蒼兎達は事前に持ってきていた飲料ゼリーを朝食として、昼食用に無人島内に存在する様々な場所で食べられそうなものを探していた。
「今んとこ、見つけたのがなんかの木の実と、鮎と……ってこれだけか?」
「まだそんなに探してないからな。」
「もうちょっと彩りが欲しいですね……?」
「私、リンゴとかバナナとか果物食べたいんだけど。」
しばらく歩いていると三人の不穏な話し声が聞こえて全員警戒する。蒼兎がすぐさま全員に伏せるように指示する。
「へぇ?お前らはこんなん使ってたんだな。」
「それがあれば、転生者狩りのライダーをある程度凌げます。」
「これを貰い受ける代わりに、俺らに何をしろと?」
「私に協力して頂きたいのです。」
「のった、いいぜ。」
二人の生徒と思わしき転生者達に腕にメガウルオウダーを装着しているネクロムとロックシードを転生者に渡している龍玄の姿が見えた。
「ネクロムと龍玄だ……。」
「やっぱりいやがったか……。」
「蒼兎、どうする?」
「決まってるだろ、ここで倒せるなら倒す。」
「あ、ドライバーテント忘れた………。」
「………龍斗はここで待機だ。」
『あ、待って。じゃ私が龍斗の体借りる。』
「好きにしてもいいが、結衣はどうするんだ?」
「じゃあ私は霊夢さんと咲夜さんと一緒にテントに戻るよ。」
「分かった、行くぞ。」
「『変身!』」
「「潤動!」」
「おいおい、聞いてねぇぜ龍玄?」
「困りましたね、転生者のお二方、早速お願いできますか?」
「まぁ、いいぜ。」
「俺もかよ……。」
「ネクロムも、頼みますよ?」
「はいはい、まぁ、俺の目的はあくまで……護衛だからよ!」
「「変身!(……。)」」
蒼兎はネクロムと対峙し、ネクロムが接近してくる。蒼兎は素手で構え接近してきたネクロムの右ストレートを左手で弾く。空いている右手の正拳突きでネクロムを怯ませる。
しかしネクロムは反撃に前蹴りで蒼兎の胴体を狙う。蒼兎はバックステップで距離を置き、今度は蒼兎の方から距離を詰めて膝蹴りする。ネクロムは腕でガードするが突き刺すような膝蹴りでガードが崩れる。
追撃にアッパー、ジャブ、フック、左ストレートで怯むネクロム。更に蒼兎の後ろ回し蹴りに対処できずに頭に直撃する。ふらふらとした足取りのネクロムに蒼兎はドライバーのレンチを下げ右腕にロボット型のエネルギーを纏う。
『スクラップフィニッシュ!』
左足で踏み込み、右の拳を突き出す。胸部に直撃したネクロムは体中にスパークを走らせながら吹っ飛んでいく。木々に激突して止まり膝から崩れ落ちる。
変身が解除され、口から血を吐きながら朦朧とした意識で蒼兎を見る。
「やっぱ……一対一は………ダメだな……。」
そんなことを呟きながらネクロムは絶命した。
「ネクロム!?」
「『どこ見てんだ!』」
仮面ライダーエボル ドラゴンフォームの状態の龍斗は普段と違うスペックのライダーの性能に若干振り回されながらも、手数の多い拳で龍玄を圧倒していた。
元より性能に違いがある上、近接戦を得意としない龍玄。更にネクロムを撃破された事で更に勝ち目が無くなったと判断すると龍斗から距離を置き、更にブドウ龍砲で牽制する。
変身を解除し、ドライバーも外す。ロックシードのクラックからヘルヘイムの森の果実を取り出す。意図を理解した蒼兎は直ぐに止めに入ろうとするが龍玄は風華と雷華の攻撃によって近くに寄ってきた転生者二人に果実を口の中に押し込んだ。
「おい!一体どうするブフッ!?」
「おいなにすんブォホ!?」
「黙って食え。」
