アドミニストレータによって転移させられた場所からネビュラスチームガンを使いなんとかシェアハウスまで帰ることができた龍斗達。負傷したアルトリアとクー・フーリンは霊体化して休み、龍斗と雷華は風華と咲夜から治療を受けていた。
そして事件の首謀者とこの世界に転生者を送った神がアドミニストレータであることを詩音に伝える。詩音は呆れた声を上げながら呟いた。
「ハァ……まぁあの女神ならやりそうですね……。」
「知ってるの?」
「えぇ、詳しい説明は長いので割愛しますが空席になった『支配の神』の座を生前の行いから彼女が適切だって言うことで、最近女神になったのがアドミニストレータです。」
「ホントに女神なんだ……。」
「まぁ彼女、性格に難アリでしたが特になんの問題も起こしてなかったので黒幕候補から除外してました、うっかりです!」
舌を出してふざける詩音を無視して龍斗は他の質問をする。
「あと写真の男がアーチャーって呼ばれてた、アルトリア達の同じサーヴァントだとも。」
「スルーですか……まぁ妥当なところでしょうね、仮にも女神なので持っている魔力量も人間を遥かに超えてますから、令呪を使えば裏切っても切り捨てることができます。」
「では何故最初からサーヴァントを使って自分で動かなかったのでしょうか?」
咲夜が詩音に質問する。その質問にはクロが答えた。
『相棒なら一級サーヴァント数体でもない限り負けない、少なくともそれほど経験は積んでる。』
『それに最初から自分で動くような奴じゃないんだろ、その女神。』
「相棒さんも知ってるの?」
『まぁそいつが元いた世界をついて、少し……な。』
歯切れの悪い回答をするクロに少し困惑しつつ治療を終えた龍斗は立ち上がり、少し声を張る。
「まぁ悪いことばかりじゃないしな!結衣ちゃんが復活してくれたし!」
台所で鍋の様子を見ている結衣に手を向ける龍斗。
「はい、ご迷惑をおかけしました!」
「いやー主が戻ってきてくれた良かったよ!」
白髪の少女の姿をとっているエボルトが伸びをしながら呟く。
「それに!今日は主がご飯作ってくれるんでしょ?いやー楽しみだなぁ!」
「もうそろそろだからあと少し待っててね、エーちゃん」
龍斗はエボルトに小声で耳打ちする。
「(結衣ちゃん、なんで部屋から出てきてくれたんだ?)」
「(たまたまだよ、今までぐちゃぐちゃだった考えがまとまって、たまたまアドミニストレータが現れたのを察知した私を使って変身して龍斗達を助けただけ、マジで偶然だったんだよね。)」
「(そっか……!)」
「できました!」
結衣が少し引きつった笑顔を浮かべながら鍋敷きの上にカレーのルーが入った鍋を置く。
「わーい!」
各々米をよそい、ルーをかける。
「「いただきます!」」
全員が一口食べると龍斗、風華、雷華、詩音は戦慄する。
「「「「……」」」」
「ど、どうでした?」
不安げに結衣が聞いてくる。
「「「「ぉ、ぉぃひぃです……」」」」
「……そうですよね……。」
明らかに嘘としか思えない反応に思わず涙を浮かべる結衣。
「え!?どうしたのみんな!?これめっちゃ美味しいけど!?」
そんな中エボルトだけはとても美味しそうに食べていた。
「か、隠し味にコーヒー豆入れようとしたら……入れすぎたんです……。」
「いや大丈夫!美味しいから!」
風華、雷華、詩音はなんとか完食し、龍斗とエボルトの2人で鍋のルーを全て平らげた。
「お、ぉぃしかったから!大丈夫!」
「うんうん、また作って欲しいくらいだね!」
「多分それはエーちゃんだけだと思う……」
なんとも平和な夜を過ごしたシェアハウスの面々だった。
翌日、久々に学校へ登校し、結衣を交えてアドミニストレータ、連続記憶喪失事件の重要参考人と接触したことを南宮に伝えた。
「そうか、写真の男、そしてその黒幕とも接触したか……。」
考え込むように顎に手を当てる南宮はしばらくした後に龍斗達に指示を出した。
