「ご迷惑をおかけしました」
アキラは職員室で千冬に深々頭を下げた。
「まったくだ。宴会を引っ掻き回したと思ったら撃たれたなんて報告が入ったんだぞ?」
「申し訳ありません」
「お前を心配していた奴はいっぱいいたからな。生存報告でもしてこい」
「わかりました。私が処理してもよい書類がありましたらお願いします」
「わかった。いくつかお前に回す」
「ありがとうございます。失礼しました」
廊下は静かだ。誰一人いない。
「あら、アキラ君じゃない」
前言撤回、誰かいた。
「会長」
ちょっと嫌な顔をしたが、周りを見渡して悲しそうな顔をした。
「誰もいませんけど、職員室も近いですしね?」
「そうね・・・」
「まぁ、内緒話と同じ要領なら、できないこともないですよ?」
「そこまでして呼んでほしいわけじゃないわ」
「ははは・・・」
「で、何か御用ですか?」
「あなたの顔が見たくなったって言ったら、どうする?」
いたずらっぽい笑みで尋ねてくるが、アキラの親はライとカレンだ。恋愛感情や恋心に関することには朴念仁の称号が送られているアキラ。
「うれしい・・・ですかね」
「そ、そう・・・」
恥ずかしがるアキラを見たくて仕掛けたいたずらのはずだった。しかし、結局恥ずかしがる羽目になったのは楯無だった。
「本当にそれだけですか?」
当のアキラは何事もなかったように楯無の顔を覗き込む。
「っ! それだけよっ!」
怒ったような表情をして、そのまま足早にその場を離れていってしまった。一人、その場に立っているアキラは訳も分からずその場に立ち尽くすしかなかった。
「本当に、荒らしみたいな人だなぁ・・・」
要件は、結局あったのかすら、わからない。
「アキラ、いいの?」
「うん。大丈夫だよ、許可下りてるし」
「だからって、体も万全じゃないんでしょ?」
「このくらい支障はないよ」
現在二人はISの装備の護衛を任さており、現在、絶賛見張り中だ。
「みんなが来られないからってアキラが来ることなかったのに・・・」
「大丈夫だって。前回狙われた一夏が来るよりはずっといい」
アキラのIS、もといアレクサンダ・スペリオルは前回の暴走などなどで完全大破、コアデータすら壊れてしまって、もはや修復すらできない始末になった。
それもあってか学園側がアキラのもう一機のIS、
現在アキラは
「確かにそうだけど・・・」
護衛中にトラブルが起きるのは付き物。
「爆発がっ!」
「陽動かもしれない、少し待っていよう」
「うん」
(大体別動隊が来るはず。昔KMFをやられたときは・・・完全に見張りの居ないところを突かれた)
そして、陽動が成功したことが確認できてから回収班が回ってくるのにはそうタイムラグはない。予想通り、すぐにトラックが一台突っ込んできた。
「きたっ!」
トラックからSが二機、地上に降り立つ。
「さすが、綿密に練ってきたね」
「国籍、識別コードがないね」
「わかった。行くよ、シャル」
「オーケー、アキラ」
目標に向かって飛翔する。アキラに気づいた二機はアキラに向かってサブマシンガンを連射する。
「狙いはいいけど、当たらないよ」
空を銀色の羽が光の筋を描く。見惚れるほどの、美しい線を。
「すばしっこい奴めっ!」
残像を撃つように躱し続け、気が引けたところで、一気に加速して、照準を振り切る。
「おとなしく捕まってくれれば、痛い目見ないで済むよ」
敵IS達の背後を取り、武器を突き付ける。狙いはしっかりとついている。
「あ、IS乗りっ!?」
敵も驚いているようだ。陽動に引っかかっていないのだから驚きもする。
「かまうな、始末しろっ!」
武器を突き付けただけで降参するとは思っていないが、反撃に打って出てくるとは思ってもよらなかった。
「仕方ないねっ!」
輻射ユニット、
「力ずくで取り押さえさせてもらうっ!」
そこからは
「はっ!」
斬りつける。特殊な刀を使っているため、シールドエナジーをゴリゴリ削っていく。
「くっ!」
相手は下がりつつ弾幕を張るが、アキラの巧みな回避技術と
シャルロットの方も、しっかりと追い詰め、パイルバンカーを決めていた。アキラも相手の胸に輻射波動を突き付け、背後は
「おとなしく武装を解除して投降しなさい」
輻射波動を突き付けた方は観念して武装を捨てる。どこから漏れたかは定かではないが、輻射波動の威力をご存じらしい。これで無力化できた。
しかし、うまくはいかなかった。パイルバンカーで無力化したはずの一機がまだ機能していた。
「シャルっ!」
正しく照準をを合わせ切れていないのに射撃を敢行する。弾は一発も当たらなかったが、結果としてシャルの後ろのタンクに引火、そのタンクは爆発した。
「シャルっ!」
輻射障壁を使い加速したアキラは、シャルを庇う。
(僕が傷つくのはいいっ! でも君だけはっ!)