ヘルヘイムの森の果実を無理矢理食わされた転生者二人は、身体中に蔦が纏われ光を発する。光が収まるとその姿は、緑の体と右手に鋭い鉤爪、それぞれ緑の頭と薄茶色の頭を有したインベスに姿が変わる。
「やれ」
短くそう命令し、龍玄は後ろに腕を組む。インベスは龍玄への行先を阻むようにシェアハウス組と対峙する。転生者からインベスに変化したのを見て怖気付く龍斗達。そんな三人に向けて蒼兎が声をかける。
「インベスになった人間はもう戻らない!転生者も例外じゃない!こいつらなら尚更な!遠慮せずに殺れ!」
我に返った三人は各々武器を取り出し構え、二体のインベスと対峙する。
「風華と雷華がそっちか……なら龍玄は俺が!」
「インベスは俺か……。」
一斉に駆け出し、二体のインベスへ肉薄する四人。風華と雷華は緑頭の『ビャッコインベス』へ向かっていく。雷華がビャッコインベスを切り上げ、風華はスチームガンを連射する。
宙に浮き火花を散らし地面を転がるビャッコインベス。しかし直ぐに起き上がり、ダメージなど感じていないような素振りで風華と雷華へ向かってくる。
「なんで!?」
「お姉ちゃん下がって!」
風華へ振り下ろされる鉤爪を雷華が間に割って入りスチームブレードで受け止める。風華はしゃがんでスチームガンをゼロ距離で連射する。火花を散らしてスパークが走りつつもビャッコインベスが止まる気配は無い。
「どういうこと!?」
ダメージが入っていないように見えるため、風華が焦り出す。そこに蒼兎がインベスに変わる前の転生者の特典について教える。
「風華!そいつの特典は『毒の生成』だ!ダメージが無いように見えんのは痛覚を毒で麻痺させてるからだと思うぞ!痛みを感じてないだけでダメージは蓄積されてる!」
「つまり!?」
「そのまま畳み掛けろ!」
風華はスチームガンにギアリモコンをセットする。雷華はスチームブレードのレバーを上げてスライドし、バルブを捻る。
『ファンキードライブ!ギアリモコン!』
『エレキスチーム!』
雷華がブレードで電撃を放ち、風華が追い討ちをかけるように巨大なエネルギー弾を撃ち込む。二つの必殺はビャッコインベスに直撃し爆散した。
「焦ったわ……。」
数分前に遡り、蒼兎は薄茶色の頭の『ヘキジャインベス』と対峙していた。蒼兎はヘキジャインベスより少し上までジャンプし、一回転して勢いつけた踵落としで胸部を削る。
少しよろける程度でまた鉤爪を振り下ろそうとするヘキジャインベス。
蒼兎は振り下ろされる鉤爪を掴んで回し体を捻って脇に挟む。ヘキジャインベスはもう片方の左腕で蒼兎を引き剥がそうと抵抗する。蒼兎はツインブレイカーを装備してアタックモードの杭で鉤爪を何度もぶつけて削り取る。
声にならない悲鳴を上げるヘキジャインベス。ふと風華と雷華の方を見ると攻撃しているのにダメージが通っている様子が無く、更に風華が焦っているように見えた。
風華と雷華が戦っているビャッコインベスになった転生者の特典を思い出し、風華に伝える。伝え終わると対峙していたヘキジャインベスが鉤爪を失っても蒼兎に襲い掛かる。
蒼兎はヘキジャインベスになった転生者の特典を思い出す。特典は『とある世界の魔法』だが、その魔法は詠唱しなければ使えない。詠唱自体は実に簡単なものだがインベスになった転生者にそんな理性はない。
「その腕、痛てぇだろ? 終わりにしてやるよ。」
ドライバーのレンチを下げ、肩アーマーのマシンパックショルダーが回転し、ゼリー飲み口に当たる部分が後ろに向き、そこからヴァリアブルゼリーが噴出する。噴出により加速し蒼兎は足を突き出す。
『スクラップフィニッシュ!』
