シーマ・ガラハウに成り代わった女   作:筆先文十郎

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シーマ・ガラハウのことを調べていたら色々感傷的になって書きなぐったものです。
過度な期待はしないでもらえるとうれしいです。

また今回執筆にあたり大学時代の親友、柊竜真氏(本名ではなくペンネームです)に一部書いていただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。


シーマ・ガラハウに成り代わった女 ~星屑の女神~

 ガンダム試作3号機の情報を事前に入手していたクレア率いるシーマ艦隊はアルビオン隊が入手する前に強奪。

 ガトーの駆るノイエ・ジールと共にコロニー追撃艦隊を次々に撃沈するとソーラシステムⅡ付近に展開する連邦軍に突撃。ソーラシステムのコントロール艦を撃沈して照射は中断させコロニー防衛に成功させる。

 

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 宇宙世紀0083、11月12日。

 コロニー落としを決行し終わったジオン残党軍に連邦軍の大軍が押し寄せる。

「いいか!ひとりでも突破し、アクシズ艦隊へ辿り着くのだ!我々の真実の闘いを、後の世に伝えるために!」

『ふふふ』

 耳障りな笑い声がガトーに触れる。

「何の用だ!?シーマ!!」

『ガトー、あんた死ぬつもり?』

「……」

 ガトーは口を閉ざす。

 そんなガトーを気にする様子もなくクレアは続ける。

『私とシーマ艦隊が囮になる。その間にあんたは他の奴らと一緒にアクシズ艦隊と合流しな。あんたには生きてもらわないと困るから』

 先ほどの軽い口調とは一変、覚悟がにじみ出た声で静かに言い放つ。

「シーマ艦隊と……シーマ様(・・・・)の濡れ衣を晴らすために」

 クレアが無意識で言った言葉にガトーは目を大きく見開く。

「し、『シーマ様(・・・・)』……だと……。ハッ!お前は!!」

 シーマ・ガラハウの名を騙った女の本当の目的を知った瞬間、ガトーは思い出した。カラマ・ポイントでシーマの名を騙る彼女と出会ったことを。

「クレア・バートン中尉……いや、シーマ(・・・)ガラハウ(・・・・)中佐!」

 ガトーはクレアが操るガンダム試作3号機に向けて敬礼した。

 

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 デトローフ・コッセルがリリー・マルレーンに必要最低限の人員だけを残してアクシズ艦隊に向かう艦に移動させるとクレアの率いるMS部隊とリリー・マルレーンは群がる連邦軍に向けて突撃を開始した、

シーマ(・・・)ガラハウ(・・・・)とシーマ艦隊の力、しかとその目に焼き付けろ!!」

 ガンダム試作3号機は弾幕を撒きながら敵艦に接近、すかさず機体下部から蟹の鋏のような形状をした接近戦専用の大型マニュピレーターが展開した。

 鋏の奥から巨大なビームサーベルが飛び出す。

 さらに加速し突進しながら巨大なビームサーベルで艦橋を貫き、左右に引き裂く。

 敵艦マゼラン級は爆散した。

 3号機は次の獲物を仕留めんと進む。弧を描くように接近しながら急に軌道を変えた。

 相手には直線にいたはずの敵機が急に消えたように見えただろう。

 3号機は敵艦の真下に位置し、右側にある大型メガビーム砲から光が放たれる。

 一筋の光を撃ち込まれた敵艦は炎に包まれながら光に消えた。

 立て続けに戦艦を落とす3号機の戦いぶりは、モビルアーマークラスのスラスター推力による機動力がなせる業だ。

 数々の戦闘で所々損傷したものの未だに圧倒的な火力と機動力を保つガンダム試作3号機の活躍もあり、クレアたちは寡兵ながら前線を押し戻さんばかりの鬼気迫る戦いを見せる。

 

 リリー・マルレーンにいるコッセルが命令を出す。

「ガイドビーコンを出せッ!!とにかく連邦の目をこちらにひきつけるんだ!!」

 ガイドビーコンに釣られたのか、暗闇を灯す灯篭に集まる虫の如く殺到する連邦軍。

 また鬼神のような働きを見せるクレアたちは「少数の敵に翻弄されている」と連邦軍のプライドを傷つけた。コンペイトウ宙域にて挙行された観艦式の襲撃、コロニー落とし。それらを行ったデラーズ・フリートの怒りも拍車をかけた。

「くっ……」

 一気に攻勢を強めた連邦軍にクレアの周囲で一機、また一機と味方MSが散っていく。

 そして遂に──

「あ……」

 

リリー・マルレーン、轟沈。

 

「……みんな。ありがとう……シーマ様、ごめんなさい」

爆発し、四散するリリー・マルレーンを見ながら、クレアは呟く。

 自分のわがままに賛同してくれたコッセル達への感謝とシーマの家とも言うべきリリー・マルレーン、轟沈させたことを詫びる。

「待ってて。私ももうすぐ!」

表情をきつく結びなおし、クレアは敵に向かっていく。そして

「くぅ……!?」

 ここまで獅子奮迅の活躍を見せていた致命傷となることが起きる。Iフィールド・ジェネレーターが破壊されたのだ。

 Iフィールド・ジェネレーターという盾を失いクレアは損傷が激しくなったオーキスを分離。ステイメンとなって最後まで奮闘する。だが絶望的なまでの物量の差、戦力の著しい低下、数々の激戦に休む間もなく戦い続けたクレアにもう戦う力は残されていなかった。

 

(シーマ様……)

 

 集中砲火を浴びガンダム試作3号機ステイメンは撃沈。この時をもって戦場に残ったシーマ艦隊の戦力は消滅した。

 なおガトーとグワデンを始めとするデラーズ艦隊は多少の犠牲を払いつつも、クレア率いるシーマ艦隊によって包囲が薄くなった所を突破。アクシズ艦隊と無事合流を果たした。その中にはシーマ残存艦隊の姿もあり当初は受け入れを断られたが『リリー・マルレーンの援護で撤退できた』という兵士の報告で受け入れられることが決まった。

 アクシズへとたどり着いたガトーはシーマ・ガラハウとシーマ艦隊のことを調べ真実を伝えると同時に、後述でデラーズ紛争をこう語る。

 

「私を『武士』、『志ある者』と人は言うが私はそうは思わない。なぜならば私よりも志を持った者を私は知っているからだ。シーマ・ガラハウ。圧倒的な敵軍を前に一歩も引かず味方を逃がすために戦い散った彼女こそそんな二つ名が相応しい。それでも私を『武士』、『志ある者』というならば私は彼女に『星屑の女神』という二つ名を送ろう」

 

 


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