殺せんせーの仮称キャラクターウォッチを入手するため、恐らく所持しているであろう殺せんせーの過去の姿である伝説の殺し屋『死神』と接触するため詩音により発案された「自身が標的となる」作戦は現状、他に案が出なかったため採用されることになった。
死神に殺害を依頼するのは詩音、龍斗達はその対策を考える班に別れた。
「つってもな、伝説の殺し屋って言われてるくらいだしな……?」
「さすがに2回も死を経験したくはないわね……」
「ちょっ!怖いこと言わないでよお姉ちゃん!」
三人であれこれ話していると結衣がやってきた。
「何をお話してるんですか?」
「結衣ちゃん、伝説の殺し屋に殺されないようにする方法ってなんだろうね?」
いきなり今来たばかりで意味不明な質問をされて戸惑う結衣。
「えぇ!?えと、標的にされないように生きていくしかないのでは……?」
「いやいや結衣ちゃん、真面目に答えなくていいよこれ?」
「陣形を組むならアサシンの千代女ちゃんも組み込んだ方がいいわね。」
想像のできる範囲で対策を立てながら話を進める龍斗達。夕食後に作戦会議を行い時間は午後11時を回ったため、就寝することになった。
「よし、とりあえずこんなところだろ?」
「そろそろいい時間だしね、明日も学校あるし。」
「はぁ……疲れたぁ……」
「じゃあ解散な、おやすみみんな」
各々自室に戻っていく中、龍斗はクロに呼び止められた。
『おい、龍斗。』
「どした、相棒さん?」
『恐らくだが、死神は技量的な話で言えばセイバーやランサーと変わらない。今まで相対してきたどの転生者よりも技術に関していえば桁違いだ。原作キャラでもあるしな。』
「……ああ」
『だから、もしヤバくなったら……俺を使え。』
「……相棒さんはいいのか?」
『これでお前らのうち誰か一人でも死なせたら相棒に顔向けできねぇからよ。俺を使うのは体力をかなり持っていくからそこだけ注意しろよ。』
「ありがとう、相棒さん。」
龍斗達はどうにか互いの知力を振り絞り、入念な準備を整えた後、殺し屋死神と接触を図る作戦が決行された。
作戦の内容は龍斗が標的として依頼されているため、龍斗の周辺には霊体化したサーヴァント達が四方を監視。少しでも不審な動きがあれば風華と雷華が龍斗の守りを固める。その包囲網すら突破されそうになった場合は結衣とエボルトが戦いに入る。
もし、更に結衣とエボルトも倒された場合、ロックシードを使ってクラックで緊急避難を行う。しかし戦うことなく平和的な解決が望めそうであれば、キャラウォッチの所在について教えてもらう。
現在は龍斗一人が散歩しているような素振りで周囲を歩いている。霊体化したサーヴァント4人が龍斗の周りを囲んでいるが周りの人間には見えないので不審な点はない。
詩音には作戦決行日に合わせて死神に殺害を依頼している為、龍斗達は隙だらけに見えるこの状況で動きがあると考えていた。風華と雷華と結衣は少し遠くから見張っていた。
そしてその予想通り、龍斗の目の前に怪しげにフードを深く被った男と思われる人物が龍斗の前に立ち塞がった。
「来たな……!」
「アンタが死神か!?」
大声で問いかける龍斗、相手はなんの反応もないかと思えばどこに隠し持っていたのか大きな鎌を取り出す。
「沈黙は肯定と見ていいんだな?」
「(鎌を出したってことは平和的解決は望めなそうだな……)」
龍斗はショットライザーとバックルを装着しプログライズキーのロックを強引に解除しキーを起動する。
『バレット!』
ショットライザーにセットしてバックルから引き抜く。それまでずっと相手の出方を見ているが動きはあまり無い。
『オーソライズ!』
『Kamen-Rider!Kamen-Rider!』
「(どういうことだ、動きがない……?)」
「変身!」
銃口を目の前の死神らしき人物に向けて引き金を引く。
『ショットライズ!』
銃弾は不規則な軌道を描きつつ死神の方へ向かう。向かってきた銃弾を後ろへ飛んで避けてまた佇むだけ。あまりの反応の薄さを不気味に感じつつ、龍斗は帰ってきた銃弾を殴りつけてスーツとアーマーを纏っていく。
『シューティングウルフ!』
『The elevation increases as the bullet is fired.(弾丸を撃つ度に気高さは増す。)』
