始業式、校門まで来た蒼兎達。しかしそこから龍斗を呼び止める声が聞こえた。
「マスター!」
「あれ?ジャンヌ!?どうした?」
「お忘れ物です」
そう言ってジャンヌは龍斗にスマホを渡す。
「え?あれ!?忘れてた!?」
「置いたままでしたので。」
転生者ライダーがいなくなったことで霊夢と咲夜に護衛をつける必要性がなくなったことでサーヴァント達は全員シェアハウスに待機している。
「ありがとう!助かったよ!」
「いえいえ、これくらいなんてことないですよ?」
何か感じた蒼兎が後ろを振り向く。そこには倒したはずの龍玄、その後ろにはビルドフォンに掲載されていた数十人の転生者達がいた。
「龍玄!?なんで!?」
「来たか……俺の不始末」
「ごきげんよう仮面ライダーのみなさん。」
「なんでてめぇがいやがる!?」
「龍斗、俺が倒しきれてなかっただけだ。これは俺の不始末だ。」
「そういうことです。」
「でもロックシードは破壊したはずだ。ストックも転生者に与えて今はないだろ?」
「いいえ、龍玄にしかないロックシード、まだあるのはご存知のはずですよ?」
「!? お前まさか………!」
龍玄は金と紫のブドウのような果実の装飾がついたロックシードを取り出す。
「お前……そんなものまで……だがそれを使えばお前もただじゃすまないぞ。」
「ええ、知ってますとも。」
「なんだよ蒼兎!なんなんだよあれ!?」
「あれは『ヨモツヘグリロックシード』自分の生命力を犠牲にして強大な力を得る失敗作だ……。」
龍斗の驚愕や明らかに異常な光景によって生徒達が怪しむ。
「なになに?」
「なんかの撮影かな?」
「めっちゃ人いる?」
「龍斗……?」
「おい、俺らはどうすんだよ?」
転生者の一人が龍玄に質問する。
「お前に協力すればこの世界を支配できんだろ?」
「ロックシードとかいうのも貰ったから協力してやってんだ、何すればいいかぐらい言えよ。」
「そうですね……では、」
龍玄はヨモツヘグリロックシードを解錠する。
『ヨモツヘグリ!』
通常のクラックとは違う、黒い霧や稲妻が走る空間からブドウアームズと似た、しかし異様な色と雰囲気をしたアームズが現れる。龍玄が装着していたドライバーのフェイスプレートが変化する。
ドライバーにヨモツヘグリを嵌めてロックする。
『ロックオン!』
「……変身。」
カッティングブレードを倒し、アームズが被さる。その途端、龍玄は苦しみだし耐えきれず膝を地面について苦しそうに手を心臓に当てる。
「ウゥゥ!!ウグゥゥゥ!!!」
「お、おい!」
苦しみだす龍玄を見て転生者達が困惑する。
「ねぇ!?あれ仮面ライダーじゃない!?」
「ヤバいヤバい!」
「でもめっちゃ苦しそうだよ!?」
生徒達も仮面ライダーが現れ異様な光景に困惑する。
『ヨモツヘグリアームズ!』
『冥・界!黄泉…黄泉…黄泉…』
龍玄は苦しみながらも立ち上がりアームズが展開する。鎧はブドウアームズと同じだが緑色の部分が臙脂色を基調としたものになっており、前掛けがボロボロになっている。複眼はより単眼を思わせる色へと変化し禍々しい。
『ヨモツヘグリアームズ!』
『冥・界!黄泉…黄泉…黄泉…』
苦しみながらも立ち上がり『仮面ライダー龍玄・黄泉』に変身した。転生者達はその禍々しさに気圧される。
「みなさん、先程自分たちが何をすればいいか、私に問いましたね?」
「あ、ああ。」
前にいた転生者が代表して答える。
「では、私の代わりになって貰えますか?」
そう言って龍玄は前にいた転生者の顔の前に手をかざし黒い霧を発生させた。転生者はその中で苦しむ声を上げて僅か数秒で倒れた。他の転生者が怯えだす。
「お、おい!何したんだよ!?」
蒼兎が龍玄に問う。
「ヨモツヘグリにそんな能力はなかったはずだが?」
「主神様が与えてくれました。流石に生命力吸収は取れませんでしたが、これはこれで便利でしょう?」
龍玄は黒い霧を転生者全員がいる方へ向けて放ち、転生者から生命力を奪って自身の力にする。
「お、おい!聞いてねぇぞこんなの!」
「皆さん、私に協力してくれるのでしょう?なら私に生命力を渡して協力してください?」
