風の凪ぐ、一面水たまりのような、薄い水の張る、霧の濃い水原。そこにアキラは寝そべっていた。
「あれ? ・・・ここは?」
体を起こす。服は・・・濡れていない。
「やっと起きたか」
目の前には懐かしい、しかしもう二度と会うことのできない人物がたっていた。
「・・・どう・・・して? だって・・・僕は君を・・・」
「あぁ、俺は生きてないぜ。今はちゃっかり、天国でのんびりしてるわ」
そう言い、アキラの隣に腰を下ろす。
「お前、なんでここにいんの?」
「・・・僕にもわからないな。それは」
「そっか。じゃあ、少しだけ話をしようぜ」
「遅れましたわ。状況は?」
「セシリア、回避ッ」
セシリアが回避行動をとると、元居た場所を、
「お前たちも、あたしの邪魔をするのかぁっ!」
「全員、生きることを第一に戦闘を継続っ!」
ライの指揮の元、まだ死傷者は出ていないが、それも時間の問題だ。
「現在、1700。次、1720に仕掛けるよ、全員参加だ」
「「「「「「「了解っ!」」」」」」」」
(アキラっ! 今君はどうなってるっ?)
そんな思いも、この一瞬だけ。すぐに戦闘に意識を向けないといけなかった。でなければ死んでしまう。
「お前、そういうの好きだったよなぁ」
「そうだね。懐かしいよ」
アキラはまだ水原の中だった。
「こんなとこで、のんびりしてていいのか?」
「わかんない。今の僕が、死んでるのか、生きてるのかすらわからない」
「なるほどな。お前らしいぜ」
「・・・君はさ、後悔、してない?」
「いや、そんなもん、みじんもねぇよ。俺は、お前に打たれて、よかったと思ってるぜ」
そういう彼の顔は晴れやかだった。アキラは驚く。
「でも、僕は友人である君を・・・」
「気にすんなや。俺は少なくとも、死ぬなら、撃ち殺されるならお前にって、思ってたんだぜ?」
だから、お前に殺してもらえて、お前に看取ってもらえて、うれしかったぜ。
ニシシと笑顔で、後悔なんてみじんもない笑顔で。
「そっか・・・」
「お前は、俺にいろいろ話してくれたよな」
「うん。怖かったけど、でも、話したかったんだ」
「うれしかったぜ、お前、いっつも自分のことになると逃げるからな」
「怖いんだよ? 嫌われたらって、離れて行ったらって、そう思ったら、言うのが怖くなるんだ」
「わかってたけどな。でも、お前の悪いとこだぜ? お前の周りのやつらはそんなに信用ならなかったか?」
「・・・わからない」
「だろうな。お前はお前自身のことを否定してるからな」
彼は空を見上げる。
「お前はさ、そろそろ、自分を認めてもいいんじゃないか?」
「くっ! 大丈夫、みんな?」
「そろそろきついぜ」
全員、ボロボロだ。
「指令、撤退します」
『許可する。四十万を連れて、戻ってこい』
「「「「「「「「了解っ!」」」」」」」」
ライは近くのむき出しの岩の上に墜落しているアキラを回収し、一度旅館に戻った。・・・
戦場から戻ってきた。ISは早急に修理を急がせ、全員休息をとる。アキラは現在、応急処置を施され、床に臥せている。
「アキラの容態は?」
ライは息子の状態が気になって仕方がない。アキラの受胎を確認したばかりの千冬に尋ねる。
「ひどいものだ。全身傷だらけでな。生きているのが不思議なレベルだ」
「そうですか・・・」
「あいつ、なんで一人で・・・」
「わかんない。わかんないよ」
皆一様に混乱するだけだ。なぜ一人で、なぜ・・・。そう思うと、アキラのことを何も知らないがために、全然考察が進まない。
「ねぇ、ライ」
「わかってる。言わなきゃ、いけないんだろうね」
二人は知っている。だから、言うか言わぬべきか、迷う。
「ライ、アキラについて、何か知ってるのか?」
一夏は気づいた。気づいてしまった。ならばライがとる道は一つしかない。
「知ってるよ、彼のこと」
カレン以外の専用機持ち全員の顔が驚きを表し、ライを見る。
「なら、教えてくれ。あいつは一体何者なんだ?」
「それを知って、一夏はどうするの?」
「え?」
「みんなもだよ。今ここで僕から彼のことを聞き出して、どうするの?」
ライは天秤にかける。ここでアキラに恨まれるかどうかを。
「どうするって・・・」
「そんな気持ちで知ろうとするのなら、彼に失礼だ」
あえて、きつく。あえて、恨まれるように。言の葉で人を傷つけるように。
「求めるなら、それ相応の覚悟が必要だよ。僕の友人の受け売りの言葉なんだけど、撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけ。ほんとその通りだと思う」
そう言い残し、ライは息子の元に向かった。
「ごめんね。ライがああいう言い方するのは、アキラのことを思っているからなの。だから、ごめんね」
カレンも、ライの後を追いかけた。ほかの人は、ただ、悔しそうに、悲しそうにするしかなかった。
「認める?」
「おうよ。いい加減、自分を否定して生きなくてもいいんじゃねえか?」
「それは・・・たぶん、一生かけても、僕にはできないよ」
「なんでだよ?」
「それはね。僕がいまだにやり直したいって、そう思ってるからなんだ。あの時、ギアスがかかる前に、何かできることがあったんじゃないかって」
「それは、俺との出会いすら否定してるぞ?」
「・・・そうなの?」
「お前がそんな現実だったから、俺はお前と出会えたし、お前と友達になれた、だからだ」
「
今まで近づいてこなかった。なぜかは分からないが、いまさらになって接近してきたのだ。
「整備状況は!?」
「全機、出せますっ!」
「指揮権を蒼月に譲渡するっ! 仕留めてこいっ!」
「了解っ! 全機発進、迎撃するよっ!」
「「「「「「「了解っ!」」」」」」」」
大空は悪雲が立ち込める。
こっからが難しいぞぉ、どもぉ白銀マークです。
さてさて、アニメ本編と違い、今回、