「変身してる間に襲ってくると思ったが……余裕があるのか?」
龍斗は引き金を引いて死神へエネルギー弾を放つ。先程の変身時の銃弾とは違い、確実に攻撃を与えるためのエネルギー弾。鎌を取り出すのみの反応しか見せなかった死神にエネルギー弾は向かっていく。しかし
「なっ!?」
エネルギー弾が死神を通り抜けていく様子を見た龍斗は死神に向けて更にエネルギー弾を撃ち込む。しかし結果は同じで死神の体を通り抜けていくのみ。
「どうなってんだ!?」
「マスター」
クー・フーリンが霊体化を解除して現れる。
「ランサー!?」
「ありゃ殺し屋じゃねぇよ、立ち姿といいなんといい戦い慣れてるとは思えねぇ。」
「へ?」
「龍斗さぁーん!」
シェアハウスに待機していた筈の詩音がいつの間にか風華達を乗せた車で向かってくる。
「ソイツは死神なんかじゃありません!ドーパントです!」
「え!?」
助手席から風華がアタッシュケースを投げる。なんの脈絡もなく投げられたアタッシュケースを顔面に受けてしまった龍斗。
「いで!」
「イッテェ〜!」
「あ!ごめん龍斗!でもそれ使いなさい!」
「え?」
『アタッシュショットガン!』
龍斗は青いラインが入ったアタッシュケースを持ち上げると変形できそうな気がして展開してみた。展開されたアタッシュケースはショットガンのような形となった。
『ショットガンライズ!』
「すげぇ!」
走行中の助手席から風華が呼びかける。
「言ってる場合か!セットしてるキーを起動してもう1回さして!」
風華に言われた通りにアタッシュショットガンのグリップの下にセットされたキーを抜いて起動させる。
『メモリー!』
「起動してさす…」
『Progrise key confirmed. Ready to utilize.』
『ダブルズアビリティ!』
「ダブル!?」
待機音が鳴り響き龍斗はようやく意図を理解しドーパントと思われる死神に向けてアタッシュショットガンの銃口を向ける。
「そういうことね!」
『クライムカウンティングカバンショット!』
終始鎌を持ったままだった死神に向けてショットガンから放たれた緑と紫のエネルギー弾はそのまま死神に直撃し弾けた。倒れた死神はその姿を歪ませて銀色ののっぺらぼうのような姿を現した。
その姿もスパークを続けるうちに消えて金髪の男の姿になった。
『ダミー!』
たったそれだけ発したあと、金髪の男から排出されたガイアメモリは砕け、破片が地面に散らばった。
「ホントにドーパントだったのか…。」
龍斗の元まで来た詩音達は車から降りて龍斗と並ぶ。サーヴァント達は実体化して倒れた男の拘束に向かった。
「詩音、これどういうこと?」
「私が依頼した死神は偽物だった訳です、もっとちゃんと確認しとくんでしたね、すみません。」
「あ、いやそれはいいんだけど…じゃあ相手がドーパントだってなんで分かった?」
「私、転生者が出現したら検知できるようにレーダーを作ってたんですよ、学園島全体のレーダーでして悪いことしてない転生者にも反応しちゃうので大体気にしてなかったんですよ。」
「数日前にも反応がありまして、気にしてなかったんですが偽物の死神が来てたんですねー」
「で、さっき死神が偽物だったことに気付いてレーダー見返して特典の確認とって、ガイアメモリ対策で完成させておいたその装備を届けに行った訳です!」
「大体私の確認不足ですね、本当にすみません。」
詩音に頭を下げて謝られた龍斗は多少狼狽しつつも自身のサーヴァント達が男を拘束している様子を見て詩音に声を掛ける。
「まぁ特別危険な訳じゃなかったから全然いいよ、気にしなくても。」
「ありがとうございます、じゃあ気を取り直して!」
「私の完成させておいた新!装!!備!!!どうでした!?」
「え!?ああすごいよ!めっちゃ変形するのも俺好みで新しいキーもすごいな「そうでしょう!ここでそのキーを作成するのはとても大変でした!ここで破損したガイアメモリからデータを抽出したりデータを打ち込んだりでもう大変で大変で!」…分かった分かったから!」
サーヴァント達が男を拘束し、龍斗は詩音に詰め寄られている間に風華達はキャラクターウォッチの所在を考えていた。
「ウォッチを持ってそうな相手が偽物なら本物はどこにいるんだろうねお姉ちゃん?」
