学校が休校から再開しまたいつも通りの日常を取り戻そうとした頃。時刻は7時半、ビルドフォンからコールが鳴る。連絡先は上司だった。
「もしもし、蒼兎です。珍しいですね。貴女から掛けてくるとは……。」
『はい、今回は重大な報告をしておこうと思いまして。』
「メールでは駄目ですか?」
『そうですね、直接伝えた方がよろしいかと思いました。本題ですがそちらの世界の犯人の手下が仮面ライダーであることはお伝えしたと思います。』
「はい、流石に驚きましたが……。」
『そこであなた一人では荷が重いと思い、転生省の新しい部署からの協力者を送りました。』
「はい?」
『教育課という新しい部門が作られ、そこの部門の役目は、あなたのような特典犯罪制圧員を育成することです。』
『そして教育課から最も優秀だった三人をそちらへ送りました。協力してこの世界へ対処してください。その三人は貴方の学校の転校生として来ます。では』
そこで通話を切られてしまう。蒼兎は驚きのあまり硬直していた。
『相棒?相ボーウ!』
「はっ!悪い……今まで助けなんて寄越したことがなかったのに……なんでだ……?」
蒼兎はその天界から来た救援に興味があるため、少し早めに登校して行った。
ホームルームの時間となり、殺せんせーが言う。
「今日は皆さんに新しい仲間を紹介しましょう。」
「こんな時期に転校生?」
「あれじゃね?ここって入るの大変らしいからそれで遅れたんじゃね?」
「最近は仮面ライダーとかで物騒だもんな。」
「ではどうぞ。」
教室のドアが開き、三人の生徒が入ってくる。一人は男で黒い髪に黄色い目の青年だった。殺せんせーが促す。男の方から大きな声で言ってくる。
「では、自己紹介をお願いします。」
「はい!俺の名前は『神木 龍斗(かみき りゅうと)』です!よろしく!!」
もう二人の方は女生徒で、一人が黒髪長髪で翠目、一人が茶髪短髪に黒い目、二人とも顔が似ているので双子のようだ。
「『赤城 風華(あかぎ ふうか)』です。よろしく。」
「妹の『赤城 雷華(あかぎ らいか)』です!よろしくね!」
「(アレが俺の協力者か?)」
殺せんせーが首を傾げる。
「おや?もう一人はどうしましたか?」
「すみませーん!!遅れました!」
廊下から大きな声で誰がやってくる。声からして女子だろう。ドアから入ってきたその人物に蒼兎は驚愕した。
「(……なっ!?)」
「『白神 結衣(しらかみ ゆい)』です!!よろしくお願いします!」
『あれ相棒……白神って……』
「(ああ、俺の妹だ……)」
休み時間、蒼兎は頭を抱えていた。
「(なんで結衣がいるんだよ……アイツも転生したのか……?)」
蒼兎は相棒と上司を除き、唯一自身の過去を知っている人物の登場に驚いていた。恐らく結衣以外の三人が救援だろうがそれを気にしているほど蒼兎に余裕はなかった。
その間、龍斗、風華、雷華、結衣の四人は転校生特有の質問攻めにあっていた。クラスメートに囲まれ、それに受けごたえする四人。その質問攻めは放課後までの休み時間全てで行われた。
時刻は6時半頃、蒼兎は落ち着きを取り戻す。ビルドフォンから転生者の通知が来る。力量を見るためにもちょうどいいと考え転校生三人に話しかける。
「お前達が救援か……?」
「「「!!」」」
その言葉に三人は強く反応する。
「その言い方は……あんたが先輩って訳だ?」
「それで?話しかけたってことは、仕事ってこと?」
「ああ、お前らの実力を見ておこうと思ってな……。」
「正直、俺もあんたの実力を疑ってる……。」
「なら、互いに確認といこうか?」
蒼兎はビルドフォンを見せる。ここから近い河川敷にピンが刺さっており、転生者がいるという目印である。蒼兎は三人を連れて目的地へ向かう。そこに結衣ともう一人、ついてきていることに気づかずに。
河川敷にて、二人の転生者が交戦していた。一人はリーゼント頭の転生者で手から爆発を起こしてもう一人の茶髪の転生者を吹き飛ばす。しかし吹っ飛ばされた直後に突如白黒の双剣を両手から出現させ、投擲する。しかしリーゼントはまた手から爆発を起こして双剣を砕く。そこへ蒼兎達が現れる。
「じゃあ神木、お前は俺と来い。赤城姉妹は爆破野郎を頼む。」
「まっ、ここは従いますかね?」
「お姉ちゃんと組ませるとは……なかなか見る目があるのでは?」
「双子姉妹の方が勝手が分かっていいと思っただけだ、行くぞ。」
蒼兎はスクラッシュドライバーを取り出す。龍斗もドライバーを取り出すがそれは蒼兎と同じスクラッシュドライバーだった。
「おー!お揃だな!」
「………」
二人はドライバーを腰に巻き、蒼兎はロボットスクラッシュゼリー、龍斗はドラゴンの成分がゲル状になって入っている『ドラゴンスクラッシュゼリー』を取り出す。そしてキャップを合わせ、ドライバーにセットする。
『ロボットゼリー!』
『ドラゴンゼリー!』
雷華は蒼兎も使っているネビュラスチームガンを取り出し、白い歯車が付いたフルボトル『ギアエンジン』を取り出しネビュラスチームガンにセットする。
『ギアエンジン!』
上から引き金を引き黒い煙が銃口から現れる。
『ファンキー!』
「はい、お姉ちゃん!」
「ありがと」
風華は雷華から受け取ったネビュラスチームガンに緑の歯車が付いたフルボトル『ギアリモコン』をセットする。
