転生省特典犯罪制圧課活動記録   作:蒼かえる

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ファイル4 ライダー対戦

体育祭当日。入学式同様、最初に多くの人々から言葉を貰う。生徒がアナウンスで、その人々の紹介を入れる。

 

「ではここで、アルディギア王国第一王女、ラ・フォリア・リハヴァイン第一王女にご挨拶があります。」

 

『中々にべっぴんさんだなぁ……』

 

蒼兎は特に気にすることも無く話を聞いている。途中、王女が前にいるパーカーを着て項垂れているクラスメートや中等部の方に何度か視線を合わせていた気がしたが蒼兎が気にすることは無かった。準備運動の体操が終わりいよいよ開催のアナウンスが入り、生徒達に熱が入る。

 

「(すげぇ気合いの入りようだなぁ。)」

 

『男は王女とやらに見られてるからじゃねぇか?』

 

開始種目から自身の出番までまだ時間があるため、蒼兎は席に座り観戦する事にした。着々と種目が終わっていく中、ビルドフォンから通知が来る。

 

「(仕事だな……)」

 

誰にも気づかれないようにこっそりと抜け出し蒼兎は転生者がいる方へ向かう。体育館裏にて校庭に注目されているせいか口を塞がれ、連れ去られて行く女子生徒に気づくものがいない。

 

女子生徒が助けを呼ぶために叫ぼうとするが、連れ去ろうとしているフードを被った男はナイフを首に突きつけて脅す。

 

「暴れたり、叫んだりしたら殺す。」

 

フードの男がそう言い放つ。女子生徒がもうダメかと思ったその時、男が持っていたナイフが横からの蒼兎の左足の蹴りによって蹴り飛ばされる。そしてすぐに男から女子生徒を引き剥がし、蒼兎は背を向けて女子生徒へ逃げるように促す。

 

走り去っていく女子生徒を見て悪態をつくフードの男の方を向く蒼兎。

 

「(あの様子じゃあ顔も覚えてないな。)」

 

「テメェ……何しやがる。」

 

「こっちのセリフだ。こんな時にこんな場所で何しようとしてた?」

 

「オレはただ、研究したかっただけだよ、人間は死ぬと、どんな目をするのかってなぁ?」

 

「はぁ……まだ人を殺してないような奴が言うことじゃない。今ならまだ引き返せる。」

 

「そんなつもり無いね!」

 

男はフードの後ろから黒と水色の剣を取り出し、構える。

 

「チッ!」

 

蒼兎は振り下ろされる剣を右にローリングで避けながらスクラッシュドライバーを腰に巻き、なぎ払いを後ろへ飛んでかわし、ロボットスクラッシュゼリーを取り出しキャップを合わせて構える。

 

二本同時の突きにバク転で後退してゼリーをドライバーの窪みに差し込む。

 

『ロボットゼリー!』

 

レンチを下げてプレス機がゼリーに潰し、中の成分が隣の容器に充填されていく。

 

『潰れる!流れる!溢れ出る!』

『ロボット イン グリス!』

『ブラァァァァ!』

 

「仮面ライダーグリス、見参……!」

 

「ほう……」

 

男は剣を回しながら蒼兎と距離を詰める。蒼兎もツインブレイカーを左手に装備しアタックモードで構える。先に動き出したのは男の方。片方の剣は突きの構えでもう片方の剣は引っ張られるように何も構えていない。

 

蒼兎は強化された身体能力を生かして男の剣の間合いに入らないほど上までジャンプし、上から重力をのせたブレイカーの杭で男を脳天から削ろうとする。

 

男は剣を重ねて防御する。しかし重力をのせての蒼兎の全体重をかけた強引な攻撃に思わず膝を付く。しかし男は耐え切り蒼兎を押し返す。

 

「ハァ……ハァ……」

 

「もうバテたか?」

 

「んなっ!?」

 