エナジーウィングもしっかり使い、シャルを守る。もう二度と、目の前で大切な人達を失わせたりしないと、そう、心に誓って。
「あんた本当に怪我しやすいわね」
「いや、怪我するつもりでやってるんじゃないんだけども・・・」
「確かになお前よく怪我するよな、それも重傷級の。怪我しないように気をつけろよな」
「そんな無茶苦茶な」
などなど、戻って早々、よく知る人たちに囲まれてた。あの爆発後、いったいどうなったのかというと・・・。
『四十万君の体には一切問題はありません』
あの爆発の後、ISが強制的に解除され、それ以降呼び出せなくなったのだ。それで精密検査をしてみたところ、体が悪いわけではないのだが。
『ですが紫星の量子返還に異常が見られます。四十万君』
「わかりました。
呼び出しには成功するのだが、武装として機能できない。すぐに量子化してしまう。
『装備の取り出し、および機体の具現化ができなくなってます』
「原因は?」
付き添いできた千冬が真耶に尋ねる。
『すいません。詳しく検査してみないことには何とも・・・』
「ふむ・・・」
少し思案する仕草をとった千冬だったが、今はこれしかないだろうとアキラに手を出す。
「四十万、紫星を渡せ」
「・・・わかりました。しかし、僕のISはどうすれば?」
「こいつが治るまでは当分は無しだ。ISを使用した授業は参加はしてもらうがISを使った訓練には参加させない。私と一緒に監督官だ」
「わかりました」
「問題は、織斑たちがこれを知ったらどうなるかだな」
『大騒ぎになりますよねぇ・・・。ですが、セキュリティ面から考えても最低でも、候補生ぐらいには知らせた方がいいかと』
「確かにな。お前の紫星も今後、ファントムタスクが狙ってくる可能性は十分あり得る。・・・はぁ、頭が痛いな」
「みんなには知らせないでください」
アキラが心配でついてきたシャルロットは決心した顔で告げる。
「アキラは僕が守りますっ!」
そう言うことがあって、現在のアキラはISに乗れず、ただの一般人としてこの学園で生活することになる。
(僕がアキラを守らないとっ!)
アキラの隣で何かを決心しているシャルロット。しっかりしなければと気を引き締めていたのだが・・・。
「「アキラ(お兄ちゃん)っ!」」
「ど、どうしたの二人とも」
ラウラとユキネがアキラに迫っていた。ラウラの手には・・・下着の写真集が。
「「お前(お兄ちゃん)はどれがいいっ?」」
臆することなく、その写真集を見せてきた。
「なっ! ばっ!」
すごい速さでアキラは顔をそらした。近くにいた一夏は困ったようにラウラの手に視線を向ける。
「何してるのよっ!」
いささか年頃の女の子がしないような行動をとがめる鈴音。その後ろではセシリアに目隠しされている一夏が映る。
「私は嫁の趣味を聞いているのだ」
もう誰も「嫁」というワードには触れていないが、誰を指しているかは一目瞭然。
「「「嫁の趣味?」」」
「そうよ、知り合いが言ってたわっ! 意中の相手がいる女の子は、下着を見られてしまうパンチライベントが発生してしまうわっ!」
「だから、いついかなる時でも見られてもよい下着を身につけなければならないのだっ!」
「「そして、この縞パンこそが男の好感度を上げる趣向の下着なのだ(のよ)っ!」」
自信満々にその雑誌を見せつけていく二人。
「で、デザインは悪くないな」
「そ、そうね。私も持ってるし」
確実に飲まれた女子群をよそにアキラはそれを助言したのが誰か思考をしていた。
「・・・ねぇユキネ」
「ん?」
「その情報源は?」
「コトノハよ?」
「あのバカAI・・・」
頭が痛くなる。よくよく考えてればレイがあのAIを作っていた。つまり、彼の偏った知識がプログラムされていてもおかしくない。
「まぁ、そういうの気にするのは分かるけど、別にボーダーじゃ無ければとかじゃないし」
「なに? お兄ちゃんずぼしなわけぇ?」
「違いますっ!」
頭を抱えるアキラと、同乗する一夏。それとは別に乾いた笑いを浮かべるシャルロット。
「シャルロットはどんな下着がいい?」
「ラウラもユキネちゃんも、そういうのは男の子の前でする話じゃあ・・・っ!?」
と、シャルロットは己の体が発する違和感に気づいてしまう。したが妙に涼しい。
「ご、ごめん。ちょっと・・・」
そうさっさそ教室を離れてしまった。
「・・・どうしたんだろ? 僕、ちょっと追いかけてくるから」
「あ、あぁ」
アキラもシャルロットを追いかけて教室を出る。
「ど、どうしたんだろうな」
「さぁ?」
ただ茫然と、その光景を眺めるしかなかった。
「安息は突然に」以降のお話について。
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小説読め、複線よこせよおらおら
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含ませなくていいから投稿あくしろよ