シーマ・ガラハウに成り代わった女   作:筆先文十郎

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今回も大学時代の親友、柊竜真氏に一部書いていただきました。


シーマに成り代わった女~ゲルググ・M対ガンダム試作1号機②~

 クレアはシーマ専用ゲルググMでアルビオンに向かって機体を走らせた。

「今回は敵の力を見定める戦いだ。無理はするんじゃないよ!」

『へへっ、了解しました』

 グルトがニヤニヤと返答する。

『でもお頭。相手が弱かったら沈めちゃってもいいんでしょ?』

 クレアを含む5機の内で最年少のパイロットの軍曹、ザナヴ・サーペが嘲笑しながら尋ねる。

『お頭。前の戦いではいい格好したでしょ?俺らにも見せ場作らせてくださいよ』

『お頭は後ろで様子を見ていてください』

 ザナヴに続きケレン・コルト曹長とカナフ・ナックラー軍曹が続く。

「……」

 クレアはアルビオンから飛び出す3機のモビルスーツを見ながら考える。

 ジム・カスタムとジムキャノンⅡだ。

(ジム・カスタム。一年戦争終結後に製造されたジムの性能向上型で特長がないのが特徴と聞く。つまり『特に秀でた長所はないけど特に目立った短所もないバランスのとれた機体』ということ。それにジム・カスタムは製造コストが高いとも聞いたことがある。つまりあれに搭乗しているパイロットはベテランだろう。グルトらといい勝負ができるかもしれないね)

 クレアの予想通り出撃したパイロットであるアルファ・A・ベイト、ベルナルド・モンシア、チャップ・アデルは『不死身の第4小隊』と呼ばれた(つわもの)揃いだった。

 ジム・カスタム2機を前衛に、アデルの駆るジムキャノンⅡが後方で構える。

 クレアは命令を下す。

「よし、じゃあお前らだけで行ってきな!!」

『『『『ハッ!!』』』』

 先頭を走っていたクレアのシーマ専用ゲルググMはその場で停止すると4機のゲルググMは出撃したジム・カスタムとジムキャノンⅡに取り掛かった。

 互いに手持ちのマシンガンで応酬し合う。戦いの火ぶたは切られたのだ。

 ゲルググMたちは攻撃をかわしつつ反撃する。数からしてこちらに分がある。パイロットたちはそう思い2機のジム・カスタムに迫る。

 しかし、相手は数を物ともしないかのようにかわしつつ反撃する。

 そこに追い打ちを掛けるようにジムキャノンⅡのビームキャノンがゲルググMらを阻む。

 見事な連携であった。

 こちらも避けるのに精一杯になっていった。攻めに転じるべく2機が前衛になって攻める。

 衝突すること数分。

(敵を舐めていたな……)

 戦いぶりを少し離れた所から見ていたクレアは敵と自軍の戦力差を見誤ったことを悟った。

 2機のジム・カスタムとジムキャノンⅡは連携しグルトらのゲルググMの突破を許さないばかりか押し返していた。

 ゲルググMの1機がモンシア機に背後を取られた。

 なんとか振り払おうとするが相手はそれを許さない。

 加速しながら後ろから迫るマシンガンをかわす。

「……ッ!」

 突如クレアが機体を走らせた。ベイト機の攻撃で左腕を損傷したザナヴ機を狙い撃とうとしたアデル機に攻撃を加えたのだ。

 突然の攻撃に何とか盾で防ぐアデル機。すかさずビーム・キャノンで反撃してきた。

 クレアは急加速によるブーストを掛けて回避した。

 クレアは命令を下す。

「ザナヴ、ここは下がれ!グルト、カナフ、ケレンはザナヴの撤退を援護しろ!!」

『お頭は?』

「……」

 尋ねるグルトの問いに答えずクレアは押さえ込もうとしたモンシア機を横目にアルビオンに向かった。

 防衛ラインを突破されたことで2機のジム・カスタムの動きが一瞬止まる。その隙を見逃さずザナヴは戦場を離脱すると残ったゲルググMは足止めするためジムキャノンⅡに襲い掛かる。

「陽動は成功した。さてどうするか」

 ザナヴの離脱を確認したクレア。

「……ッ!!」

 クレアは反射的に機体を後退させるとビームが目の前を通り過ぎた。もしこのまま突き進んでいれば直撃を受けていただろう。

 ビームの方角を見て、クレアは目を大きく見開き……笑った。

「待っていたよ!ガンダム!!」

 興奮するクレアに白いMS、ガンダム試作1号機はシーマ専用ゲルググMに向けて発砲する。

「ん?」

 クレアはすぐに1号機の異変に気づく。

「バランサーがイカれてる?……フフフ、フハハハハハハッッ!!」

 フラフラと漂うように動く1号機にクレアは大笑いした。

「ハハハッ、カラマ・ポイントでのガトー(クソガキ)以来だよ……ここまで私をブチ切れさせたのは!!」

 憤怒の表情でクレアはビームライフルを乱射した。

 やがてガンダムのシールドが砕けた。

 削り取られる1号機の装甲。

 1号機の反撃を避けながら攻撃を続けるクレア。それでも撃墜しない1号機に苛立(いらだ)ちが募る。

「なんて硬い装甲だよ!」

 撃ち続けるビームが再びガンダムに直撃。シールドの残骸と共に左腕が吹き飛んだ。

 普通の機体ならこれで誘爆を起こしていてもおかしくない。

「いいかげんに墜ちろ!!……チッ!!」

 ライフルから照準が消えた。ライフルの弾切れに舌打ちするクレア。

「期待外れが!いい加減にしろよな、ガンダム!!」

 110mm速射砲の銃弾がさらに装甲を削り取る。

 頭部や脚へと撃ち続ける。頭部の装甲は少し変形しただけで破壊に至らない。

「落ちろ、落ちろってさ!」

 クレアは速射砲を1号機に向かって撃ち続けた。

 やがて、攻撃を受け続けた1号機の脚部が破壊された。

 ガンダムはもはや虫の息であった。

 ふとクレアは機体を止めた。

「チッ!」

 再びクレアは舌打ちする。チャック・キースの乗るジムキャノンⅡのビーム・キャノンがさえぎる。もしそのまま斬りかかっていたら被弾していただろう。

「邪魔してくれるねぇ……でもアンタの相手は後だ!」

 キースのジムキャノンⅡを睨みつけつつもクレアは再び1号機に向かおうとする。しかし今度は機体を後退させることになる。怪我を我慢して出撃したサウス・バニングのジム・カスタムがクレアのシーマ専用ゲルググMに攻撃を加えてきたからだ。

 銃弾を盾で防御したクレアはすぐに周囲を見る。

 クレアがジムキャノンⅡとジム・カスタムに足止めされている隙にガンダム試作1号機はアナハイムの輸送艇に回収されて戦場を離脱。グルトらは前衛のジム・カスタムとジムキャノンⅡの3機に苦戦を強いられていた。

 クレアは決断した。

「今日のところは見逃してやる!!」

 撤退命令を出すとクレア達は再び暗礁宙域に引き返した。

 その後大きく損傷した1号機はパイロットのコウ・ウラキと共にアルビオンではなく月に直行。 アルビオンも追うことはしなかった。

 

 

 こうしてクレア率いるシーマ艦隊とアルビオンの初の対決は痛みわけで終わった。

 




柊竜真氏に突っ込まれたこと。

ビームライフルのエネルギーが切れてビームサーベル使えるの?

追記
次回辺りにクレアの同期で『クレアの体内に棒状のものを前後に出し入れした男』、ドラント・ヒイラー(筆先文十郎オリジナルキャラ)登場予定。

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