黒い霧に覆われた転生者達は数秒も経たない内にバタバタと倒れていき龍玄は体の調子を確認する。
「ふむ、これなら苦もなく戦えそうですね。」
「蒼兎、あの転生者って犯罪とか犯してたのか……?」
「予備軍だった、やりそうな奴はいたがまだ何もしてない。」
「中には何人か混じってたが……だがな龍斗、予備軍でもなんでも、無闇矢鱈に殺したら、もうそいつは人間じゃない。人間の皮を被った化け物だ。」
「……分かった。」
「どうするの蒼兎?ここで変身するの?」
「龍玄に目をつけられてるんだ、やるしかないだろ。」
「それでここの生徒の記憶消せる?」
「無理だな、確実に。」
「なにを話してるのです?こうなることを予見してわざわざこうして足を運んだのです、早く変身してください。それとも、楽に死にたいですか?」
「死にたいわけないだろ!今すぐぶっ倒す!」
ドライバーを装着した龍斗はドラゴンフルボトルを振り、飛んできたクローズドラゴンにボトルを装填する。首と尻尾を収納してボタンを押す。
『WAKE UP!』
『CROSS-Z DRAGON!』
レバーを回して、ファイティングポーズをとる。
『Are you ready?』
「変身!」
『Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!』
生徒達が騒ぎ出す。噂の仮面ライダーが現れたことよりも、その正体が同じ学生の生徒であったことに。
「なんで龍斗くんが!?」
「どういうこと!?」
困惑する声や驚きの声が上がる中、蒼兎と風華、雷華も龍斗と並ぶ。
「よーし、やろうかお姉ちゃん。」
「仕方ないわね、この後どうなるのこれ?」
「どうにかするしかない。」
『ロボットゼリー!』
『ギアエンジン!』
『ギアリモコン!』
「変身……!」
「「潤動!」」
『ロボット イン グリス!』
『Engine running gear』
『Remote control gear』
「エーちゃん!私達も!」
『オッケー!』
『よーし、張り切ってやっちゃいますか!」
いつの間にか装着していたエボルドライバーへコブラとライダーシステムのボトルを差し込む。
『コブラ!』
『ライダーシステム!』
『エボリューション!』
『Are you ready?』
「変身!」
『コブラ!コブラ!エボルコブラ!』
『フッハッハッハッハッハ!』
手首を解しながらエボルトが蒼兎達と並ぶ。
「校内で戦うなんてね。」
『エーちゃんは経験済みでしょ?』
「なんでもいい、行くぞ。」
「ふふ、かかってきなさい。」
「オラァ!」
龍斗がビートクローザーで斬り掛かるが龍玄は刀身を横から押して逸らすことで回避する。
「ヤァァ!」
雷華がスチームブレードを突き出すも体を逸らして回避し、その後ろからの風華による射撃も手をかざしてエネルギーをバリアのように貼るだけで防ぐ。
エボルトが高速移動でバリアの後ろへ回るも突き出した拳は掴まれて違う方向に投げられるだけだった。
蒼兎がジャンプし、ツインブレイカーの杭を振り下ろしバリアを削ろうとするが蒼兎が着地する時には後退してバリアは無くなっていた。
「接近戦は苦手だったはずだが……?」
「生命力を吸収すれば単にエネルギーや能力が向上するだけではありません、私の場合は近接戦闘の技能を上げたんですよ。」
「その能力も、主神様とやらの力か?」
「はい、素晴らしいでしょう?」
「ふざけんな!」
龍斗がビートクローザーで切り上げようと接近するも龍玄が突如出現させたヘルヘイムの果実が着いた戟で接近される前に突かれ火花を散らしながら転がる。
風華がスチームガンを撃ち込むが左手でバリアを貼られ弾かれる。雷華がスライディングでバリアの下からブレードで切りつけようとするも槍で突かれて振り上げられる。
「ルーラー!」
ジャンヌが鎧と纏い、旗を出現させる。ジャンプから振り下げられる旗。龍玄は戟を横にして受け止める。ガラ空きになった胴体に蒼兎が蹴りを入れる。後退する龍玄にエボルトが追撃を加えるために拳を構える。
しかし龍玄はドライバーのカッティングブレードを1回倒す。
『ヨモツヘグリスカッシュ!』