『ギアリモコン!』
二人の前で引き金を引き、銃口から黒い煙が二人を包む。
『ファンキー!』
蒼兎はいつも通り、龍斗は覚悟を決めるセリフとして言い放つ。風華と雷華もライダーではないが、戦う戦士として覚悟を決めるセリフを言い放つ。
「「変身!(……!)」」
「「潤動!!」」
『ロボット イン グリス!』
『ドラゴン イン クローズチャージ!』
『『ブラァァァァ!』』
蒼兎は仮面ライダーグリスに変身する。龍斗は蒼兎と同じようなビーカーに絞られスーツを形成し、頭部から溢れ出る水色の液体がアーマーを形成する。ゼリーの飲み口部分が胸に向かっており、ドラゴンの顔を横にした胸アーマー。頭部はドラゴンの顔を象った仮面。その戦士の名は
『仮面ライダークローズチャージ』
『Engine running gear』
『Remote control gear』
風華と雷華の周りの黒い煙が晴れるとそこに居たのは歯車の戦士。風華は左上半身に緑の歯車があり、仮面の左側は赤い複眼とリモートコントローラーを象っていて、雷華は右上半身に白い歯車があり、仮面の右側が赤い複眼とエンジンを象っていた。
雷華は『エンジンブロス』風華は『リモコンブロス』となった。
蒼兎と龍斗は双剣を構えた転生者へ向かっていく。蒼兎はブレイカーをビームモードで牽制しながら近づく。龍斗もツインブレイカーのアタックモードで接近する。杭が回転し牽制によって怯んでいた転生者の双剣を削り砕く。
「神木!バック!」
龍斗は言われた通りに下がる。その上から来た蒼兎がブレイカーにロボットフルボトル、ガトリングの成分が入った『ガトリングフルボトル』をセットした状態で現れる。
『ツインフィニッシュ!』
転生者は唐突な奇襲に後退するが数発、被弾してしまう。しかし転生者は双剣を出現させながら言い放つ。
『なんだよ!?お前らもカナコちゃん狙ってんのか!?』
「は?何言ってんだお前?」
「俺と、あそこ爆弾魔はカナコちゃん狙ってんの!!邪魔だから殺すだけだ!!関係ないなら消えろ!!」
「恋愛感情の為に特典を悪用するのか、ならばそれは死罪だ。」
『アタックモード!』
蒼兎はブレイカーの杭を突き付け言い放つ。
「シャッ!!」
龍斗もブレイカーの持ち手を右腕で押して掛け声と共に気合いを入れる。
リーゼント頭は風華と雷華が来ていることに気づき、射程内に入ると手の平から爆発を起こし、風華にぶつけようとする。しかし風華はしゃがんでそれを避け、後ろからジャンプで風華を飛び越えて来た雷華がバルブが付いた短剣『スチームブレード』で切り付ける。
「(こ、これが人を斬る感覚………やっぱり映像と現実じゃ全然違う!!)」
「雷華!」
雷華が少し硬直している間、思いの外早く立ち直ったリーゼント頭がまた手の平から爆発を起こそうとする。しかし風華が後ろからネビュラスチームガンで射撃して手を撃って狙いを逸らす。雷華はブレードで下から斬り上げる。
仰け反ったリーゼント頭に向けて風華は数発撃ち込む。肩、太もも、脇腹に当たり、倒れるリーゼント頭。
「お姉ちゃん」
「ええ………。」
「(これが……人を殺すっていう感覚なのね……。)」
手が震えているが悠長に休んでいられないと考え、蒼兎と龍斗の方へ向かう。
「ウラァ!ハァ!」
「……シッ!……フッ!」
蒼兎と龍斗は初めてとは思えないコンビネーションで、双剣を砕いていく。相手がまた双剣を出現させても、直ぐに二人で砕く。
「締めだ……!」
「分かった!」
蒼兎はロボットフルボトルとロボットスクラッシュゼリーをセットする。龍斗は機械的なドラゴンが飛んで現れ、それをキャッチして、首と尻尾を収納し、ブレイカーにセットする。
『ツイン!』
『READY GO!』
二人でブレイカーを構えて杭にエネルギーが凝縮されていく。そしてブレイカーのスイッチを押し込みエネルギーを解放する。
『ツインブレイク!』
『LET'S BREAK!』
二人が同時にブレイカーを突き出し、エネルギーによって高威力の嵐となって茶髪の転生者を襲い、茶髪は為す術もなく吹き飛ばされる。龍斗が手元を見るとかなり震えていた。
実戦と訓練は当然違う。人の命を奪うという感覚にまだ慣れていない。その様子を見ていた蒼兎は自身の手元を見てみる。しかし少しも震えておらずいつも通りだった。
「(……はぁ……。)」
風華と雷華も終わったのか蒼兎に近づいてくる。龍斗達は変身を解除するが、蒼兎はまだしていない。突然上から声がかかる。
「あんたら仮面ライダーだったの!?」
その言葉に蒼兎は頭を抱える。そして上から河川敷にやって来たのは頭に赤いリボンをした少女。同じ高校の制服でどこか見覚えがあった。
「あれ?博麗さん?」
「そうよ!転校生三人組!同じクラスの博麗 霊夢よ!」
「これはどういうこと!?そこにいる金色も私の神社で勝手に戦って!?」
「(しまった………神社の中は確認して無かった……流石にそれは不味いぞ俺………。)」
そして同じく河川敷に降りてくる者がいた。
「アレは白神さん……?」
「あれ?もう一人の転校生?」
「…………」
しかし突然、霊夢の後ろからリーゼント頭が手の平を頭の横に構えながら現れた。
「動くな!今すぐ武器を捨てろ!!」