「私が知ってたら直ぐに教えたわよ」
「ああ!それについてはですね!」
龍斗と話しているのに夢中だった筈の詩音はいきなり風華達に説明しだした。
「死んでます、本物の死神。」
「「「え?」」」
「なので、殺せんせーのキャラクターウォッチの所在は完全に不明です。」
数日後、龍斗達は学校での授業を終えて昼休みに屋上で昼食をとっていた。話す内容は殺せんせーのキャラクターウォッチの所在についてである。
「マジでどこにあるんだ?唯一頼みの綱が既にご臨終とか……はぁ……。」
雷華が思い返すようにつぶやく。
「そういえば潮田くんって殺せんせーと同じ中学校だったよね?」
「殺せんせーがやりたいって言って担任してたって聞いたぜ。」
「ってことは潮田くんとかに聞いてみればわかるんじゃない?」
「……まぁ聞かないよりはマシだな」
『確かにライドウォッチは本人が持ってないこともあるな。』
「え、マジ?相棒さんそれ早く言ってくれよ……。」
昼食を取り終えた後、龍斗は渚の元へ向かった。
「(そういえば殺せんせーの話して記憶がないってこと分かってからはなんの話もしてねぇな…。)」
廊下の窓から何か音が聞こえた龍斗はそちらの方を向く。黒い塊が見えて、それがどんどんと近づいてくる。
「!?」
軍服に身を包んだ真っ黒い触手と丸い頭を持つアナザー殺せんせーが窓を突き破って現れた。突然現れた怪物に驚いた生徒はその場から逃げていく。
「うわぁぁああ!」
「黒い化け物だ!」
「逃げろ!」
アナザー殺せんせーが腰が抜けて取り残された生徒へ近づいていく。
「ひぃぃい!」
龍斗が飛び蹴りで離れさせて生徒を逃がす。
「逃げろ!」
龍斗はビヨンドライバーを腰に装着しFATEミライドウォッチを取り出す。
『ビヨンドライバー!』
『FATE!』
「変身!」
場所は変わり同時刻の渡り廊下で、風華と雷華、結衣は突然現れた怪人と交戦している南宮の加勢に回っていた。
「南宮先生!」
「お前らか!今は話す余裕なぞないぞ!」
南宮が魔法陣から出現させている鎖で拘束しているのは見たことの無い怪人2体だった。一方はテロリストのような衣装を身にまとった筋肉質な黒い怪人で腕にはガトリングのような銃器が付いている。
もう一方はライオンや馬、龍といった動物、神獣達を無理矢理継ぎ接ぎに合わせたような人型の怪物だった。
「加勢します!」
『ギアエンジン!』
『ギアリモコン!』
『コブラ!ライダーシステム!』
『エボリューション!』
「「「変身!」」」
『Engine running gear』
『Remote control gear』
「気をつけろ!コイツらは厄介だぞ!特にあの継ぎ接ぎは!」
「(特にあの継ぎ接ぎ…まるで暁古城の眷獣のようだ!)」
住宅地から少し離れた場所の古びた小屋でアドミニストレータが空中に画面を映し出して襲撃させている校内を見ている。その場にはアーチャーは居らず、龍斗達の仲間であるクー・フーリンと違う雰囲気のランサーとソファで寝ている青年がいた。
「遠山キンジと暁古城を元にしたプロトタイプ、使い道はないと思っていたけどこれはこれでいいわね。」
「殺せんせーや博麗霊夢と違って周辺の人物が記憶を失わない、能力も十全に引き出せないで中々にイラついたけど晴れたわ。」
アドミニストレータの言葉に全く反応しない2人。
「まぁこんなのじゃ相手にならないだろうし……バーサーカー?」
バーサーカーと呼ばれたクー・フーリン似のサーヴァントは反応を示す。
「……なんだ?」
「アーチャーと一緒に彼のドライバーを取ってきなさい。」
「……フン」
態度は悪いが命令は聞き入れたのか霊体化してその場から消えたバーサーカー。アドミニストレータはそれを見届けると今度はソファで寝ている青年に声をかける。
「あの2人がドライバーを取り返ししだい、貴方にも戦って貰いますからね。」
無反応の青年、その様子に差程気にすることなく再び空中の画面に目を向けるアドミニストレータ。龍斗達の知らないところで自体は大きく動いていた。
はい、皆さんあけましておめでとうございます(激遅)
今年の目標は失踪せずに完結させることです。ゴールはもうすぐなのですが全然書けてません……でも完結はします!
それまでよろしくお願いします!