アキラは目の前で眠る少女を見て思う。
(僕があの時、誰も殺さない道を選んだのなら、この子は、僕を恨むことはなかったのかな?)
それを考えること自体が間違っている。けど、そう考えてしまう。大切な、大切な人だからこそ、そう考えてしまう。
「・・・僕を許してはくれないだろうけど、それでも、償うことができるのならなんて、思ってしまうこと自体がだめなのかもなぁ」
「そうよ、だめに決まってるじゃない」
少女は起きていた。たぶん、部屋にアキラが入ったときから、ずっと。
「償うことはできないわ。だって帰ってこないんだもの」
「そうだよね・・・。まったく、殺すことばかりしていると、どうもダメ人間になってしまうみたい」
「あたしはあなたを許さないわ。でも・・・あの機体を見て、隣を飛ぶ誰かが居て、支えてくれる誰かが居て。そんなものを見ただけで、あたしはあなたが変わったんだなって思っちゃった」
「・・・変わらないよ、僕は。君が知っているアキラさ。根本的なところは何も変わっちゃいないよ」
「そう・・・」
「ごめんね」
「まぁいいわ。ところで、なんでここに身を置いてるの? らしくないじゃない」
「父上と母上がいるんだ」
「え・・・・・・」
「ほんとだよ。君が相手にしていた中に、紅蓮も白蓮もいたでしょ?」
「・・・ホントなの?」
「嘘じゃない」
アキラの瞳は強く輝く。
「だから、今度こそ守るよ。君も、父上も、母上も」
「あぁあ、損なことしちゃったなぁ」
「大丈夫だよ。君のことだから、戻ってこれるでしょ?」
「もちろんっ! 誰の子供で誰の妹だと思ってるのよっ!」
その顔は今までで一番輝いていた。
「じゃあ、またね、ユキネ」
「うん、またね、お兄ちゃん」
アキラは妹に別れを告げた。しかし、その別れは永久ではない。また近い未来、家族四人で生活できるだろうと、そういう期待のこもった別れだった。
だから部屋を出る。これ以上の言葉はいらない。お互いに不要なはずだ。
(そう言えば、なぜユキネが生きてるんだろ?)
アキラは家族を全員刺した。それは妹のユキネも例外ではない。ではなぜ生きているのか。
(・・・そもそも死んでなかった?)
それはギアスを上書きしたからわかるアキラなりの感想だ。
(もし、僕に妹を殺したと、妹が死んだと、そうギアスを父上がかけていたならば・・・いや、それすらわからないな。今の僕には)
鮮烈に思い出せる記憶だが、それでも、不可解な点があることは時がたつにつれて明らかになっていった。だからこそ、己の理解している領域に生じている矛盾に戸惑う。だから答えが出ない。
(たぶん、殺しきれていなかったのだろう。うれしい誤算だといいんだけど)
結局、うれしい誤算であることに賭け、忘れていた荷物を回収に海に向かった。
「さて、みな、集まったな」
千冬はあの後集合をかけ、専用機組(アキラ以外)を呼び出した。
「みなも聞いたと思うが、
「ちなみに、パイロットは何方でしたの?」
「それは答えられない。何せまだ目覚めてすらいない状況だ。聞き出せる状況にない」
「そうですか……」
「パイロットはどうなりますの?」
「良くて投獄でしょうか?」
「いや、今回は何か別の事情がありそうだ。四十万が何か知っているそうだからな」
「アキラが!?」
「どういうことかお聞きしても?」
「それは僕が説明するよ」
ライはそのまま千冬の許可なく続ける。
「あの子はケジメをつけにいくって言ってたから、アキラに関係する誰かなんだよ」
「それは、アキラの記憶に関係しているのか?」
「もちろん、その通りだよ一夏。誰なのかは僕も知らないけれど、知っていたとしても、彼が教えてくれるまで教えるつもりはないよ」
「蒼月、それは過保護すぎなんじゃないか?」
「彼は僕に似ています。当然と言えば当然なんですがね。迷ったときに抱え込んで、逃げ道を自分でつぶしていくあたり、ホントにそっくりなんですよ」
「わたしもわかる気がするわ。まったく話してくれないし、どこかよそよそしいのよねぇ」
「確かに。アキラ、ライとカレンに話すときは敬語だもんな」
「なんでなんだろう」
「積もるところは四十万から話があるだろう」
そこでライの携帯の着信が鳴る。
「失礼」
差出人はアキラ。
「アキラからの着信だ。・・・教えてくれるって、アキラの記憶」
「本当かっ!?」
「うん。けど、条件もあるよ。条件は・・・録音、録画、メモ、その他アキラの発言を記録できる媒体の持ち込み禁止、だってさ。・・・できるかい?」
「? どういうことだ?」
「アキラはね、きっと恐れてるんだよ。たぶん、僕が男として入学したことよりも、もっと重くて。きっと、保存されて周りにそのことが伝わるのが怖いんだよ」
シャルロットは思い出す。アキラが体のことを聞くなといったときの、悲しそうな声色を。きっと、あの時から葛藤していたのだろう。
「・・・僕はいくよ。今度は僕が助けるんだ」
シャルロットの瞳に灯るものを理解できるのは数すくない。たぶん、この場で理解できたのはライとカレンだけだろう。どんな歴戦の勇者もどんな魔王でも、きっと、理解できはしない。
「本当にいいの? ・・・正直に言うと、僕は「ライ、行かせてあげようよ」・・・カレン」
「あの子がいいって言ったんだから」
「わかった。・・・場所は・・・」
少し溜めて、はっきりと告げた。
「ここにきて初めて泳いだ砂浜の近くにある崖だよ」
かなり期間を空けましたぁ、どうも、白銀マークです。
モンハン、楽しいですねぇ、もうやめられなくって、えぇ、小説そっちのけで遊ばせていただきましたぁ。
なのでね、投稿ペース落ちるかと思いますが、これからもちゃんと投稿していくんで、これからもよろしくお願いします。