誰もいないとある廊下。シャルロットはそこで教室で感じた違和感を確認する。
「うそぉっ!?」
やっぱり、ない。いきなり下着が消えたのだ。何の前触れもなく、スッと。そこで思い出す。アキラの紫星に量子返還異常がみられたことを。
(ま、まさか、僕の下着にも紫星と同じことがっ!?)
「シャル?」
「わぁっ! アキラっ」
「どうかしたの? シャルも僕のISみたいに変なことに?」
こういう時のアキラは知ってるんじゃないかと感じるぐらい鋭い。
「う、ううんっ! 何でもないっ! 先教室に戻っててっ!」
「わ、わかった・・・」
アキラは歩を教室に進める。
(ど、どうしよう・・・。とりあえず、自室にっ!)
シャルロットは自室に歩を進める。新たな下着を取りに。
「四十万」
「はい」
「シャルロットはどうした?」
「それが、よくわからないんですけど、先に教室に戻っといてって」
「そうか・・・。ただ授業が始まっている、迎えに行ってこい」
「わかりました」
教室を後にする。
「誰かシャルロットがどうしたのかわかる奴いるか?」
誰も手をあげない・・・ということは知らないということ。
「まったく、いったいどうしたというんだ」
シャルロットの行動の真意を知るものは、誰一人としていない。
「シャル? いる?」
部屋にノックしながらいるか尋ねてみる。さっきシャルロットを追いかけた時の場所にはいなかった。とすれば後はトイレか自室くらいの物だろう。
「あ、アキラっ!? ど、どうしたのっ!?」
「どうしたって・・・授業始まってるよ?」
「え? あぁ、ごめん」
自室から出てきたものの、いつもよりちょっと様子が違う。
「ご、ごめんねアキラ」
「いや、僕はいいんだけど・・・。シャル、ホントに大丈夫?」
「ちょ、ちょっとね。もう大丈夫」
全然大丈夫そうな表情はしていないが一応、これ以上突っ込んで聞くのはやめにしておいた。これ以上は、男にはわからない部分かもしれない
「じゃあ、行こっか」
何事もなかったかのようにさっとお姫様抱っこする。
「ちょ、ちょっとアキラっ!」
「僕が走ったほうが早いからさ。授業担当の先生、織斑先生だし」
「そ、そうかもだけど・・・っ!」
下着を穿けていないのだ。正しくは穿いても消えるだが。
「ひっ!」
今のシャルロットにはアキラの腕の感触とかがいつも以上にダイレクトに来る。それにびっくりしたシャルロットは腕の上で暴れてしまう。
「あ、暴れないで・・・うわぁっ!?」
「ひゃぁぁっ!?」
盛大に転んだ。
「いたたた、大丈夫?」
アキラの上にシャルロットが乗る形になった。幸い、アキラが下になることでシャルロットがダメージを追うことにはならなかったが。
「ひっ・・・ひっ・・・嫌ぁぁぁぁぁっ!」
拳が一撃。アキラの頬をとらえた。今のシャルロットは下着を穿いていない。見えてなくても、嫌なものは嫌なのだ。
「僕が一体、何をしたっていうんだ・・・」
確実にアキラの脳を揺らし、アキラはダウン。シャルロットの一発KOだ。
「こ、これ・・・い、いつまで続くのぉ」
当のシャルロットは涙目。いつまでこんな状態なのか・・・。先が思いやられる。
それから、シャルロットは大変だった。昼食をとるのに椅子に座っても、椅子の冷たさがいつもよりダイレクトに伝わるし、昼休憩にバレーで遊ぶとスパイク打つ時に見えていないか気になって仕方がないし。もう、最悪としか言いようがない。
「どうしてこういう日に限ってこんな仕事任されちゃうんだろ・・・」
現在はと言うと資料室に絶賛荷物を運ぶ最中だ。最大の難関は階段。資料室に向かう途中には階段があり、それが現在のシャルロットにとっては最大の難関だ。
(ふぅ、よかった)
難関を上り切る間に誰にも会わず。とりあえず一安心できた、と思った。
「あ、シャル。手伝うよ?」
下からアキラが昇ってきた。なぜここにいるかはわからないが、とりあえず、今のシャルロットにとっては最悪だ。階段上と下。アキラが上ならよかったのだが、生憎アキラは階段の下。
「ひっ! うわぁっ!」
荷物を落とす。
「おっとっと」
