転生省特典犯罪制圧課活動記録   作:蒼かえる

36 / 49
ファイル33 歯車のスパーク

フェイトセイバーを構えた龍斗は黒い怪人へ切りかかる。頭上から振り下ろし切りつけるつもりだったがそこに怪人はいなかった。空を切ったフェイトセイバーに驚き、更に背中から鞭を打たれたような衝撃を感じて地面を転がる。

 

後ろから見ていた風華と雷華は目の前の黒い怪人が龍斗の前からいきなり後ろに回り触手を叩きつけたように見えた。

 

「どういうことこれ!?」

 

「目で追えないくらい早いってことでしょう……?」

 

雷華の疑問に風華が答える。風華は黒い怪人に向けて銃口を構えるが引き金を引くと同時に標的が別の場所に移動していた。怪人を銃口で追っていくも怪人が避けた瞬間、龍斗にエネルギー弾が直撃してしまう。

 

「グァッ!」

 

「ご、ごめん!」

 

「ちょこまか動くなぁ!」

 

雷華がブレードを突き出し怪人を追う、しかし全く刃は当たらない。

 

「みなさん!それは私から何かを吸い出しマッハ10で動けるようになっています!」

 

「今の私もマッハ10程しか動けません!」

 

「だから護衛を任されたってことか……?」

 

殺せんせーが黒いバンから声を上げて教える。目の前の謎の驚異にどう対応するか考える龍斗だが、そんな暇を与えるつもりはないようで黒い怪人は少し離れた場所から触手を伸ばして鞭のように攻撃でしてくる。

 

龍斗達は各々の武器で防御を試みるが不規則な動きで飛んでくる触手は防御することが叶わず雷華は飛ばされてしまう。

 

「うわっ!」

 

「雷華!」

 

雷華は元の姿に戻ってしまい触手による打撲で動けない。しかし痛みを感じる体を必死に起こして風華にギアエンジンを投げる。

 

「くぅぅ……お姉ちゃん!!」

 

投げられたギアエンジンを取ろうとする風華だが、何本かの触手が迫ってくる。

 

『ガヴェイン!』

 

フェイトセイバーの針を動かしながら龍斗は風華の前へ出る。刀身に炎を纏わせながら引き金を引き能力を解放する。

 

『ガヴェイン!デュアルタイムブレーク!』

 

「ハァァッ!」

 

剣を振り抜いて炎の壁を作る。触手は炎の熱さで近づけず風華はギアエンジンを受け取った。受け取ったギアエンジンをネビュラスチームガンに差し込み取り外す。

 

『ギアエンジン!』

 

自身のギアリモコンを差し込むとネビュラスチームガンは普段と違う反応を見せた。

 

『ギアリモコン!』

『ファンキーマッチ!』

 

「潤動!」

 

『フィーバー!』

 

再び自身の姿を言葉を口にし引き金を引く。黒い煙が周辺を覆い自身のアーマーとなっていた緑の歯車が弾ける。更に雷華のアーマーとなっていた白い歯車も現れ、煙の外で火花を散らしながら歯車がかみ合い弾ける。

 

晴れた煙から現れた風華に2色の歯車が嵌る。その姿は仮面を除いて風華と雷華の左右のアーマーが装着され、歯車と二本の角を模した仮面に変わり、歯車は火花を散らしながら回転しやがて止まる。

 

『PERFECT!』

 

変身シークエンスを終えた風華は今自身が纏っているその姿の名前を口にする。

 

『ヘルブロス、参上……!』

 

「合体した……!?」

 

烏間が驚愕の声を上げて目を見開く。黒い怪人は姿が変わった風華を警戒して龍斗を触手で弾き飛ばす。

 

「ウワッ!」

 

フェイトセイバーでガードするもマッハ10によるスピードによって生まれたパワーが龍斗を空中に上げる。数メートルほど後ろに飛ばされ、風華へ触手が叩きつけられようとしていた。

 

触手が胴体に直撃する寸前で風華は体を逸らして触手を避けた。今までに無かったことに動揺したような反応を見せる黒い怪人。

 

「ヘルブロスなら、マッハ10でも追いつけるでしょう……。」

 

風華が一歩踏み出した瞬間、怪人のほぼ同じスピードで肉薄し拳を突き出す。胸部に拳を叩き込まれ地面を削りながら後退する怪人。追撃として開けた距離も高速で詰めてケンカキックのように足を前に突き出し怪人を吹っ飛ばす。

 

