転生省特典犯罪制圧課活動記録   作:蒼かえる

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ファイル31 相手の能力

「さっき神木が使っていたあのデバイスのようなもの、俺が記憶を失う直後に見えたものと似ているんだ」

 

「……なんですって?」

 

詩音は自分の耳を疑い、再度聞き返す。しかしもう一度聞いてもキンジから帰ってくる返答は同じものだった。

 

龍斗は男達を拘束したあと治安部隊が来るまで雷華とクー・フーリンに見張るように頼み、一段落ついたようなので近くのベンチに座った。疲れからため息をつきながら先程使用した仮面ライダーFATEについて考える。

 

「フゥ……」

 

「(ジャンヌの声で俺がサーヴァントになってたって聞こえた……どういうことだ?)」

 

FATEミライドウォッチを取り出し原理も理屈も何も分からないアイテムを眺めていた。

 

「(それにさっきの遠山の言っていたことも気になる……。)」

 

「(相手もこのミライドウォッチみたいなのを持ってるってことか?)」

 

先程詩音から聞かされたキンジが記憶を失った直後に見たというアイテムと自身が今持つミライドウォッチが似ているという話。キンジが言っていることが本当なら相手にもミライドウォッチかそれに似たアイテムがあるということである。

 

ミライドウォッチのことを詳しく知らない龍斗だがこのアイテムが凄まじい力を与えるものであることは理解しているため相手の攻略の難易度が上がったかと再び深いため息をつく。

 

「ハァ……。」

 

項垂れているといきなり左の頬に冷たい感触を感じ声を上げて驚く。

 

「うぉっ!」

 

冷たい感触を感じた方を見れば雷華がオレンジの缶ジュースを突き出しいたずらを成功させた子供のように無邪気に笑っていた。缶ジュースを龍斗に渡すと隣に座り同じ缶ジュースの蓋を開けて飲む。

 

先程の戦闘から喉が乾いていたのに気づき龍斗も蓋を開けて飲む。少し間が空いたあと、雷華が話しかける。

 

「何ボーッとしてんのさ、龍斗らしくないよ?」

 

「俺らしいって……雷華はいっつも俺の事どう思ってるんだ?」

 

「んー一言で言うなら熱血漢?みたいな。」

 

「それに悩んでるところあんまり見た事ないし、あんまりそういうの抱えてなさそうだしね。」

 

「俺だって悩み事の一つや二つ、あるに決まってるだろ。」

 

「じゃあさ、その悩み事、抱え込まずにちゃんとみんなに言ってよ。」

 

真剣に龍斗の目を見て言う雷華。

 

「な、悩み事って言っても黒幕が俺と同じような力を持ってるのかってちょっと心配になっただけだよ……あんまり深い意味はないんだって……。」

 

「……ふーん、でも確かに相手もあんな強い力持ってたら大変だね。」

 

「だろ?」

「でも……みんななら乗り越えられるでしょ?」

 

「!! そ、そうだな……!」

 

当然のように言ってのける雷華に龍斗は少し調子を取り戻した。

 

 

 

 

 

翌日、シェアハウス内での今までと今後についての話し合いが始められた。まずは千代女が街の至る所から集めてきた例の写真の男の目撃情報や転生者について。

 

 

……以上でございまする。」

 

『転生者は数はいるけど今のところ目立ったことはしなさそうな感じだね。』

 

エボルトが結衣の携帯から反応を示す。風華は結衣の状態をエボルトに聞く。

 

「エボルト、結衣ちゃんは今どんな状態?」

 

『完全に心を閉ざしてて何言っても反応してくれないよ。ご飯も食べようとしないから私が憑依してまぁ生活は送らせてる感じ。』

 

「いつまでもこんな調子じゃあな……。」

 

「でもこれはどうしようもなくない?」

 

エボルトから聞いた様子に悩む龍斗と雷華。

 

「結衣ちゃんの面倒は私と咲夜が見ておくわ、それくらいしかできないだろうし……。」

 

霊夢がそういって咲夜も首を縦に振る。

 

「いつも悪いな霊夢、咲夜。2人だけに家の掃除とかもしてもらってさ。」

 

「いいですよお礼なんて、ここに住まわせてもらってる身ですから当然です。」

 

次に詩音が新しく確認された黒幕と敵について話す。

 

「相手は恐らく、『ライドウォッチ』とガイアメモリを所有していますね。」

 

『まさかガイアメモリまで出るたぁね……。』

 

「あ、相棒さん……。」

 

『あ、クロっちじゃん』

 

『え?その呼び名まだ続ける?』

 