アキラは受け止めることができたが、あまり良い体制で受け止めれていないようだ。こけたり倒れたりこそしなかったが、ゆっくりと荷物を持ち直した。
「ごめんね、アキラ」
「大丈夫。気にしないで」
アキラは荷物を抱えたままゆっくりと階段を上り、シャルロットと同じ位置まで上がってきた。
「シャル、今日は調子悪いみたいだね。大丈夫?」
「ごめんね、アキラ」
結局荷物はアキラが持ち、そのまま資料室に向かう。
「まぁ、紫星の件で気を使ってもらってるしねぇ。僕の方こそごめんね、無理させちゃって」
今までの行動が無意識にアキラを傷つけていたのかもしれない。そう思うと、悲しかった。
「そんなことないよ。アキラの力になれて、僕はうれしいんだから」
「そっか、ありがとう。でも、無理はしないでね」
何が原因でシャルロットがこんな状態なのか今のアキラではわからないが、無理はしてほしくない。そんなアキラは、なんというか。
「優しいね、アキラは」
「どうかした?」
「ううん、別に」
そのまま先に進む。だが、シャルロットもアキラですら気付かなかった。すぐそば、下に向かう階段に、ラウラがいて、角度的に、シャルロットのスカートの中が若干見えていることに。
「手伝ってくれてありがとう。先生に報告してくるから先に行ってて」
「わかった。でも、無理しすぎちゃだめだからね?」
そのままアキラは資料室を後にする。
「はぁ・・・何とかバレずに済んだ・・・」
やはり紫星と同じ、量子返還に異常がある。早く何とかしなければいけない。
(でも、そうなると、リバイブも調べてもらわないといけなくなる。そしたら、アキラを守れなくなっちゃう)
しかし、そんなことよりもさらに脳内のキャパシティを割いているのは別の理由で。
(僕が下着を穿いていないの、アキラにばれちゃったら・・・)
そんなことはないと思いたいが、意中の相手のこととなると、最高か最悪のどちらかを考えてしまうのは、やはり乙女心というもの。
「なんてことに・・・そんなの嫌だよぉっ!」
なにを考えたかはシャルロットにしかわからないが、当人はなにか嫌なことを想像をしたらしい。絶対に避けなければならない事案として今後のことを考える。
「アキラは今ISが使えないんだ、僕がしっかりしないと」
考えを口に出し、しっかりと咀嚼して反芻させる。今アキラを支えないといけないのは自分だと、そう言い聞かせながらその場を後にする。
「あ・・・」
「こんにちは、シャルロット。で? おにいちゃんがどうかしたって?」
「え? えっと・・・」
目の前にはユキネがいて、若干頬が引きつってる。
「お兄ちゃんの紫星がどうかしたって?」
「な、何でもないよっ!」
「ふーん・・・。ねぇ、シャルロット」
「な、なにかな?」
「わたしさ、誰の妹で、誰の娘だと思う?」
「そりゃあ、アキラの妹で、ライとカレンの娘でしょ?」
「正解。ってことはさ、兄妹だから似ていて、両親から引き継いだものがあるってことよね?」
「う、うん、そうだね」
「お兄ちゃんさ、考えるの得意だよね? 探偵並みの推理とかするし」
「そうだけど・・・まさかっ!」
「シャルロット、助けてあげようか?」
「い、いいのっ!」
喉から手が出るほど欲しい。真っ先に下の安心と精神的な安心が欲しい。
「いいけど、その代わりぃ、お兄ちゃんに何が起こってるのか、教えて?」
悪魔の蜜はとても甘く滑り落ち、染み渡る。何度も咀嚼し、天秤に賭けて賭けて、何度賭け直してもやはり、傾く先は変わらなかった。
「わ・・・わかったよぅ」
結局事の内容を漏らしてしまったシャルロットは対価として量子返還事件からは解放されたものの、結果としてアキラは悲惨な目にあってしまい、大目玉をくらった。
「・・・僕が何をしたって言うんだ・・・・・・」
のんびり更新していきます、どうも、白銀マークです。
さて、そろそろ半分ぐらいですかね。書き手の私としては、そろそろ終わりが見えてきておりまするぞ?
今後ともどうぞ良しなに
「安息は突然に」以降のお話について。
-
小説読め、複線よこせよおらおら
-
含ませなくていいから投稿あくしろよ