青き彼方   作:色s

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はじめての分野であるBLに挑戦致します。
違和感や不自然な場面、箇所があると思いますが、そういった類の物を出来るだけ
拝見し、勉強して行こうと思いますので、どうが温かい目でご覧ください<m(__)m>
完全に私の好みや自己満足的な要素も御座いますのでご了承ください…。


いつもの日常

何も変わらない日常。殺風景な風景。毎日、毎日と好きでも無い講義を受け、時には寝たり、サボったりもしている。1年前の周りに遅れまいとがむしゃらに突っ走って、真面目に生活してた自分が嘘だったみたいだ。人間、一番怖いのは慣れなのかもしれないと改めて実感している日々だ。最近では一週間もあっという間に過ぎる気にさえ感じている。サークルも1、2回行って以来顔を出していない。顔馴染みは出来たものの、友達とまでの関係にはこじ付けられておらず。何もかもが中途半端だ。

 

「はぁ……なんか面白い事でも起きねえかな」

 

他人の些細な呟きや画像を見てそう一言吐いた。唯一の暇つぶしは今となってはSNSしか残っていなかった。それでも俺の退屈な心は一向に埋まる事もなく、見るたびに一層、虚無感が広がっていた。

 

「やめだ、やめ。 無駄だ」

 

携帯をスリープモードに変え、寝ていたベッドの布団に投げた。折角の土曜も家でずっとこんなものを見てしまっている。子供の頃の自分が見たらきっと殴るだろう、とふと思った。

 

「あの頃の俺が見たら幻滅するだろうなぁ……。まあ、今の俺でもするか」

 

情けなさと呆れでつい口元が緩む。こうやって両手を頭の後ろで組み、仰向けで寝ていると何時もそんな下らない事ばかり思っては、消えていく。過去の事を思い出しては、それもまた消えていく。悔いても仕方のない事、忘れても忘れることが出来ない思い出、思い出すだけでも腸が煮えくり返る様な経験。そんな事が頭の中をグルグルを輪を囲む様に回っている。

 

「ちっ……。今更考えても仕方ねえだろ。何やってんだ俺は…」

 

無性に苛立ちが湧きあがってくる。抑えようのない虚しい怒り。

 

「頭冷やすか。思えば昨日風呂入ってなかったな」

 

考えていても結局らちがあかない。俺は風呂に入って、頭を落ち着かせることにした。

 

 

 

入浴後、何時もの様にまた携帯を眺めようとした。

 

「誰だこれ…」

 

知らない人からの着信履歴が画面に映し出された。間違い電話なら一回だけでも済むがどうやら数回も俺の電話に連絡しているらしく、ただの間違い電話とも思い難い。とりあえず、着信もとに連絡をしてみる事にした。

 

「もしもし。ご用件はなんですか?」

 

「泰一君? あれまぁ、偉く大人びた声になったじゃないのぉ」

 

出たのは中年の女性らしき声だった。俺の名前を知っている事からどうやら知り合いのようだが、心当たりはない。

 

「あ、あの…すみませんがどちら様で…?」

 

「あっ、そうよねぇ。あれから結構経ったものねぇ。忘れちゃうのも無理ないわよね。清二の伯母の由布子です」

 

名前を聞いた途端、うっすらとだが見覚えのある顔が浮かんだ。それは俺がまだ小学生くらいの頃だったか。親父が仕事で家を留守にしている間、よく遊んでくれた一人の女性の姿だ。

 

「あぁ…伯母さんでしたか…。確かに、あれ以来あんまり連絡していませんでしたからね…」

「そうよねぇ。あれから引っ越して、もう会えなくなっちゃったからねぇ」

 

父親の仕事上、多くはないとはいえ転勤が稀にあり、少なくとも俺が幼稚園に上がって少し経った頃と、小学生を卒業する頃に二回転勤しており、それ以降は住む場所が遠くなったことから伯母さんとも関わる事がなくなってしまった。

 

「あれから5年くらいかしらね。元気そうで安心したわ。あぁ、用件の話なんだけどね……?」

 

俺はその要件を聞いて、驚いた。内容はどうやら、伯母さんの甥の家庭教師になってもらいたいという話だった。お金の事情からプロを雇う事が厳しいらしく、伯母に誰か頼める知り合いはいないかと頼んでいたらしい。

 

「な、なんで俺がなんです…? 第一、俺はそこまで頭良くないですよ…」

 

急な依頼にそう質問を返す。

 

「またまたそんな事言ってぇ。あの有名な大学に通ってる一人じゃないの。謙遜しちゃ勿体ないわよ…?」

 

まるで他人事化の様に伯母さんはそう言って笑った。

 

「急にで本当ごめんなさい。でも、頼る手が無かったから…。無理にとは勿論言わないわ。都合が悪ければ遠慮しないで言って頂戴ね…?」

 

「そ、そうですか…」

 

とは言ったものの、今の俺に都合と言える程行事もやる事も無い。ただ、時間を無駄に費やすだけだ。少し、考えてから俺は答えを伝えた。

 

「分かりました。俺、引き受けますよ」

 

「ほ、本当に…!?」

 

どうやら意外な答えだった様で驚いている様子だ。

 

「ええ、良いですよ。俺も結構暇なんで…」

 

自虐するかのように笑いながらそう言う。

 

「それなら安心したわ。泰一君なら自信を持てるわね…。お給料みたいなものは出るらしいから、そこは安心してね…」

 

「分かりました、任せてください」

 

「うん、頼んだわよ~…」

 

そう言って電話を切る。

 

 

 

「そう言えば、年齢聞いてなかったな…。まあ、いいか後で…」

とにかく、この退屈な日々が少しでも埋まればそれでいい。俺はそう思っていた。

だが、この頼みごとを引き受けた事で、俺の日常はあまりにも変わり過ぎてしまった事に、今の俺は気づく筈もない。

 

 

 

 

 

 

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