怪人はマッハ10で動き始める。風華に突進し常にそのスピードで動き回る。風華もそれを追うように高速で動き始める。元の姿に戻った雷華や烏間から見れば、何も無い場所から突然衝撃波が様々な場所から発生しているようにしか見えない。

 

変身している龍斗も多少残った残像を目で追える程度にしか見えない。殺せんせーは2人の攻防を目で追い、その決着が着こうとしていた。

 

倒れている黒い怪人と着地したような体制の風華。振り返り黒い怪人に必殺の一撃を与えるべくスチームガンの引き金を引こうとする。しかし後ろから龍斗が風華を押した。その直後頭の上を何かが通り過ぎた。

 

風華の後ろから空中を舞うように動き、銃に取り付けられた刀身を振り抜く謎の乱入者。

 

「助かったわ龍斗……。」

 

「ああ、でもアイツ、いきなり現れて……!?」

 

数秒前、龍斗は黒いバンの上で人の形をした蜃気楼のような物を見つける。更にそれが手と思しき位置に銃と銃口に剣が付けられているようなものが現れたことから不審に思い目で追っていた。

 

するとバンの上から飛び出し、剣先を風華の首目掛けて体ごと横回転して切りつけようとしているのを目撃し風華の元へ駆け出し押した。そして現在、幸い間に合い剣が風華の首を切りつけることは無かったものの龍斗はその乱入者を見て驚く。

 

「お、お前……写真の男か!?」

 

乱入者は蜃気楼のような存在からやがてしっかり視認できるようになり、その姿は南宮によって渡された連続記憶喪失事件の重要参考にとして目をつけていた写真の男だった。

 

男の特徴通りの黒い肌にスキンヘッドの男性だった。唯一違う点は写真では黒いスーツであったのに対し、現在の姿は黒いズボンに上半身は黒い外套の様なものを来ていた。

 

「その写真の男とやらは知らんが、今ここでこいつを倒れては雇い主が困る、引かせてもらおうか。」

 

「ッ!行かせる訳ねぇだろ!」

 

『ランスロット!』

 

フェイトセイバーの刀身が光を放つ。一気に距離を詰めて写真の男に切りかかる。

 

「まぁそうだろうな。」

 

男は銃剣の柄の部分を連結させ双頭剣のような武器に変えて龍斗のフェイトセイバーを受け流す。双頭剣のかなり削るが受け流されたことで体制を崩しかける。その隙を見逃さない男は後ろから蹴りを入れて龍斗を転がす。

 

男が現れてから黒い怪人は回復に集中し、今それを終えたようで風華に攻撃された跡が無くなっている。そして体を委縮させてまた高速移動を行おうとしているように見えた。風華が追うつもりで構えると怪人は空中へ飛んで行った。

 

今飛行能力備えていない風華は追うことができずすぐに意識を切りかえて男を逃がさないように近づく。しかし男は黒い怪人が去ったのを見届けるとまた蜃気楼のように消えた。

 

龍斗はその消え方に自身のサーヴァントと似た物を感じた。その後、バンに乗り込み殺せんせーを無事学校まで送り届けた龍斗達は南宮に襲撃された事を報告する。

 

雷華は受けた攻撃に応急手当を受けるために保健室に向かった。報告を受けた南宮は殺せんせーの襲撃と連続記憶喪失事件の関連性を調べるために別の人物に連絡をとっているようである。

 

「お前らは校舎に戻れ、仕事を手伝わせているがお前らは生徒だ、学業を疎かにするなよ?」

 

自分達のクラスに向かう龍斗達は襲撃のことについて話し始める。

 

「あの写真の男……もしかしたらサーヴァントかもしれない……。」

 

「確かに言われてみればあの消え方は千代女ちゃんやアルトリアさん達のと似てるわね……。」

 

「お姉ちゃーん!龍斗ー!」

 

教室に向かう間に保健室から戻ってきた雷華と合流する。3人で歩きながら教室に向かう。

 

「雷華!怪我は大丈夫?」

 

「結構ヒリヒリするんだよねこれ…。」

 

そんな2人の会話を眺めていた龍斗は、気になって周囲を見回すと他の生徒からどことなく敬遠とされているような雰囲気や視線を感じた。

 

「龍斗ー?行こー?」

 

雷華に声をかけられて、少し離れていることに気付き歩く速度を早めて追いつく。教室に着いてもやはりどことなく避けられているように感じた。

 

「(やっぱり俺らが仮面ライダーだから……怖がってんのかな。)」

 

そんな考えが頭に浮かび、その日はその考えが頭から離れなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。