シーマ・ガラハウに成り代わった女   作:筆先文十郎

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シーマ・ガラハウに成り代わった女~退きのヒイラー~

「シーマ艦隊所属ギラメル。特に可もなく不可もない顔立ちで、贅肉のない引き締まった筋肉を持つ細マッチョの男が自分の部屋である艦長室の前で立ち尽くしていた。

ドラント・ヒイラー。

ルウム戦役時にシーマ様の次に強く、シーマ様の次に世界で美しいパーフェクトレディのクレア・バートン様の勇敢な活躍のおかげで大尉に昇進した、ものすごーく運のいい男である」

「説明ありがとう。ところでお前は何をしている?」

 クレアに紹介された男、ドラント・ヒイラーは呆れた顔で無断で自分の部屋で作業している女性に尋ねる。

「見てわかんないの?あんたの部屋を模様替えしているのよ」

 クレアが不思議そうな顔で同期の顔を見ていた。

「模様替え……」

 ヒイラーは自室を見る。そこには水着を始めとする様々な衣装に身を包むクレアのポスターが天井、壁、床に隙間なく貼られていた。

「どう? 世界で2番目に美しい私に囲まれるなんて夢みたいでしょ?」

「……」

 キャッと嬉しそうに言う少女のような同期に、ヒイラーは無言でダーツの矢を取り出すと

 

 シュッ! シュッ! シュッ! 

 

 水着姿のポスターの目と鼻にダーツを命中させた。

「いやあああぁぁぁっっっ!! 何をするのよ!!」

 頬に手をやり絶叫するクレアを尻目に、ヒイラーは鼻くそや耳くそ、(たん)をクレアのポスターに塗りつけていく。

「…………」

 口をパクパクさせるクレアを前にヒイラーは「ふう」と汗を拭った。

「クレア、ありがとよ。久々にいい気分転換になったぜ」

 輝く笑みを見せるヒイラーに、クレアは目に涙を溜めながらいい放つ。

「ひどい! 士官学校時代、体内に棒状のものを前後させた女になんてことをするのよ!!」

「王様ゲームの命令で行った耳かきをさも『卑劣な男に無理やり純潔を奪われたか弱い女の子』のようにいうんじゃねぇよ。誤解されるだろう」

 言い終わるとヒイラーは形式上では上官になっている同期の額にデコピンをお見舞いする。

「い、痛いぃぃぃっっっ!!」

 あまりの痛さに、クレアは額を押さえてその場にしゃがみこむ。

「そんじゃあ俺は自販機でコーヒー飲んでくるから。その間に部屋戻しておけよ」

 痛さに苦しむクレアを残してヒイラーはその場を後にした。

「おのれ……今に見てなさい!」

 クレアの瞳には自身の赤い髪にも負けないほどの怒りの炎が灯っていた。

 

 

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 数分後。

「ん?」

 自動販売機の前で紙コップのコーヒーを飲んでいたヒイラーは突然流れてきた艦内放送に耳を傾ける。

『私、クレア・バートンは今ここに告白します』

「クレア?……ッ!?」

(ま、まさか!?)

 その時ヒイラーの脳裏にこれから起こるであろう未来映像が映し出される。そしてその未来映像は見事に的中する。

『私は士官学校時代、ドラント・ヒイラーに体内に棒状のものを入れられました。あまりの痛さに泣く私の懇願を無視し、ヒイラーは体内に入れた棒状のものをさらに前後させていきました』

 

 ブウウウゥゥゥッッッ!!

 

(あのバカ。王様ゲームでしたことをさも誤解されるように言いやがった!!)

 同期の行動に口に含んでいたコーヒーを吹き出すヒイラー。だがクレアの復讐はこれで終わりではなかった。彼女の復讐はまだ続く。

『またある時は部屋を訪れた私に自家発電を強要。1時間以上自家発電をする私が『もう、許して……』と許しを()うても冷淡な表情で『そんなもので終わりな訳がないだろう?文句を言う暇があるなら続けろよ』と言い放ちました』

「……ッ!!」

 ヒイラーの顔面が崩壊する。

(それはお前がテスト前日の夜に俺の部屋で水遊びしたせいで部屋の電気系統がショートして勉強できなくなったから、自転車こがせて照明の電気作らせただけだろうが……ッ!!)

 ヒイラーの視界に恐れていた光景が映った。

 

「ヒイラーがいたぞ!!」、「俺らのクレアちゃんを汚しやがったクソ野郎が!!」、「殺せ!殺してクレア様の純情を汚した罪を償わせてやる!!」

 

 そこには目を血走らせ武器を持った部下達の姿だった。

 クレアのような合法ロリに興味がないヒイラーは忘れていた。クレアはシーマ艦隊の中でシーマに次ぐファンを持っていたことを。

「くそっ!あいつに関わるとろくな目にあわねぇっ!!」

 その後ヒイラーは怒り狂う部下達から逃げ回るのであった。

 

 

 

 ドラント・ヒイラー。

 哨戒時に偶然遭遇したユイリン、ナッシュビルと合流したアルビオンと単独で交戦。柔軟な思考と優れた決断力、果敢な行動力を持った有能な軍人であるエイパー・シナプスを罠に嵌め、クレア・バートンとデトローフ・コッセル亡き後のシーマ残存艦隊を指揮した、シーマ艦隊最後の指揮官である。

 

 




ドラント・ヒイラーの由来は柊竜真氏から(最初『ドラゴ・シン・ヒイラーでいい?』と聞いたら『それならドラント・ヒイラーにしてくれ』と言われてドラント・ヒイラーに)。

この話を柊竜真氏に見せたら「あぁ、彼は生きてるんだ」と言われました。
さらに『シーマ・ガラハウに成り代わった女~ゲルググ・M対ガンダム試作1号機③~』のあらすじみたいなのを見せたら「彼は何者?何でシーマ艦隊にいるの?」と突っ込まれました(^_^;)

あと「部屋中にクレアのポスター貼られていたら?」と聞いてみたら、「嫌だわ」と言われました(書いた私も嫌ですが)。

さらに緊迫した場面の後(シーマ・ガラハウに成り代わった女~ゲルググ・M対ガンダム試作1号機②~)にこのボケのような話はいるの?とも突っ込まれました。
ヒイラーはサポート役で必要だからと答えましたが(^_^;)

本気で協力してくれる親友に感謝すると同時に、ズバズバという親友にわずかばかり恐怖心を抱く今日この頃です(^_^;)

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