シーマ・ガラハウに成り代わった女   作:筆先文十郎

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前話を柊竜真氏に見せた時に二つ名がついてもおかしくない活躍だと言われたので、なぜクレアに二つ名がないのかを説明しないといけないかな?と思い、思いつきました。

ギャグコメディ回です。



クレアに二つ名がない理由

 リリー・マルレーン コッセルの部屋。

「私も二つ名欲しいぃぃぃっっっ!!」

「……」

 ブレイクダンサーのように器用に床で回転しながら駄々をこねるリリー・マルレーンMS副部隊長を務める女性士官、クレア・バートンをコッセルは部下の身体能力の高さに感心と呆れが混じった顔で見ていた。

 事の発端はルウム戦役でのことだった。

 シーマ艦隊所属ギラメル艦長のドラント・ヒイラーと共に圧倒的不利の状況から勝利に導いた立役者となったクレアは本人が望んでいたシーマ・ガラハウ直属の部下になった。しかしその後戦艦5隻を撃沈させたシャア・アズナブル、地球連邦軍総大将であるヨハン・イブラヒム・レビルを捕虜にしたガイア、オルテガ、マッシュがそれぞれ『赤い彗星』、『黒い三連星』という二つ名がつけられたことを知ると騒ぎ出したのだ。

 

 私だってすごい活躍したじゃないですか!! 何で私には二つ名がないんですか!! 

 

 と。

 コッセルが「俺達は戦況に大きく関係しない戦場で戦っていたからな。仕方がないだろう」と言ってもクレアは駄々をこね続けた。

「はぁ、じゃあ俺がお前にふさわしい二つ名を考えてやるよ」

「本当ですか!?」

 その言葉を聞いた瞬間、クレアは地面に手を突かずに空転して起き上がると目を輝かせながらコッセルを見上げる。

(こいつ、雑技団にでもいたのか?)

 軍人離れした部下の身体能力に度肝を抜かれつつ、コッセルは顎に手を置いて考える。

「う~ん、そうだな……そうだ!」

 いかつい巨漢の男はポンッと手を打つ。

「火星の別名でもある熒惑星(けいこくせい)からちなんだ二つ名はどうだ? 熒惑星はその赤い色から不吉な象徴とされているが、敵である連邦軍からすればルウム戦役での活躍は悪夢としか言いようがないだろう。お前の髪も赤いしピッタリの二つ名になると思う、が……」

 説明に夢中になっていたコッセルは目の前の部下に目を移す。そこには

 

 ぷしゅ~~~

 

 頭から白い煙を出してショートしたクレアの姿があった。

「熒惑星はこいつには無理だったか……」

 目の前の童顔軍人に合わせて考えなければと考えを改めたコッセルは『凶星(きょうせい)』や『流星(りゅうせい)』など様々な二つ名を提案する。

 しかし

 

「きょ、嬌声(きょうせい)ですって!? ハッ……まさかコッセル大尉はこのシーマ様の次に美しいこのパーフェクトボディを貪り食らおうというのですか!!」、「劉生(りゅうせい)? 私、中国人じゃないですよ!!」

 

 と見当違いな発言をする。

「はぁ……だったら!」

 考えることが馬鹿馬鹿しくなったコッセルは投げやりに言った。後に自分の不幸を招く二つ名だと知らずに。

 

 ======================================

 

 数日後。

 リリー・マルレーン ブリッジ

「さて、クレアがどう料理するか、こうして見せてもらおうかねぇ」

 敵MS部隊が少数だと知ったシーマは白い虎の毛皮が敷かれた艦長席でゆったりと珈琲(コーヒー)を飲んでいた。クレア達の力量を改めて把握するためと、いつも自分に花を持たせるクレアへの労いを兼ねてとのことだった。

『シーマ様、行ってきます!』

「ああ! 存分に暴れてきな!」

 ブリッジのモニターに映る童顔の部下に激励する。

『はい!』

 ビシッと見事な敬礼で返すクレア。そして、次に発した彼女の言葉はそんな空気をぶち壊した。

 

『シーマ様の犬、クレア・バートン出るっ!!』

 

 ぶううううううぅぅぅぅぅぅっっっっっっ!!??

 

 その言葉にシーマは口に含んでいた珈琲を噴出し

 

 …………

 

 ブリッジクルーは固まった。

「あのバカ! 本当に自分の二つ名にしやがった……ハッ!?」

「コ~ッセ~ル~~~!!」

 コッセルは振り返る。そこには大きめの扇子をバンバンと鳴らし、ドス黒いオーラを体中から漂わせながらにらみつけるシーマの姿があった。

 

 

 

 クレアに二つ名がない理由。それは本人があまりにもバ……シーマ・ガラハウの部下である自分には二つ名はいらないという謙虚な姿勢からである。




クレアはすごいけんきょだな(棒読み)

>クレアは地面に手を突かずに空転して
サントリーフーズのアミノ式CM並みの身体能力だ……筆先文十郎の歳がバレますね汗
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