机の上で沈黙していた蒼兎の相棒、クロコダイルクラックフルボトル、クロが反応する。

 

「その、ライドウォッチとガイアメモリってなに?」

 

知識のない風華が詩音に聞く。

 

「ガイアメモリは地球の記憶を内包したUSB型のアイテムです。端子を体に指すことで超人的な力を得られます。まぁ毒素とかあるのでオススメしませんが。」

 

「毒素を抜いてドライバーを用いて仮面ライダーに変身することもできます。」

 

「ライドウォッチは?」

 

「ガイアメモリと似た性質を持ったアイテムですね。ですが内包しているものも、それによって受けられる恩恵も出力も段違いですがね。」

 

「俺のミライドウォッチとどう違うんだ?」

 

「ミライドウォッチは今より先の歴史を内包しているウォッチです。龍斗さんの場合、内包しているものは規模が大きすぎるので未来という一部分を内包した状態で渡されているんだと思います。」

 

「遠山さんに聞いたところ、龍斗さんが持っているミライドウォッチとは形状が似ているだけでそれ自体ではない、とのこと。つまり相手はライドウォッチを所持している可能性がありますね。」

 

『どっちだとしても厄介だな、ライドウォッチにガイアメモリ。もしかしたら龍玄と同じ手口かもな、力を貸して協力させるってヤツ。』

 

詩音は証拠品として袋に入ったウェザーメモリを全員に見せる。

 

「こんな大きさなので持ち運ぶのに苦労はしませんね、メモリブレイクという文字通りにメモリを破壊しなければまたメモリを使って怪人に変身できます。」

 

『龍斗の仮面ライダーにはメモリブレイクの機能はないみたいだねぇ。』

 

『詩音、ガイアメモリ対策としてW系のライダーを作るのにどのくらいの時間がかかる?』

 

エボルトが呟いた後、クロが詩音に問いかける。

 

「作るとなると1年かかりますね、それならW系のライダーをアイテムとしてこちらに合わせて作成した方がまだ早いです。」

 

「どういうこと?」

 

「龍斗さんが使っているショットライザー、それに連動するプログライズキーも、簡単に言ってしまえばデータを内包しています、そのデータの内包物をWにすれば、メモリブレイクと同様のことができます、恐らく。」

 

「それの開発期間は?」

 

「ショットライザーとプログライズキー、そしてこのウェザーのメモリがあるのでそう時間は掛からないかと。」

 

「早急に始めた方がいいわね。」

 

「よし、じゃあ詩音にはそのプログライズキー?の開発を頼むよ。俺たちは南宮先生の手伝い、連続記憶喪失事件の調査の続きだな。」

 

「新しいこともわかったし、黒幕みたいな影も見えてきたし、繋がってきたね!」

 

「ええ、確実に近づいてるわ。」

 

「霊夢と咲夜は結衣ちゃんのことを頼む。千代女ちゃんは街の調査の続き、ジャンヌは霊夢達の護衛、セイバーとランサーは俺たちが戦う時になったら来る感じで。」

 

「おう、任せとけ!」

 

「マスターのご指示であれば」

 

「よし、じゃあ今日のところは解散で!」

 

「じゃあ私、夕食の買い出しに行ってくるわ。」

 

霊夢が席を立ち外出の準備をする。

 

「あ、俺も行こうか?」

 

「大丈夫よ、今日はそんなに買うものないから。」

 

 

 

 

 

買い物を終えた霊夢はいつも通りシェアハウスへ帰ろうとしていた。しかし偶然、龍斗達から見せられた連続記憶喪失事件に関わりのある男を見かけてしまった。なにか手がかりになると思い後をつけていく。

 

男が曲がり角を曲がり、霊夢もそこから顔をのぞかせる。しかしいきなり男を見失ってしまった。なんの手がかりも得られなかったと思いながら帰ろうとしたその時

 

 

「何の用だ?」

 

男は知らぬ間に霊夢の後ろに回り込んでいた。曲がり角を曲がったはずの男が自身の後ろにいることに恐怖しながらも霊夢は男に聞いた。

 

「どうして人の記憶を奪うの!?」

 

「初対面で挨拶もなしにそれか? まぁいい……。」

 

「どうして記憶を奪うのか、だったか? それは命令されたからだ。」

 

「だ、誰に……?」

 

「それは教えられん、しかしちょうどいいな。」

 

「な、何が?」

 

「お前も奴らと同じく、利用できる。」

 

帰りが遅いことを心配した龍斗が千代女に頼んで霊夢を探してもらった。約一時間後に発見されたのは意識を失った状態の霊夢だった。

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