転生省特典犯罪制圧課活動記録   作:蒼かえる

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ファイル45 なぜ彼は敵になってしまったのか?

「……おい嘘だろ、なぁ!!」

 

龍斗、風華、雷華、結衣の目の前にいるのは自分達を守って死んだはずの蒼兎である。

 

「なんとかいいなさいよ、蒼兎!」

 

「お兄ちゃん……なんだよね!?」

 

「蒼兎!なんでなにも言ってくれないの!?」

 

4人が驚愕と絶望した声を上げるが蒼兎は無言を貫いた。

 

「もしかして偽物なのか!なぁ!?」

 

『……いや、本物だよ龍斗。アイツは正真正銘、白神 蒼兎だ。』

 

龍斗の胸ポケットからクロが指摘する。長年蒼兎の相棒だったクロ自身が言っている。その事実が余計に4人の心を蝕んだ。

 

「何言ってんだよ相棒さん……偽物じゃないんだったら……アイツはなんで……なんで!」

 

「なんなんだよ……なんでだ蒼兎!」

 

「……」

 

「なぜだ蒼兎!!なんで女神のとこにいる!?」

 

「ウソ……なんだよね?本当はスパイとか、そういうのなんだよね?」

 

「だ、だってお兄ちゃんはみんなに優しくて……だから……!」

 

何も言い残すことも無く、蒼兎はその場から去る。あまりの衝撃に結衣は座り込み、顔を抑えて涙を流す。風華は立ち尽くし、龍斗は拳を地面に叩きつけ、雷華はそんな龍斗を支えながら呆然としていた。

 

 

 

 

 

シェアハウスに帰ってきた龍斗達は霊夢、咲夜、詩音に蒼兎との再会について話した。

 

「蒼兎……どうして……」

 

「まさかあの女神のもとに蒼兎さんが居たとは……」

 

「詩音、蒼兎が操られているってことは?」

 

「ほぼ無いでしょうね、そもそも特典犯罪制圧課はそういう耐性があるのが絶対的な前提条件です。例外はありません、試験運用時代からの古株である蒼兎さんなら尚更……。」

 

「じゃああいつは、あいつの意思であの女神に従ってるのか!?」

 

「認めたくはありませんがそうとしか……。」

 

「クソッ……。」

 

『相棒が敵に回っていたとしても、俺たちのやることは変わらないんじゃないか?』

 

「相棒さん……」

 

『それに、女神を倒したらもしかしたら相棒も戻ってるくるかもしれないだろ?』

 

「私は……お兄ちゃんを取り戻したいです!」

 

「結衣ちゃん……」

 

「だって、目の前で消えちゃったと思ったら生きてた……今は私たちと敵対してるかもしれないけど、それでも生きてた!」

 

「今度こそ、お兄ちゃんが辛い思いをしなくていいようにしたい!」

 

「そうね、例え敵に回っていたとしても……蒼兎は私たちの仲間だもの。」

 

「龍斗は?龍斗はどうしたいの?」

 

「俺は……俺も蒼兎のことは仲間だって思ってる…」

 

龍斗、風華、雷華、結衣達はそれぞれの思いを打ち明ける。

 

「じゃあみんな答えは一緒ね!」

 

「私たちも、彼に助けられた恩があります。」

 

「御館様の恩義に報いる絶好の機会、拙僧も全力でお手伝いをさせて頂きたく……!」

 

霊夢、咲夜、サーヴァントの面々も頷く。

 

「よし!絶対に女神ぶっ倒して!蒼兎を取り戻す!」

 

 

 

 

 

住宅街の外れにある小屋。そこへ向かう蒼兎に近づくのはフードを被った人物。

 

「やっほー。元気してた?」

 

「……」

 

「むぅー、喋れないわけじゃないんだからさ?なんか言ってよー!」

 

「……」

 

「……まぁいっか!それで妹達には会えたの?」

 

首を縦に降って答える蒼兎。

 

「そっかそっか!私もそろそろ声掛けてもいいのかなー?」

 

肩を竦めて「知らん」というような態度をとる蒼兎。

 

「テキトーだなぁ、まぁ女神様は君が出てからのこと特に言ってないし、大丈夫だよね!」

 

「私も()に会いに行こー!」

 

 

 

 

 

蒼兎との最悪な形での再会を果たした日から4日後。龍斗達は南宮に呼び出された。蒼兎の話は既にしてあり、南宮も驚いている様子だった。そして呼び出された理由は…

 

「転生者と思われる者達が集まっている?」

 

「そうだ、防犯カメラに不審な人物や比較的若い男が廃棄された工場に入る様子が頻繁に映っている。人数は恐らく14人。」

 

「お前らがマークしていた転生者の顔とも一致する。」

 

「そして極めつけはこれだ。」

 

近くに控えていたメイド姿のアスタルテが龍斗達に写真を渡す。

 

「アーチャー?」

 

映っていたのはアーチャーと思われる男の後ろ姿だった。

 

「これって……」

 