「お前たちにはまた護衛任務についてもらう。まだ護衛は必要だと政府は考えているようだ。」
「そうですね、実際まだ襲ってきた奴は倒せてませんし……。」
「そうだ、今回は白神妹、お前にも頼めるか?」
「はい、今までいなかった分、取り返すよう努力します!」
「よし、それと事件についても引き続きよろしく頼む。」
「「「はい!」」」
下校することになった龍斗達は校門に向かっていた。
「てか、殺せんせー襲ってきたアイツ、一体なんなんだろうな?」
不意に気になったことについてアテもなく質問した龍斗。その質問について考え出す3人。
「特徴的には殺せんせーそっくりだったけど、全然違う感じだよね。」
『もしかしたらなんだが、いいか?』
「相棒さん?まぁどうぞ。」
『ライドウォッチには歴史を内包すると使用方法が2つあるんだ。』
『正しく歴史を内包したライドウォッチと、正しくない使われ方をするアナザーウォッチだ。』
「正しくない、ってどういうこと?」
『仮面ライダーはその人物じゃなきゃ務まらないってことさ、クウガなら五代雄介、龍騎なら城戸真司、そういう感じで正しくない使われ方をするアナザーウォッチを使うとアナザーライダーってのになれるんだ。』
『アナザーライダーはちょうどその歴史のライダーを怪人にしたような姿をしててな、特徴的が似てるなら殺せんせーを襲ってきたやつはさながらアナザーキャラクターだな。』
「アナザーキャラクター……。」
『しかしそれだと妙な部分も残る。』
「それは?」
『仮に殺せんせーの歴史を内包していたとしたら殺せんせーという存在は消えているはずなんだよ。』
『ライダーの歴史は継承されてたが継承された歴史のライダーは全員変身できなくなってた。』
『殺せんせーの場合、恐らく能力を失うはずだ。』
「じゃあ半分の力しか内包されてないんじゃない?」
「確かに、殺せんせーもそんな感じのこと言ってたな!」
なんとなく襲撃者の正体について見え始めた龍斗達、話を進める中、結衣が蒼兎が消滅した場所へ向かう。
「あれ?結衣ちゃん?」
龍斗が置いたジュースの隣に数本束ねられた花を置いた結衣。しゃがんで手を合わせていた。
「結衣ちゃん……。」
戻ってきた結衣に声をかける風華。
「ははは、いつまでも引きずってちゃダメなんですけど……。」
『主……。』
「早く帰ろう?」
4人はシェアハウスへ向かって歩き出した。
場所は変わり治安部隊の専用施設にある医療室。そこでは転生者である真藤 桜が負傷した治安部隊の隊員たちの治療を行っていた。
「ありがとう真藤さん、助かったよ。」
「いえ、これくらい全然大丈夫です!」
退出した隊員を見送り、治療した隊員の怪我の状態と回復後をメモする。不意に頭に仮面ライダーの存在が過ぎる。ペンを落とし体が震えだす。
「なんで……。」
「(最近ずっとこうだなぁ……白神くんが……消えちゃってから……。)」
「(他のみんなとも、最近全然話せてないし……。)」
始業式当日、教室から覗いていた転生者と仮面ライダーの戦闘。あまりの緊迫感に動けなくなったのを覚えていた。
「私も戦えてたら………白神くんのこと助けられたかなぁ……。」
誰もいない医務室で思わずそんなことを呟き顔を伏せる真藤。そう、誰もいないはずである、しかし真藤の後ろにはアドミニストレータが使役している写真の男、アーチャーが立っていた。
「そうか、ならば喜べ少女。お前の願いは今叶う。」
「え?」
アーチャーがアナザーウォッチを起動し、真藤の体の中に入れる。
「え?なに!?う、うぅぅぅ……!」
苦しみのあまり地面に倒れ伏し、その姿は変わって行く。その様子を見届けたアーチャーは霊体化で姿を消した。
気がついた真藤は、近くにあった鏡を見て驚愕する。
『レイムゥ……!』
筋肉質な黒い肉体、陰陽師のような衣装、憎しみや憎悪を感じさせる表情をした男性のような顔、一般人が見れば怪人と思しき姿に変えられた真藤は鏡を見てただ驚愕するしか無かった。