双璧の結晶と双璧が行くIS世界   作:白銀マーク

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友からの力は「勇気」だった

 着水まで四十秒。

 

「「アキラっ!」」

 

 ライと一夏がアキラを追って急速降下する。このままではアキラは海にまっ逆さまに落ちる。

 しかし、そんなことはお構いなしに砲撃を続ける福音。二人は近づくことすらできず、ただただ落下を見守るしかなかった。

 そんな二人を置いて、アキラは空に舞った。着水まで残り十秒。紫星は新たな力となり、またアキラとともに飛翔した。

 

「さぁ、また飛ぼう、紫星っ!」

 

 紫星は一層輝きを増した。紅蓮や白蓮のような羽には八枚の金属製の羽が。大型飛燕剣牙はなくなった。機体のフォルムが完全に紅蓮、白蓮に寄った。機体から目に見える射撃武装は消えた。

 

「今度こそ、僕と紫星罪壊夜極式(しせいしんかいやきょくしき)ならっ!」

 

 金属の八枚の羽ははずれ、八基の独立したユニットとして起動し、スカスカになった翼はエナジーウィングとして機能する。

 

「アキラ、その機体は?」

 

 ライと合流する。きらめく銀の翼をはためかせ、空を舞う。

 

「僕の、ラウンズとして、ロイドさん、ラクシャータさん、セシルさんに調整してもらった。最新にして最強と知らしめた機体です」

 

「シルエット、僕らと似てるね」

 

「ラクシャータさんにお願いしましたから。どれだけ時がたっても、僕の憧れなんですよ」

 

 ユニットで銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)にオールレンジ攻撃を仕掛けながら、空をかける。

 

「一夏、ごめん。遅くなった」

 

「いや、大丈夫だ。それより、どうしたんだ、それ?」

 

「僕の新たな力だよ。それよりもさ、手、貸してくれないかな?」

 

「何するんだ?」

 

「君の零落白夜とこの機体の輻射波動で一度機能停止に追い込む」

 

「ライの輻射波動は効かなかったんだぞ」

 

「大丈夫、そのためにこのユニットたちがあるんだから」

 

 銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を取り囲むユニットを指す。

 

「・・・それで行けるのか?」

 

「やれるはず」

 

「わかった」

 

「ライさんも、手を貸してください」

 

「わかった。やろう、これが最後の一斉一大の大仕事だ」

 

 空に軌跡を残しながら、一転、攻勢に出る。アキラがやろうとしていること、それはいたって単純だ。アキラのユニットには輻射波動機構を応用した、輻射増幅機能が内蔵されている。アキラが肘から使用する輻射波動砲を増幅して、さらに高威力の攻撃ができる。もともと、紅蓮、白蓮の次世代機絵あるため、輻射波動自体も改良、強化が施されているのだが、完全に沈めきるためだ。出し惜しみなんかしてられない。

 

「仕掛けます」

 

 ユニットで銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の行動を制限しながら肉薄して攻撃を行う。

 

「今度こそ、君をっ!」

 

「ほざくなぁっ!」

 

 銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)は高い機体性能で応戦してくる。しかし、今のアキラの機体は銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)すら上回る。紅椿すら、過去の世代の機体となる。機体性能、能力、すべてにおいて、誰も生み出すことはできないだろう。

 

「やるよ、一夏っ!」

 

「わかったっ!」

 

 一夏の零落白夜と紫星のコンビネーションアタック。一夏の零落白夜とアキラの輻射波動機構を使って、一気に銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)のシールドを削り切る。

 

「な、なんで!?」

 

「僕は教えてもらったんだ、この記憶が何を意味するのかを」

 

 崩れ行く銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を前にアキラは語る。

 

「だから、ごめん。君に殺されるわけにはいかないんだ」

 

 機体は崩れて消えても、パイロットは消えない。高高度から水面に向けて、一気に落下する。しかし、それをアキラは良しとしない。パイロットを優しく受け止める。

 

「なんでなのよっ! じゃあ、返してよ、あたしの、お父様と、お母様を、返してよぉっ!」

 

ひとしきり、アキラに当ったあと、気絶するように眠りに入った。

 

「あとで話そう、僕がここに身を置いている理由を、君に」

 

 眠り姫にそう宣言してから、ライと一夏と合流した。

 

「・・・対象、沈黙。パイロットを保護しました。・・・作戦終了です」

 

「わかった。指令、ミッション、完了です」

 

 オープンチャンネルで報告を入れる。

 

『了解だ・・・帰還を許可する』

 

「アキラ。その子は?」

 

「パイロットです。銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の」

 

「? 正規パイロットはいないはずだけど、確か、アメリカのナターシャ・ファイルスがパイロットのはずだけど?」

 

「たぶん、奪ったのだと思います。僕を殺すという復讐のためだけに」

 

「どうゆうことだよ?」

 

「彼女は、僕のことを覚えていたんだよ。だから、彼女には僕を殺す理由がある。たぶん、許してはもらえないだろうね」

 

 それ以上、アキラが語ることはなく、八基のユニットをうまく使い、専用機組全員を運び、旅館まで戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく戻ったな」

 

 旅館の前で千冬が待っていた。

 

「もう会うことのできない友人に力をもらいましたから。こんなとこじゃ死ねませんよ」

 

「そうか。だが、お前には反省文を書いてもらうぞ。命令違反だ。それに、特別授業も用意しているからな」

 

「わかりました」

 

 それが普通だと、さも当たり前のように受けた。たぶん、元からそういう性分なのだろう。

 

「ほかの全員、福音のパイロットも今は寝かせているが、体調が回復次第集合、福音のパイロットは、拘束し、軍に引き渡す」

 

「わかりました。織斑先生、これを」

 

「なんだ?」

 

「身柄の引き取りのさい、これを福音のパイロットに渡して下さい」

 

「・・・わかった」

 

「父上、僕は少し福音のパイロットの様子を見てきます。織斑先生ごめんなさい、集合はできないかもしれません」

 

「なぜだ?」

 

「福音のパイロットが福音に乗っていた理由、それは至極単純で、僕じゃないと解決できないからです」

 

「織斑先生、僕からもお願いします」

 

「・・・蒼月まで言うのであればわかった。ただし、課題を増やすぞ」

 

「喜んで」

 

 そう言ってアキラはその場を離れた。

 

「蒼月、あいつはなぜ福音のパイロットに会いに行くんだ?」

 

「あれは、彼なりのけじめですよ。僕の予想が当たってれば、ですけど」

 

(アキラはきっと、復讐のためだけに人生を費やしてきた、大切な家族を、助けに行くんだろうね)

 

 アキラの背中をライはほほえましく見つめていた。




 三回かな、定時投稿飛ばしまして、どうも白銀マークです。
 ちょっと、この話難しくて、時間かかりました。いろいろ新しい要素出てきたので、どこかで一気に紹介したいと思います。

 さて、福音のパイロットはアキラの”家族”ということで、誰なんでしょうねぇ。そして、アキラが千冬さんに渡したものとは? ・・・・・・え? 教えてくれって? それは次回に。

 次回もどうぞ良しなに。
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