「さて、お前達に協力してもらいたいのは……
最近起こっている連続記憶喪失事件だ。」
そう話を切り出された龍斗達は南宮の言葉を繰り返すように聞き返す。
「連続記憶喪失……?」
「ああ、そうだ。最近、特定の生徒たちの記憶が無くなる事件が多発している。」
「なんで連続なんですか?関連があるとか?」
「全員が記憶を失う時、特定の人物にあっているという共通点がある。監視カメラを確認して証拠もある。」
「特定の人物って……誰なんですか?」
雷華がその人物について聞く。南宮は机から写真を取り出し龍斗達がいる机に置いて見せる。監視カメラのものと思われる写真には黒い肌にスキンヘッドの男性だった。服装は黒いスーツを身にまとっていた。
「全員、記憶を失う前にこの人物に話しかけられたと言っている。」
「………もしかして記憶を失ったのって最近俺らのクラスに来てないヤツらも……ですか?」
「……ああ、そうだ。」
最近、龍斗達のクラスには来ていないクラスメートが二人いた。一人は武偵の『遠山 キンジ』そしてもう一人は『暁 古城』である。龍斗達は手がかりを掴むために二手に別れて直接聞き込みに行くことになり、龍斗と雷華と詩音はキンジへ、風華とエボルトは古城の元へ向かった。
〜龍斗side〜
キンジが住んでいると言われた寮に着いた龍斗達。南宮に渡されたメモで部屋の番号を確認し向かっていく。
「遠山キンジ……あんま話してねぇけど、どんな奴だったかな」
「噂ではホモ疑惑が出ているそうで……それはそれで面白いですけどね…!」
「あれ、詩音ちゃんって腐ってるの?」
そんな会話をしながらキンジがいる部屋の前まで来た龍斗達。インターホンを鳴らそうとすると横から声をかけられる。
「あんた達だれ?」
声をかけられた方へ向くとピンクブロンドの髪をツインテールにした中学生ほどの身長の女子生徒が立っていた。
「えぇーと、遠山キンジって人の部屋を探してるんだけど……知ってる?」
「えぇ、私の奴隷だし、その部屋であってるわ。」
「そっか奴隷……奴隷!?」
女子生徒の発した言葉に一瞬耳を疑った龍斗は念の為にもう一度女子生徒に向けて聞き返す。
「えぇーとごめん、遠山キンジって人の部屋を探してるんだけど」
「だからそこであってるって言ってるじゃない、しつこい男は嫌われるわよ。」
「いや、奴隷とかって言わなかった?」
「言ったけどそれが何?」
「えぇ……もういいです……」
諦めた龍斗を通り過ぎてその女子生徒は遠山キンジの部屋と思わしき部屋のドアを開けて三人に入るように促す。
「まぁいいわ、大方キンジの記憶喪失について聞きたいんでしょう、入りなさい。」
「お、お邪魔します……」
三人が部屋に入り、女子生徒についていくとソファに一人の男が座って本を読んでいた。女子生徒に気づき、本から目を離す。
「神崎さん……せめてノックくらいして欲しいんだけど……」
「キンジ、アンタに聞きたいことがあるって。」
「(ガン無視されてる……ていうか二人の関係は……?)」
龍斗がそんな疑問を抱きつつ、ソファに座っているキンジと呼ばれた男に自己紹介する。
「は、初めまして、神木龍斗です」
「えーと、赤城 雷華です。」
「詩音ちゃんでーす!イテッ!」
手を振り上げながら挨拶した詩音に対して龍斗が頭を軽めに叩く。小声で「ちゃんと挨拶しろよ……」と注意する。
「ああ、初めまして、俺が遠山キンジ……と言っても、昔のことは何も覚えてないけどね。」
遠山キンジと名乗った男は自嘲気味に言った。
〜風華side〜
風華とエボルトは古城が暮らしているというマンションまでやってきた。南宮からもらったメモで部屋を確認してインターホンを鳴らす。
『「はい」』
インターホン越しに少女らしき声が聞こえてきた。暁古城は男だというのにと若干困惑しながら風華は自己紹介と要件を伝える。
「私、赤城風華と申します。暁古城さんのお宅でよろしいでしょうか?」
「はい、そうですが……」
「暁さんの記憶喪失についてお伺いしたいことがあるのですが……。」
「……分かりました」
ドアを開けて現れたのは中等部の制服を来た少女だった。
「……?」
「どうぞ。」
困惑しながらも風華とエボルトは少女に促されるまま部屋の中へと案内される。
「先輩はこちらです。」
少女が向けた手の先には男が一人、椅子に座っていた。こちらに気づくと手を挙げて会釈する。二人は自己紹介し、話の本題に入ろうとする。
「は、初めまして赤城風華と言います。こっちは」
「エボルト、と言います。アナタの記憶喪失について聞きたいことがあります。」
二人が話終わると男は顔を俯きながらも話し始める。
「暁古城……という名前らしいな、だけど俺は自分のことを覚えてないんだ……何も思い出せない……。」
暁古城と名乗った男は少し顔を青くしながらそう言った。