テレビのニュース番組、その中でここ最近のニュースが報道される。
「現在、各国の企業、政治家等の主要人物が次々に誘拐されていることが判明しました。犯人の目的は不明ですが、その正体は今噂の『仮面ライダー』と酷似していると思われます。」
「仮面ライダーとは?」
「学園島にて目撃されているヒーロー、強力な力を持った戦士などと言われているそうです。」
「実際にありえない話ではないでしょう。誘拐された人物の中にはとても厳重な警備だったのにも関わらず誘拐されています。」
「学園島が開発した兵器ではないのかね?」
「ったく、好き勝手いいやがる……。」
シェアハウスのリビングにて、巷で噂の仮面ライダーの正体、その一人である蒼兎はニュースであることないこと、主にないことを言われ悪態をつく。白い魔法使いの一件で、学校は休校となっておりリビングでテレビニュースを見ていた。
『でもまぁ、この世界の人間からしたら、仮面ライダー並の脅威なんてそうそう知らんだろうさ。』
「人間の自由を守ってる存在が悪者扱いだなんて……皮肉だな……。人殺しに使ってる俺が言うのもアレだが……。」
『お前は仮面ライダーの力を殺しに使っても信念があるだろ?』
「『仮面ライダーと同じ信念のもとで、その力を行使しよう』……俺がこの仕事を始める時に掲げた信念だが……。」
『アイツらは自分の力だと思って好き勝手使ってるが、お前は違うだろ?』
「少なくとも……そうでありたいね……。」
「なれないこともしてるし……ホント疲れた……。」
『ああ、あの王女の前でキャラ変えてたの意識してたのか?』
「そうだよ……ん?」
ビルドフォンの通知音が鳴り、確認してみる。新しく転生者の情報が更新されていた。その中には蒼兎のクラスメートで、騎馬戦も一緒になった『志田 慎二』の名前があった。
「(あいつ、転生者だったのか……。)」
『特典は……無限弾?銃機器にリロードをしなくてもいいようになるだってよ。』
「だから武偵なのか。」
そしてもう一人、最近見知った名前を見つける。
「『真藤 桜』……あの何度も襲われてたあの子か……。」
『特典が治癒だってよ、比較的平和だな。』
「そういえば治安部隊に所属してるって聞いたな……機動部隊側じゃなくてその医療班か。」
特典犯罪の転生者が現れた通知音がビルドフォンから鳴り響いた。
『はいお仕事!』
「分かってるよ……はぁ……」
シェアハウスの廊下の玄関とは真反対の方には倉庫の入口がある。そこから倉庫へ入り、ビルドフォンにロボットフルボトルをセットしバイクにする。
『ビルドチェンジ!』
「うし……行くか……」
シャッターが開き目的地へ出発する。
普段は人通りの少ない場所にある神社。そこで一人の背丈が低い少年が少年よりも体が大きい青年数人に囲まれていた。少年は恐喝にあっている。しかし怯えた様子が見えなかった。
「おい、金よこせって言ってんだけど?」
「何余裕こいた面見せてんだよ!?」
「どいつもこいつも……」
「あ"あ"!?聞こえねぇよ!」
「下手に出てるからって調子乗りやがって……」
「気味悪ぃなこいつ……。」
「お前ら……うぜぇんだよォォォ!!!」
少年の背中から黒い尻尾のようなものが生えてくる。その尾は青年達のうちの一人を叩き潰した。
「うわぁぁぁ!!!」
「なっ、なんだよぉ!!」
少年は尾を横に振り払い青年達を吹き飛ばす。巻き込まれなかった青年は恐怖のあまり腰を抜かして尻をつき怯える。
「た、助けて……。」
「お前らに……カツアゲされた奴らも……そう思ってたと思う……ぞ。」
「ひぃぃぃ!!!」
「でもそこでやり返したら、そいつらと同じレベルに落ちるぞ。」
そこへ仮面ライダーグリスとなった蒼兎が現れた。
「お前も……ボクに暴力を振るうのか………?」
「暴力って言い方はあまり正しくない。力の使い方を間違えてるから、回収しに来た。お前の救われない魂もな。」
「うわぁぁ!!」
少年は尾を横に振り払う。尻もちをついていた少年は吹き飛ばされ蒼兎は上にジャンプして避けて上から来た尾を横から蹴って逸らす。少年の背中からまた三本の尾が生えてくる。そして蒼兎へ接近し尾を叩きつける。
『ツインブレイカー!』
蒼兎はツインブレイカーを取り出し、迫り来る尾に向けてブレイカーの杭で迎撃する。尾は金属のように固く、杭から火花が散る。そこから拮抗し蒼兎が腕を振り上げ衝撃を上に逃がす。後退しブレイカーをビームモードにして、エネルギー弾を撃ち込む。
『ビームモード!』
少年はエネルギー弾を尾で弾くが尾に焼け跡が残っていた。それに気づいた蒼兎はドライバーのレンチを下げた後、ロボットフルボトルとロボットスクラッシュゼリーをブレイカーにセットする。銃口にエネルギーが充填されていく。
『スクラップフィニッシュ!』
『ツインフィニッシュ!』
ブレイカーのスイッチを押し込み、少年の尾を撃ち抜く。少年が尾で防ごうとするが尾は攻撃に耐えきれず尾を焼き、貫いて少年も撃ち抜く。
「ゴフッ……なんで……いじめから……ただ……開放されたい……だけなのに……」
「!!」
蒼兎はネビュラスチームガンを取り出し少年の眉間を狙う。
「………来世は救われる……俺が保証しよう……。」
そう言われて少年は表情を柔らかくする。蒼兎は一瞬の苦も無く眉間を撃ち抜いて絶命させる。
「………」
蒼兎は自身の過去を思い出してしまう。
「……いじめ……ね……。」
周りを見渡すと少年の他に少年の尾で叩き潰された青年や、吹っ飛ばされた青年達が居た。もう死んでいるようだ。それを確認し蒼兎は変身を解除する。後処理は上司達がやってくれる。そう考え、神社の階段を降りていく。
「(なによあれ!?今噂の仮面ライダー!?でもあいつ、学校で見たことあるわよ!?)」
その神社に一人の巫女が全てを見ていた事も知らずに。