男はあれだけ激しく動いていれば自分と同じように疲れているハズだと思っていたが予想に反し蒼兎はまだ体力をかなり残していた。蒼兎はロボットフルボトルを取り出し、ブレイカーにある窪みにセットする。

 

『シングル!』

 

蒼兎は腰を落としブレイカーを構える。ブレイカーの引き金となるスイッチを押して杭にボトルの成分を纏わせる。

 

『シングルブレイク!』

 

大きく踏み込み、ブレイカーの突きを繰り出す。男の剣がガリガリと激しい音を立てながら削られていく。まずいと思ったのか剣を振り上げ威力を上に逃がすも、大きく空いた胴体に蒼兎は思い切り蹴りを入れ込む。

 

男は吹っ飛ばされ体育館の壁に激突する。蒼兎はブレイカーにロボットスクラッシュゼリーをセットする。

 

『ツイン!』

 

杭から先程以上にエネルギーが纏われていく。蒼兎はただ立っているだけで構えない。男は剣を構えて蒼兎に突っ込んでいく。それを見た蒼兎は剣が自身に届く寸前にカウンターの要領で男の胴体に杭を当てる。

 

エネルギーの余波によって体は吹っ飛び、血だらけになりながらも立ち上がろうとする男。しかし体はとうに限界を超えていた。蒼兎はブレイカーをビームモードにして構える。

 

「おい、もう苦しいだろ……。」

 

「まぁ……な……。」

 

「楽にしてやる、こっちに面向けな。」

 

「はは、なんだよ。こんな状況で言うことじゃねぇが……空、雲一つありゃしねぇ。」

 

蒼兎は男の眉間にエネルギー弾を撃ち込む。完全に絶命したことを確認し、変身を解除する。そして、自分の席へと戻っていった。どうやら次の種目が一年の騎馬戦のようで皆が準備していた。渚が少し遠くから声をかけてくる。

 

「蒼兎くん!もう出番だよ!」

 

「ああ!分かった!」

 

返事をしてやると手を振ってくる。

 

「(しょうがねぇ……こんどはこっちの仕事をしますか……。)」

 

そう考えて蒼兎は入場門へ歩き出す。

 

 

 

 

 

騎馬戦やクラス対抗リレーなどが終了し、お昼の時間となった頃合。蒼兎は渚や磯貝、志田達に混ぜてもらい昼食の弁当を食べていた。

 

「お前らの弁当美味そうだな!?料理得意なのか!?」

 

「まぁ、俺は弟や妹がいるからな。」

 

「一人で生活してれば身につく技能だぞ。」

 

「すみません、身につかないのが一人ここにいます。」

 

「ははは……」

 

昼食をとり、午後の部が始まる。そこから終わりにかけて転生者が現れた等の情報もなく、蒼兎は競技や観戦に集中できた。そして閉会式。

 

「(ここまで動きがないと不気味ですらあるな。)」

 

『戦いたいってことか?戦闘狂なのか?』

 

「(違うわ……)」

 

閉会の言葉でラ・フォリアが生徒達に賞賛と労いの言葉を述べる。そして閉会式も終わりとうとう体育祭が終わろうとしたその時。

 

『エクスプロージョン!ナウ!』

 

電子音が響き、ラ・フォリアの近くにいた護衛に魔法陣が現れ、爆発が起きる。普段目にすることの無い爆破という現象に生徒達は驚き、恐怖し混乱に陥る。

 

「キャァァァ!!」

「な、なんだあれ!?」

「いきなり爆発したぞ!?」

 

「(どういうことだ!?今のは明らかにライダーの魔法だ!しかも発動のあの電子音は手下の特典のだ!神の手下がこんな学校に何しにきやがった!?)」

 

混乱の中、この状況を推理するために思考をフルで稼働し何故ここにライダーがいるのか考える蒼兎。そこで相棒が蒼兎に一喝する。

 

『おい相棒!今んなこと考えてる場合じゃねぇぞ!』

 

