代とあまり変わりない様子ではあるが見慣れないドローンやその他違和感があったため、蒼兎は調べる。

 

迎えてきた歴史に加えて、新しく何かしらの人類の変化が見受けられた。魔族の存在の判明、犯罪率増加に伴う武装探偵『武偵』の誕生、空間震と呼ばれる大災害、月の三分の二も消し飛ばした超生物の存在。

 

『なんか面白い世界だな?』

 

「(実際にこの世界に住んでる人間からすれば溜まったもんじゃないと思うが……。)」

 

「(よく知らないが少なく見積もっても約四つ?の世界が融合してると思う……さらに他作品の能力を持った転生者……崩壊するのも頷けるな……。)」

 

蒼兎は調査を終了し、元の目的であるショッピングモールへ向かう。買い物は食品だけだったのですぐに終わる。

 

シェアハウスへ帰ろうとしたとき、どこからか平和的でない声が聞こえてくる。

 

「いや!離してください!」

 

「うるせぇ!とっととついて来い!」

 

声の主を探してみると後ろで少し焼けた筋肉質な男が、短い茶髪の少女の腕を掴み、暗い裏路地に連れ込もうとしていた。

 

抵抗しているようだが、見るからに筋肉がある男と、腕が細い少女とでは力の差がありすぎる。

 

そのまま連れ込まれそうになっていたので、蒼兎は助けることにした。

 

「おい。」

 

「あ"あ"!?」

 

「その娘、怖がってるように見えるけど?とてもエスコートっていう雰囲気じゃない。」

 

「だったらなんだ?どこからどう見てもひ弱そうなお前が、この俺を止めるのか?」

 

「はぁ………」

 

蒼兎はこの男が転生者である事を思い出してしまい、ため息をつく。

 

「(どうせ特典が手に入ったから調子に持ってるんだろう……。このまま犯罪行為に及ばせて被害者を増やすのは本意ではないし……。)」

 

蒼兎は荷物を地面に置いて右手で筋肉質な男に向けて指を自身の方へ向けて挑発する。その態度にイラついたのか男は殴りかかる。

 

「上等だゴラァァァ!!」

 

大きく右腕を振りかぶり拳を蒼兎に当てようとする。しかし蒼兎は体をそらすし最小限の動きでその拳を避ける。

 

勢い余って前のめりになった男に蒼兎は足をかけて転ばせる。顔面から勢いよく転んだ男は鼻血と口を切って血を出す。そして蒼兎は右腕を捻って押さえ付ける。

 

「イデデデデ!!分かった分かった!悪かったよ!」

 

「お前が分かっても許すのは俺じゃない。」

 

そう言い蒼兎は少女へ目線を向ける。少女は呆気にとられているがすぐに意識を戻し、「大丈夫です……」と呟く。

 

押さえ付けていた男の拘束をやめると逃げるように走り去っていった。蒼兎は置いていた荷物を取ってその場から立ち去ろうとする。

 

「(あんまり目立って人と会いたくないし……)」

 

「あ、ありがとうございます!助かりました!あの、お名前は……?」

 

しかし少女に名前を聞かれてしまう蒼兎。少し戸惑いながらも白神とだけ名乗りそのまま足早に去っていく。

 

『いやー白神って言っただけかー……。』

 

「(んだよ?文句あるのか?)」

 

『いやーもうちょい面白い事言えばいいのによ?』

 

「(いいんだよ、どうせもう会わないし……。)」

 

シェアハウスに帰っていく蒼兎。もう会わないと思っていたがこの世界に来たのは今日が初である。さらに過去最高レベルに危険な任務である。どうなるかは誰にも分からない。




後半の少女は後々深く関わっていきます。
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