「何度も遭遇し戦闘もしているお前らなら分かるだろう?」

 

「更に、武偵に調査を依頼するとこんな会話まで聞こえてきた。」

 

そう言ってボイスレコーダーを取り出した南宮はボタンを押して再生する。

 

『「アナタたちは私がこの世界に送った転生者の生き残りです。」』

 

『「転生させるときに強力な特典も渡しましたね?」』

 

『「でも女神さんよぉ!仮面ライダーが居るせいで聞いてた話と違ぇんだがな?」』

 

『「知っています、なので生き残った優秀なアナタたちに私からのささやかなプレゼントと引き換えに、ライダーたちがいると思われる第一高校を襲って頂きたいのです。」』

 

「ッ!?」

 

ボイスレコーダーの音声を停止させて南宮が龍斗たちの方を向く。

 

「詳しい日時や時間も把握済みだ。」

 

「恐らく貴様らを殺すために総力戦になるだろう。この校舎も戦場になる。」

 

「………」

 

「だがこれは我々にとってもチャンスだ、真藤を除いた残り全ての転生者が廃工場に集結し、黒幕である女神もいる。これを我々は奇襲する」

 

「!!」

 

「お前たちには、転生者と女神を倒して捕まえて欲しい。」

 

「いいんですか、南宮先生。」

 

「当然だ、むしろ我々の力だけでは恐らく転生者や女神には敵わんだろう。だがお前たち仮面ライダーが協力すれば…」

 

「勝機はある」

 

「当然、我々も治安部隊も……学園島全体が全力で協力する手筈になっている。」

 

「向こうには転生者の他に、お前たちの仲間もいるが……」

 

「このチャンスを逃す手はない。」

 

「それに我々は何度も高校の襲撃を許している。だが今回はそれを許すつもりは無い。」

 

「奴らがここを襲撃するのは明後日の正午。だがその前に奴らが潜んでいる持ち場を事前に襲撃し捕まえる。」

 

「そして本命と思われる敵の主戦力を全員で迎え撃つ。」

 

「念の為に確認しておく。」

 

「この大規模作戦、受けるか?」

 

「当然です!」

 

 

 

 

 

南宮から詳しい話を聞き、治安部隊の隊長や武偵の代表との作戦立案を終えた龍斗達はシェアハウスに戻り、詩音と霊夢達に報告した。

 

「全ての転生者を捕まえる……戦力が集結して倒しにくくなる分、倒せた時のリターンも大きいですね……。」

 

「(ですがそんな大胆なこと、今になってなぜあの女神が……?)」

 

「今回は正直どうなるか分からない……だから急で悪いんだけど詩音からなにか勝ち目が上がる手があれば今言ってくれると嬉しい。」

 

「……準備はこれまで死ぬほどしてきたので全て出せと言われれば全て出しましょう。」

 

「しかし、それで全てです。それ以上の脅威があった場合、どうしようもなくなります……。」

 

「それでいいよ、全部出し切れなきゃどのみち負けるかもしれないし。」

 

「なら、龍斗さんのショットライザーを雷華さんへ、風華さんと雷華さん用に調整していたプログライズキーをお渡しします。ただ、ショットライザーもキーも1つしかないのでお二方のうちどちらかになりますが……」

 

「じゃあお姉ちゃんはヘルブロスで、私は新しい装備ね!」

 

「いいわよ、でも雷華、新しい装備使いこなせる?」

 

「うぅーん…そこは頑張るよ……」

 

「そして結衣さんには蒼兎さんの戦闘データとエボルトさんのデータを元に作成したエボルボトルを」

 

「お兄ちゃんの……?」

 

「蒼兎さんはグリスの前はビルドを使っていましたので、その長年の戦闘データとエボルトさんによるボトルの生成能力を元に仮面ライダーエボルを新たなフェーズに移行させるボトルを完成させていました。」

 

「心理的な問題から今までお伝えしていませんでしたが、今ならタイミング的にも心理的にも大丈夫でしょう!」

 

「はい……ありがとうございます!」

 

3人を見回す龍斗は自分に何がくるが期待する。

 

「それで詩音、俺には?」

 

「……」

 

「え?なんで目を逸らす?」

「……ありません」

「え?」

「ありません、龍斗さんにお渡しできるものはありません」

 

「まぁそりゃそうよね?」

「龍斗だけ上司の女神様からも詩音ちゃんからも色々貰ってたしね」

 

詩音から断言され、意気消沈する龍斗。追撃のように風華と雷華からも言われてしまいしょうがないと断念する他なかった。

 

「しかしこれで大丈夫でしょうか?」

 

「まぁここからは俺たち次第だな……」

 

『主!体を慣らしておこうよ!』

 

各々が明日の大規模作戦への準備を進めていた。

 

 

 

 

 

「あちゃー出るタイミング失っちったなぁ、でも明日来るんだ?へぇー……」

 

フードを被った人物は龍斗達のシェアハウスを覗き込みながら呟く。

 

「それなら面白いことできそうだね!」

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