はっ、と意識を戻し冷静にこの場を対処すべく蒼兎は魔法が発動しなかった場所を見つけ、そこへ生徒を誘導する。渚や磯貝、志田やその他武偵も避難誘導をしているようだ。

 

蒼兎は次に来るであろう攻撃に対処すべく、避難誘導とは真反対の方へ向かい先程戦った体育館の裏へ向かう。

 

「(なんでこんなことしたのか今は全く分からんが、とりあえずできる限りの事はしないとな。)」

 

「変身……!」

 

 

 

 

 

ラ・フォリアは護衛達が爆破に巻き込まれ生徒が混乱の中、自身もどう動けばいいか分からなくなっていた。周囲には爆破によって負傷した護衛と教師達。とりあえず彼らを助けようとした時、目の前に魔法陣が現れ中から白いローブを被った仮面の魔法使いが現れた。

 

両手に指輪を嵌めており、右手の指輪を変えて腰に巻かれた手の模様に右手を翳す。

 

『テレポート!』

 

そしてラ・フォリア自身の方に手を向け先程と同じような魔法陣が現れ狙いは自分だと気づき逃げようとしたが遅かった。目を瞑ろうとしたその時、黄金の兵士が横から現れ魔法陣からラ・フォリアを押して狙いを逸らす。兵士も魔法陣に当たらないように半身を捻って魔法陣を避ける。そして兵士はラ・フォリアを守るように前に立った。

 

 

 

 

 

「(……なんとか間に合った……が、こいつの狙いはなんだ?この王女になんの意味がある?)」

 

「邪魔シナイデ頂キタイ。」

 

魔法使いがカタコトの日本語で話してくる。蒼兎は相手に分かりやすいよう英語で返す。

 

「Hey hey. Will you speak in English if you don't speak Japanese?(おいおい。日本語通じないなら英語で話してやろうか?)」

 

「イイエ、結構。」

 

「なら答えろ。お前らの目的はなんだ?この王女様狙ってなんの意味がある?」

 

「目的……デスカ?我々ハ今、各国ノ主要人物ヲ誘拐シテイマス。彼女モ、ソノ一人デス。」

 

「ああ、そうかい?なら今は引いた方がいいぜ?それとも……」

 

「Will you kill here now?(今ここで殺してやろうか?)」

 

「フム……確カニ仮面ライダー同士……ドチラガ勝ツカ分カラナイデスネ?」

 

「……王女様?いつまでそこにいる気だ?」

 

蒼兎はラ・フォリアに目も合わせずに言う。目を離せないのだ。相手が次にどんな魔法を発動するか、分かっているかどうかで判断に大きな差が出てしまう。その差は命の奪い合いの戦いにおいては致命的なのだ。

 

「アンタが居たら戦えない……とっとと逃げな!」

 

「!!」

 

ラ・フォリアは離れていく。

 

「その特典……『白い魔法使い』で、間違いないな?」

 

「ハイ、知ッテイマシタカ?ソノ通リデスヨ。」

 

『白い魔法使い』

希望の指輪の魔法使い『仮面ライダーウィザード』と敵対した仮面の魔法使い。白い魔法使いの使う魔法は、ウィザードよりも強力であった。

 

「エラく丁寧に情報を吐いてくれるな……?」

 

「イエイエ、ソロソロ他ノ皆サンモ、終エタ頃デショウ。」

 

「(他の皆さん……同じここの神の手下か……。)」

 

「何ラカノ動キガアレバ来ルトハ思イマシタガ、私ノ方トハ……コレハアクマデ宣伝デス。」

 

「本番ハココカラデスヨ。」

 

『テレポート!ナウ!』

 

ラ・フォリアに使おうとした魔法で姿を消した白い魔法使い。謎の介入者によって体育祭は幕を閉じた。そして翌日、ニュースにて各国の主要人物が同時多発的に誘拐されたことが報道された。

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