双璧の結晶と双璧が行くIS世界   作:白銀マーク

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ただ、誓いを果たすのみ

 アレクサンダ・スペリオルはその華奢なフレームからは考えられないような出力でMVKを振るう。

 

「くっ! こんのぉっ!」

 

 アラクネは押される、手数も、機体の持つ戦術幅でもアラクネは優位に立てる。しかし、その優位さをも覆す何かが、アレクサンダ・スペリオルにはあった。

 

「てめぇっ!」

 

 仕返しの意味を込めて射撃するが、手も足も出ないどころか、余計に相手に詰められてしまう。

 

「これで終わ「そうはさせない」なっ!?」

 

(あぁ、そうだ・・・。あれは僕だ・・・)

 

 突如アキラとアラクネを割くようにアキラの紫星に似たシルエットのISが。

 

「頭に血が上りすぎだよ。君と同じことぐらい考えるさ、なんてったって、私は君なんだからね

 

 一対一対一、三すくみで逃がしてもらえるのなら、一対一をさせて、満身創痍になった勝者を狩る。定石だ。特にターゲットの実力がわかっているなら、混乱に乗じてだったり、戦闘後であったり、弱り切ったところを確実に頂くことを優先する。

 

「さすが僕だ」

 

 アレクサンダ・スペリオルはシールドがほぼ完全に削られ、戦闘不能にまで陥った。

 

「これ、効くでしょ? 新作だよ」

 

 クローンが持っているものはパイルバンカーだ。しかし、通常とは異なる形状、一撃で吹き飛ぶシールド。

 

「ただのパイルバンカーじゃないな、それ」

 

「さすが私だね。これはブレイズルミナス機構を採用したものでね、とてつもない破壊力があるんだ」

 

 ISを動かして起きようとするが動かない。完全に機能停止している。

 

「しかもゲフィオンディスターバー付きだよ」

 

 クローンは武器を片付け、別の武器を展開し直す。

 

「さて、君の首をもらおうか」

 

 隣では一夏が拘束されている。蜘蛛の糸は一夏をとらえて離さない。絶対的に不利な状況、誰も助けられない無気力感。

 

(あぁ、また、また僕は・・・)

 

 また誰も助けられない。また、誰も守れない。また・・・大切な人たちを失う。どんどん意識がどす黒い沼に沈んでいく。足掻こうと思えば思うほど、深く、沈み込む。

 

『Biancaneve、起動します』

 

「あ? 誰だ今の声は」

 

「知らないね。それより、君もここで・・・っ!?」

 

 動けないはずのアレクサンダ・スペリオルがギギギと駆動音を立てながら瞳を紅くたぎらせ、装甲をずらし、隠されていた特殊なフレームを開花させる。

 

「なっ! う、嘘でしょ!? まさか・・・その機体は・・・」

 

「な・・・なんなんだよ、こいつはっ!?」

 

「あ、アキラ?」

 

 機体は紅いフレームをこれでもかと光らせ、ゆっくりと、ウルナエッジ改を展開。姿勢を低く、とびかかれるように、低くかがむ。

 

「だ、めだ・・・とめ・・・れないっ!」

 

「しまったっ! その機体に乗っていることを考慮しておくべきだった」

 

 クローンは足早にその場を立ち去る。クローンは知っている。このシステムの正体を。

 

「の、のまれ・・・」

 

 それっきり、アキラはしゃべれなくなった。ただ、機体と同じように瞳を紅く輝かせ、機体を動かす。

 

「なっ!?」

 

 今まで戦闘していた時よりも早く、鋭く、アラクネの懐に切り込む。

 

「どうしたんだよアキラっ!」

 

 返答はない、ただ淡々と、アラクネを切る。機械的な動きで、詰め将棋をする。

 

「アキラっ!」

 

 出入り口からライとカレンが来る。急いで駆けつけてくれたのが目で見て取れるほどに、二人の息は上がっていた。

 

「ライ、カレン、どうしちまったんだよ、あいつはっ!?」

 

「暴走・・・」

 

「暴走?」

 

「あの機体はSINKAIシステムの試作が積んであるんだ。ベースは殺すことしか考えてない機械で、一度このシステムを起動したらパイロットが使い物にならないと判断するまで、殺戮の限りを尽くす」

 

 二人はISを展開する。

 

「何する気だ?」

 

「彼を止める。これは僕らの仕事だ」

 

「あの子、ライに似て、すぐに自分を追い込んじゃうから。たぶん、それにシステムが反応したのよ」

 

「だったら俺も「だめだ」なんでっ!?」

 

「今の一夏じゃ、絶対に死ぬ。そしたらどうやってもアキラをこちら側に引き戻せなくなってしまう」

 

「でもっ!」

 

「アキラのことを考えるのなら、今は自分のみを案じてほしい。アキラは絶対に僕たちが止める」

 

「・・・わかった」

 

「一夏は地上組の援護に出てほしい。上にも来てるんだよ」

 

「わかった」

 

 一夏を縛る蜘蛛の糸を切り裂き、一夏を開放する。

 

「カレン」

 

「えぇ」

 

 輻射波動を二人でぶつける。その行動が結果としてアラクネを逃がしてしまったが、そんなことはどうでもいい。

 

「アキラ、戻っておいで」

 

 優しく声を掛けながら、アレクサンダ・スペリオルに二人掛でぶつかる。出なければ、きっと、止められない。

 

 機体スペックも、武装面でも劣っているにもかかわらず、システム一つで機体は性能の壁を簡単に超える。それは潜在能力が発揮されているのか、はたまた、違う何かがあるのか。ただ、何が何でも止めなければならない、何が何でも、引き戻さなければならない。

 

「僕(私)たちは君(あんた)に誓ったんだ(のよ)っ!」

 

 誰も知らない、二人の契約は、その意味を成すようにアキラと対峙する。




 やはり、このような遅い投稿となってしまいましたか・・・どうも、白銀マークです。
 時間かかりましたねぇ。何せ、元アニメ、元小説とはかけ離れた設定などが発生してますから、資料を見ながら制作してもなかなか大変ですねぇ。

 さて、アキラ君は機体のせいで暴走しちゃいましたねぇ、アラクネも逃がしますし・・・。

 今後ともよろしくお願いいたします。
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