部屋に戻る。けど、アキラにはその前に買うものがあった。だから今は街に出ている。
(誰か来るんなら、ちょっと食材増やさないとなぁ)
アキラは己が生活していくうえで必要なものはすべて買いそろえていたが、人が増えるとなると話は違う。
「はぁ、大変そうだなぁ」
「あれ? アキラ?」
「ん?」
新たなルームメイトが買い物かごを持っていた。
「どうしたの? こんなところに」
「それは僕のセリフ。買い出しだよ、買い出し」
そう言って食材と日用品ばかりのかごをシャルルに見せた。
「会長から聞いたんだ、もう伝えられてると思ったんだけど?」
「あ~、うん、聞いてるよ」
「だから。自分の分以上のものを買いに来てるんだ」
「そっか」
「で、シャルは何買いに来たの?」
「日用品とか買おうと思ってたんだけど・・・」
「じゃあ、一緒に回る?」
「え!? いいの!?」
「もちろん、君がよければだけど」
「喜んで(えへへ、アキラと買い物だぁ)」
「かご、貸して。僕が持つから」
「じゃあ、お願いしようかな」
そこから服、日用品、食品などなど、数々のブースを見て回り、必要そうなものを買いそろえた。ただ、問題があった。
「これ、ほとんどシャルのものだね」
「アキラ全然買わないんだもん」
「買うものがないからね。どれもイラナイ」
「じゃあ、部屋に行こうか。僕、荷物持ってるから扉、開けてほしいからさ」
「うん」
そこから、なんやかんや、デートっぽいルートを通り、寮に戻ったアキラとシャルルは荷物を整理していた。
「シャル、先にシャワー浴びてきなよ。僕が荷物整理してるからさ」
「え、そこまでは甘えられないよ」
「行ってきなって、まだまだたくさんあるから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
シャルルが洗面所に行った。
「あれ? これって・・・・・・?」
アキラの目に映ったのはちょっと変わったものだった。
(僕も、シャルもこんなものをかごに入れてないはずなんだけど)
それは、女物の下着だった。それに疑問を持って考えを巡らせると、ライから聞かされたデュノア社には愛人との間に産まれた女の子以外いないという話だった。
(あ、ボディソープ切れてるんだった)
ボディソープの詰め替えを持って脱衣所まで歩を進める。
「シャル、ボディソープ切れてない?」
運がいいのか悪いのか、アキラが脱衣所のドアを開けるのと、シャルルが出てくるのがほぼ同時で。アキラは男だと思っていたシャルルが、女性らしい体つきの、糸一つ纏わぬ姿でアキラの目の前に現れた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
お互い沈黙、どちらの思考が正しく機能し始めるのが早いか。
「……っ!」
アキラは咄嗟に顔を反らし、目をつぶった。
「ご、ごめん。こ、これ、ボディソープだから」
「う、うん・・・ありがと・・・」
アキラは常人の肉眼ではとらえられない速度でドアを閉めた。そしてそのまま自分のベットまで戻る。
(あれ? おかしいな、疲れてるのかな? 幻覚かな?)
シャルルの性別は男のはず。でも、シャルルの体つきは女性の物だった。
それからほどなくしてシャルルが部屋に戻ってきた。お互い終始無言、何とも言えない空気が流れていた。
「な、何か飲む?」
「う、うん。もらおうかな」
たどたどしい空気のまま、アキラは緑茶を湯飲みに。
「はい、熱いから気を付けて」
「うん、ありがと」
湯飲みを手渡し。手渡しをするんだから手が振れるのは当然。しかし、状況が状況であったがために。
「はぁっ! わぁっ!」
小さく素っ頓狂な声を上げ、湯飲みを打ち上げてしまった。
「ちょ、ちょっとっ! ・・・・・・アッツっ!」
湯飲みをつかむことには成功したが、こぼれた緑茶が手に掛かってしまった。
「ちょっと冷やしてくる」
湯飲みは机に置き、手を冷やしに。
「ご、ごめんね。大丈夫? ちょっと見せてっ!」
水で冷やすアキラの手を確認する。
「あぁっ! 赤くなってるっ、ホントにごめんねっ」
「大丈夫だよ、気にし、ないで」
シャルルのほうを見たが、腕に当たる感触を確認すると、顔をそらしてしまった。シャルルもその仕草をとられ、自分の状態を確認する。
「アキラのエッチ」
そう言って急いで腕から離れた。
「ご、ごめん」
初めから自分で手掛けるのは久しぶりですねぇ。どーも、白銀マークです。
まず初めにお礼から。誤字脱字報告してくれた読者様、本当にありがとうございました。今後も、「この文章おかしいんじゃね?」なんて思われたらどしどし、誤字脱字報告、お願いします。
さて、アキラ君、ラッキースケベしちゃったわけですが、アキラ君の設定、そんな子にしてないんですけどねぇ。書いているうちにだんだん、人間味を帯びてるみたいで、キャラが進化するんですよ。困るなぁ。
今後とも、気ままに定時投稿していくので、よければ日常の癒しに、どうぞ。