接近してきたエボルトに対し戟を突き出す。スピードが乗っていたことにより深々と刺さった戟が振り上げられる。火花を散らしながらその場で倒れる。変身が解除され結衣に戻る。腹部から出血して動けそうにない。
「結衣ちゃん!」
風華から援護されながら雷華が龍玄に接近する。ブレードで切りつけようとするが龍玄は後退していく。それを追う雷華。雷華が龍玄と対峙している間に龍斗が結衣を危険な場所から遠ざける。
「ッ!ルーラー、結衣ちゃんを頼む!」
寄ってきたジャンヌに結衣を任せて雷華と共に龍玄に迫る。龍玄は迫る二人に対してドライバーのカッティングブレードを2回倒し出現させたブドウ龍砲を向ける。
『ヨモツヘグリオーレ!』
充填されたエネルギーが一気に龍斗達に向かって襲いかかる。龍斗や雷華の後ろには固まっている生徒や校舎があった。それに気づいた二人はすぐに立ち止まりその銃撃を受ける。ガードしていたとはいえ銃撃を一心に受け続けた二人は強制変身解除し倒れる。
「雷華!龍斗!」
「ご、ごめん……お姉ちゃん……。」
「クソ……こんなところで………!」
蒼兎が龍玄に接近していくが龍玄は再び出現させた戟により思うように近づけない。風華が雷華の落としたスチームブレードを拾って龍玄に接近していく。
「よくも!私の妹を!」
激昂している風華は龍玄に迫るが、龍玄は蒼兎の攻撃を捌きながら風華の胴体に蹴りを入れる。蒼兎のブレイカーの杭をギリギリ避けた龍玄はドライバーのカッティングブレードを3回倒す。
『ヨモツヘグリスパーキング!』
ジャンプした龍玄が戟を持ち替えて投擲するように構える。先端にエネルギーが纏わり龍玄が蒼兎に向けて投擲する。
大爆発と共に校舎内の地面が抉れて腹部にダメージを負った風華は変身解除、蒼兎も投げ出される。
「フフフ……どうです、この力?」
「ウゥ……」
「ガハッ!ゲホッ!」
「お、お姉ちゃん……!」
「結衣さん!しっかりしてください!」
「血が……血が………!」
「………はぁ……。」
「どうしました?こんな状況でため息なんて?」
蒼兎は変身を解除しポケットから筒状の注射器を取り出す。
「まさか……使う羽目になるとは……。」
『おい相棒!なんだそれ!?』
蒼兎は腕に注射器を押し当てて注入する。
「相棒には言ってなかったな、これはハザードレベルを一時的に急上昇させる物でな。」
「更にこいつを使えば、アイツに勝てるかもしれない。」
蒼兎が取り出したのは水色の武器でありアイテムでもある『グリスブリザードナックル』である。更に銀のキャップにグリス、クローズ、エンジンブロス、リモコンブロス、エボルのクレストが描かれた水色のボトルを取り出す。
「……ん、ゴフッ、ゴホッ……。」
手の甲で口を抑えると血だらけになっている。
「あーあ、こりゃダメだな。」
『おい相棒!どうなってんだこれ!?』
蒼兎はクロコダイルクラックフルボトルを龍斗に投げ渡し、転がっていた龍斗のビルドドライバーを腰に巻く。
「何してんだよ蒼兎!?かないっこない!」
『龍斗!今すぐ相棒を止めろ!』
「止めるな、どの道この薬品のせいでオーバードースだ。色んな興奮剤やらなんやらを致死量超えるほど入れてるんだ。だったらここで……!」
『ここで死ぬつもりか!?』
「ナックル使ったらどの道死ぬんだ、なら高められるところまで高めないとな?」
ナックルにボトルを装填する。
『ボトルキーン!』
持ち手を変形させ、ビルドドライバーにセットする。
『グリスブリザード!』
『やめろ相棒!』
レバーを回すと蒼兎の後ろに巨大なナックルが現れる。
『Are you ready?』
変身すれば死ぬ、死の宣告。蒼兎はその宣告に対し、覚悟と先駆者の敬意を持ってあの言葉で答えることにした。
「できてるよ……!」
『激凍心火!グリスブリザード!』
ナックルのボトル装填部分から液体窒素のようなものが流れ、足元から凍っていき全身を覆う。
『ガキガキガキガキガッキーン!』
ナックルが全身の氷を破壊するように突き出ると現れたのは黄金ではないグリスだった。
オリジナル設定として左腕のロボットアームはありません。