蒼兎の蹴りがヘキジャインベスの胸部に突き刺さる。蒼兎は着地し、ヘキジャインベスはスパークを走らせながら膝から崩れ落ち、爆散した。
また数分前に遡り、龍斗はヘルヘイムの果実を無理矢理食べさせたあと、直ぐにまた変身した龍玄に接近していく。龍玄がブドウ龍砲を撃ってくるがビートクローザーで急所以外をガードしそれ以外を無視して突き進む。
ビートクローザーが届く位置までたどり着くと上段切りで龍玄を切り付ける。切り付けられるが龍玄はブドウ龍砲を構えて引き金を引く。ビートクローザーで弾かれても何度も射撃し距離を取ろうとする。
しかし距離を空けた分だけまた詰められ、ブドウ龍砲を弾かれてから切り上げ、突きで地面を転がる。インベスを倒した蒼兎と風華、雷華もやってくる。
「……これは勝ち目がなさそうですね。」
『スクラップフィニッシュ!』
蒼兎のマシンパックショルダーが回転し拳にロボットアーム型のエネルギーを纏う。ヴァリアブルゼリーが噴出し、加速する。龍玄の目の前まで肉薄ししゃがんでからのアッパーで龍玄のロックシードごと破壊して龍玄は森のどこかへ飛ばされそこで爆散する。
「ふぅ……。」
「おい!今すごい音したぞ!?」
「え!?なになに!?」
近くに他の生徒がやってくる。変身を解除した蒼兎達は直ぐにその場を離れた。
昼食を済ませた蒼兎と龍斗は風華達に言われ水着に着替えてテントから数メートル離れて待機していた。蒼兎は黄緑で半袖のラッシュガードに緑のサーフパンツ、龍斗は白のサーフパンツ姿。体育座りで海を眺める男二人へ相棒が呟く。
『なんか哀愁漂う風景だな。』
「別に悲しいこともなにも無いけどな。」
『他の女サーヴァントがいるせいで俺は覗き見できねぇから悲しいけどよ。』
「むしろ俺は霊夢ちゃんとか咲夜ちゃんと水着姿が楽しみだぜ!?」
「あら?私達の水着は見なくていいのかしら?」
「そんなこといってねぇだr………おお……。」
龍斗の発言に挑発する風華。蒼兎と龍斗は二人して振り返ると水着に着替えたシェアハウスの女性陣がいた。風華は緑のビキニ、雷華は白のビキニ姿で結衣はフリルがついたワンピース水着。
霊夢は私服の巫女服の水着バージョンとしか言えないような姿。咲夜は藍色のストライプだった。
「フッフッフッ……私も居るぞ!」
エボルトはテントから超人的なジャンプで全員の前へ、エボルト自身の目と同じ色のビキニ姿で現れた。
「どうよ?蒼兎、龍斗、ランサー?」
「あーうん、似合ってる思うようん。」
『いいねぇ嬢ちゃん達!』
「うぉぉぉ!!いいなぁこれぇ!!」
「よーし泳ごう!さぁさぁ龍斗、勝負しよ!?」
海に走っていく龍斗達。蒼兎はその様子を眺めていた。そして突然声をかけられる。
「あ、蒼兎くん?」
「真藤さん?」
声をかけたのは蒼兎の足を治療した転生者の真藤 桜だった。
「なんでここに?」
「私達のテントがここから少し奥の木影なの。海で泳ごうって話になって、蒼兎くんの班はここにテント張ってるんだね!」
「もしよかったら一緒に泳がない?」
「ああ、勿論。」
真藤の班と海で遊び尽くした後、夕食を共にして二日目は終わろうとしていた。ほぼ全員が寝静まった頃に蒼兎は月明かりに照らされている海を見ていた。
「蒼兎」
龍斗が呼びかける。手には二つのペットボトルの水を持って片方を蒼兎に投げる。
「あと一人だな、転生者ライダー。」
「……俺としては、あんなにあっさり終わると思ってない。すぐ終わる方がいいんだろうが、それだけ単純にも思えない。」
「でも、あと二日でアイツらが何かできるとも限らねぇじゃん?」
「そうだな……。」
二人はテントに戻り就寝した。