意識を失った状態で発見された霊夢は千代女によってすぐに病院に搬送された。病院に駆けつけた龍斗達は霊夢を診察した医師から状態を聞かされる。
「体にはどこも異常はありませんでした、今は睡眠をとっている状態とほぼ同じなのですが……。」
「連続記憶喪失事件の際は、こんな事は無かったのですが……。」
「ありがとうございます……。」
医師から状態を聞いた風華は全員に伝える。それを聞いた龍斗は拳を握り締めながら呟く。
「クソッ……あの時、一緒に行ってやれば……!」
顔を俯かせる龍斗の肩に手を置くクー・フーリン。
「誰のせいでもねぇ、俺もついて行かなかった。」
全員はなんとも言えない雰囲気の中、ただ沈黙するしか無かった。
翌朝、事件についての調査報告を行うために南宮の元を訪れた龍斗達。相手の使っているアイテムと自分達のデバイスとの共通点、霊夢の昏睡状態の件、全てを報告を聞き終えた南宮は腕を組んで考えている。しばらく沈黙した後、龍斗達に向き直り話し始める。
「分かった、しかし今のところ手がかりとなる男を見つけ出すまでなんの情報もないことになる、そこでお前達は護衛を任せる。」
「護衛……ですか?」
「ああ、お前らの担任教師だ。」
「担任……殺せんせーですか?」
「マッハ20で移動できるのに護衛居るんですか?」
殺せんせーはマッハ20で移動することができる超生物であり、現在は政府監視の元で学園島にて教員を務めている。月を7割破壊した犯人(と思われている)ため、何度も暗殺を試みられているがそのどれもがほぼ全て失敗に終わっている。
そんな超生物である殺せんせーに護衛が必要なのか問う雷華であるが
「政府からの直々の要請だ。」
南宮からのその一言で龍斗達は了承した。護衛は登校日の明日からという事で龍斗達は南宮のいる学校を出た。龍斗が全員に今後の予定について聞く。
「この後はどうする?」
「私は皆さんのためにいち早く対抗策のアイテムを完成させなくてはならないので帰ります。」
「では私は霊夢が目を覚ました時のために着替えを。」
詩音と咲夜は一度シェアハウスに戻るようである。
「んじゃ私と雷華はその護衛ってことで。」
『私も主が心配なのでシェアハウスに戻ろっかな?』
「相棒さんは?」
『俺は動けねぇし龍斗に付くぞ?』
「じゃサーヴァントのみんなはシェアハウスに戻る奴らとついて行ってくれ。」
龍斗が霊体化しているサーヴァント達に指示を出す。
「それはいいがマスターはどうすんだ?」
「いくら貴方といえど、一人になるのは危険なのでは?」
クー・フーリンとアルトリアが心配な様子で声をかける。
「いざとなったら令呪で呼ぶよ、俺は蒼兎んとこに、すぐちかくだけど。」
風華達はシェアハウスに戻り、龍斗は一人残る。そして蒼兎が消滅した場所まで来る。
『ハァ……全く……あん時俺が使えてたらなぁ……。』
「やめようぜ相棒さん、そんな話をするのはさ。」
自販機で買った缶ジュースを1本置いて龍斗も同じものを飲む。クロを傍らに置いて一人呟くように言う。
「蒼兎……俺、ちゃんと出来てんのかな……霊夢を守れてないし……ホントに俺に任せていいのかよ……。」
『………』
翌日、副担任である烏間が黒いバンに乗って龍斗達を迎えに来た。
「君達が南宮先生の言っていた護衛の者達か?」
「はい、よろしくお願いします。」
「………。」
副担任であるため面識が無いわけでは無いがあまり話してこなかったため今何故、烏間が自身達を見て少し申し訳なさそうな顔をしているのかが分からず龍斗は混乱していた。
「あの……?」
「……君達も仮面ライダーで、白神は……。」
「俺らが仮面ライダーだったのは驚きましたか?」
「政府からも警戒するように言われていた、それが自分のクラスの生徒だったとあってはな……それに……。」
烏間が言葉に詰まっているとその意図を察した龍斗が先に口を開く。
「蒼兎の事は気にするな……って言う方が難しいかもですけど……でも俺らはアイツに託されたので!」
龍斗の言葉に首を横に振る烏間。
「……教師が生徒を守れなかった、自分の不甲斐なさが腹立たしいだけなんだ。それはアイツも同じだろう。」
車に乗るように言われた龍斗達は烏間に運転してもらい黒いバンで殺せんせーを迎えに行く。
バンが止まったので車を下りる。研究施設のような場所から殺せんせーは現れた。
「教師が生徒に守られるなど、不甲斐ないばかりですがよろしくお願いします、皆さん。」
「それと……白神くんのことについてですが……。」
「えーっと、俺らはもう大丈夫と言いますか……。」
「いえいえ…白神を守れずに本当に申し訳ない…。」
「……。」
蒼兎の話を掘り返される度にシェアハウスの面々は何も言えなくなる。しばらく沈黙が続き、学校へ向かうため殺せんせーと車に乗り込む。
あと五分ほどで学校に着くという頃、橋を渡っている間に何かが通った気がした風華は窓を見る。橋の下とその奥には海が広がっている。しかし何かが確実にこちらに迫ってきているように感じた。
「ねぇ、龍斗。なんかこっちに来てる感じしない?」
呼ばれた龍斗は風華が見ている窓の方を見る。
「ああ、確かに……ありゃなんだ?」
「何か不審なものでも発見したのか?」
運転席から烏間が聞いてくる。席の位置は運転席に烏間、助手席に雷華、右後ろに龍斗、真ん中に殺せんせー、左後ろに風華の順のため、烏間は風華の言っている不審物を見ることができない。
「車を停めるか?」
「スピードは弛めた方がいいかもです。」
風華の提案によりスピードが落ちたバン。しかしそれでも迫ってくる物の速度が下がることはない。
「明らかにおかしい!車を停めてください!」
言われた通り車を停めた烏間。龍斗達は車を飛び降り向かってくるものへ警戒を強めた。やがて視認できる位置まできたそれは軍服を模した肉体から、真っ黒に染まった触手を持った怪人であった。
「殺せんせーに……似てる?」
雷華が不意に呟いた言葉通り、何も知らぬ一般人が見れば今対峙している怪人と殺せんせーは服と色を覗いて特徴が酷似していた。
「皆さん気をつけてください!」
黒いバンから殺せんせーが声を上げる。
「その謎の怪人は!私から
「「「ッ!?」」」
「とにかく!やってみなきゃわからない!みんな行くぞ!」
「ええ、そうね!」
龍斗はビヨンドライバーを装着しFATEミライドウォッチを起動する。
「変身!」
流れるように操作しドライバーのレバーを閉じて変身する。
『アクション!』
『投影!』
『フューチャータイム!』
『英雄!聖杯!願望!』
『仮面ライダーFATE!FATE!』
「「潤動!」」
風華と雷華も2つあるネビュラスチームガンでエンジンブロス、リモコンブロスに姿を変える。
『Engine running gear』
『Remote control gear』
龍斗はフェイトセイバー、風華はネビュラスチームガン、雷華もネビュラスチームガンとスチームブレードを構える。
黒い怪人は全身の触手をうねらせていた。