シャルルがシャルロットになってから、部屋が変わり、一夏と同室になった。
「まったく、誰が同室になってもゆっくりできないな」
椅子から、ゆっくり体を起こす。
「おはよう、ラウラ」
「お前、いつもそうやって寝てるのか?」
「うん」
とりあえずアキラのベットに置いてあったシーツをラウラに向かって投げる。
「寒そうだし、目に毒だから。それで体隠して」
「夫婦とは互いに包み隠さないものだと聞いたぞ?」
「間違っている、間違っているよ、その情報は」
「日本では気に入った相手が居たら、オレノヨメとか言うそうだが?」
「そんな常識はありません。第一、嫁は女の子しかなれないの」
ビシッっと指を出し決めポーズを決める。がその腕はつかまれ、ラウラに腕挫腕固を決められる。
「い、いい固め技じゃないの・・・・・・」
ギリギリと音を立てる。
「お前はもう少し寝技の訓練をすべきだな」
「残念・・・だけど・・・だてに全部武道習ってないんだよっ!」
肘固めから抜け出す。そして自分の制服の上着を着せる。
「あ、そうだ。今日の放課後、買い物に行こうと思うんだけど、来る?」
「何を買うのだ?」
「主に服かな。水着を持ってないのと、私服がなくてね。服を買わなきゃなって。予定あるならパスでもいいけど・・・「行くっ!」・・・わかった。じゃあ、一夏が起きる前に部屋に戻ってね。シャルも心配するから」
「仕方あるまい」
おとなしく部屋に戻っていった。
(あ、制服の上着、持っていかれちゃった)
のちに制服は取りに部屋に向かったところ、着替え中のシャルロットと出くわし、怒られたのはまた別の話。
移動中の電車のなかで、ラウラは苦言を呈する。
「アキラ、一ついいか?」
「どうしたの?」
「なぜシャルロットまでいるのだ?」
「君が僕の制服の上着持ってっちゃったせいでこうなったの。まぁ、もともと誘うつもりではあったんだけどさ」
そう罰悪そうに頬を掻く。
「あ、そうだ。ねぇ、シャルロット」
「ん? なに?」
「今まで通りさ、シャル、でいいかな? 呼びなれたのもあるけど、やっぱり親しみやすくていいと思うんだ。たぶんライさんはこれからはシャルロットって呼ぶと思うからさ。この呼び方は僕とシャルの間だけだよ」
「うんっ! いいよっ!」
すごくうれしそうに元気よく頷く。
(これで少しは機嫌がなおるといいな)
ショッピングモール内。アキラたち一向はアキラの私服を選びにメンズ服売り場を目指した。
「ごめんね、先にこっちに付き合わせちゃって」
「気にしないで」
「気にするな」
「いやいや気にするよ。お礼に水着、奢るからさ」
「えぇ、悪いよそんな」
「いいって。気にしないで。嫌なら、僕が水着、一着見立ててプレゼントにするけど」
「い、嫌ではないが・・・。だったらアキラ。お前が私の水着を見立ててくれ」
「わかった。シャルはどうするの?」
「じゃあ、選んで?」
「わかった」
先にアキラの私服を買った。アキラの私服センスはお堅いものが多く、ラフなものがなかった。本人曰く、最も便利なんだとか。それでは堅すぎると、シャルロットがチョイスした服も合わせて合計3セット。
「ありがと。僕、こういう堅い服しか買ったことなくてね。こういうカジュアル系の知識乏しかったんだ。大事にするよ」
アキラは知らなかった。己の笑顔の破壊力を。
「うっ!(ズキューンっ!)」
シャルロットが胸を押さえて倒れこんでしまった。
「だ、大丈夫?」
間一髪のところで抱き留めることに成功したアキラは服の入った袋を持った状態でシャルロットをおぶって行動を始めた。
「あ・・・うぅ・・・」
ラウラがアキラに何か言いかけ、やめた。
(今では、アキラの迷惑になってしまうかもしれん)
「どうしたの? 僕、何か落としちゃってた?」
「いや、そうではないのだが・・・」
手を繋いでほしい。素直にそういえないのだ。
「行くよ、ラウラ」
朴念仁は時に相手の心を読めるんじゃないかという行動をとることがある。シャルロットをおぶりながら、手を伸ばす。
その手を取り、シャルロットを寝かせるためベンチに行き、シャルロットが起きるまでの間、アキラはラウラの手を握ったまま、シャルロットに膝枕をするのだった。
さて、今回はお買い物。前編とあるように二話構成でいきたいと思います。……夏、終わりますねぇ。