シーマ・ガラハウに成り代わった女   作:筆先文十郎

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シーマに成り代わった女~ゲルググ・M対ガンダム試作1号機①~

 暗礁宙域。リリー・マルレーン ブリッジ

 クレア率いるシーマ艦隊は次の作戦のため密かに行動を開始していた。

「……」

 虎の毛皮がかけられたソファーに体を預けて足を組むクレアは前方を静かに見据(みす)えたまま

 

「く~、すぴ~、く~~~、すぴ~~~」

 

 寝息を立てていた。

「寝るな!」

「ふぎゃん!?……痛いぃ~、何するんですか!!」

 拳骨(げんこつ)が落ちた頭頂部を()でながら、涙が溜まった目でクレアはコッセルを見る。

「作戦行動中だ。しっかりしろ!」

「……は~い」

 にらみつけるコッセルにクレアは不満げに口を(とが)らせる。

 そんな戦場でありながらどこが気が抜けた雰囲気は部下の報告で一変する。

「お頭!地球軌道上に艦影を確認。例の(ふね)のようです」

「例の?……あぁ、ガトー(クソガキ)を追っているアルビオンとかいう白い艦か」

 少しばかり頭を(かし)げた後に思い出したクレア。そんなクレアに部下が続けて報告する。

「お頭!その近くに小型艇(こがたてい)らしき反応もあります」

「小型艇?……ふむっ」

 腕を組んで考え込むクレア。

 小型艇の正体はアナハイムの輸送艇で、今のままでは戦力にならない重力下仕様のガンダム試作1号機を月のアナハイム工場へ送るためのものだった。そのことを知らないクレアは小型艇を弾薬や食糧などを補給するための輸送艇(ゆそうてい)だと結論付けて「アルビオンかぁ……さて、どうしようかね」と微笑む。

「……やれやれ」

 誰にも聞こえない小さな声でコッセルは静かにため息をついた。クレアが微笑んだ理由に気づいたからだ。

 アルビオンにはデラーズ・フリートが強奪したガンダム試作2号機の他に兄弟機であり相棒(バディ)機、ガンダム試作1号機があるという情報はシーマ艦隊にも届いていた。

『ガンダム』はジオン兵から『白い悪魔』と呼ばれ、恐れられた名機。その性能は連邦軍から『赤い彗星』と恐れられたエースパイロットのシャア・アズナブルでさえ数々の戦いで苦しめられたほど。

 その伝説となったガンダムの名を有する機体とその機体に乗るに相応(ふさわ)しい技量を持つ敵と戦えるという期待に興奮しているとコッセルは悟った。

(まあ、無理もないかもな……)

 コッセルは手にした扇子をポンポンと掌に叩く童顔の女性士官をチラッと見る。

(クレアの一年戦争時の撃墜スコアは28機。しかしこれはシーマ様に『他の奴らに撃墜数を譲ったり過小報告するのはやめろ!!』と言われた後のスコア。もしちゃんと記録していればシーマ様撃墜スコアの56機は超えていただろう。それだけにクレアは自分の腕に自信を持っている。……パイロットじゃない俺には分からないが、強者と戦える喜びというのを感じているんだろうな)

「さてと。アルビオンはあのガンダムを搭載したホワイトベースの改良型だと聞く。どれほどのものか見てみないと後の戦いに影響するかも」

 もっともらしいことを言いながら頭の中はガンダムでいっぱいになっているクレアを、コッセルは見抜いていた。

 クレアがスッと立ち上がるのを見るとコッセルはすぐに部下たちに命令を下した。

 

 

 

「今から敵にMSによる威力偵察を行う!MS部隊は出撃準備!そしてお頭のゲルググの用意を急げ!!」

 

 

 




余談ですがクレアの撃墜スコアの28機という数字は『シーマの撃墜スコア(56)➗2』と、阪神タイガースから古巣である広島東洋カープに戻った時の新井(あらい)貴浩(たかひろ)氏の背番号から(後に25に変更)。
(なぜ新井氏の背番号から取ったか気になった方は『奥さん、貸した金が払えないなら身体で払ってもらおうか!』の『親父が隠していたAVを、俺は見る!!』の後書きを見てください)

『アルビオンに強襲』とか色々タイトル考えた挙げ句になんとも言えない陳腐なものになってしまいました。
しかも続きは私が苦手な戦闘……この小説を期待している人がいると思うと(いるのかな?)申し訳ない気持ちでいっぱいです。
……40年以上連載描き続けたこち亀の作者、秋本(あきもと)(おさむ)先生の偉大さが身に染みてわかる今日この頃です。

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