ア・バオア・クー攻防戦。
宇宙世紀0079年12月31日にジオン公国本土のサイド3を守る重要拠点ア・バオア・クーで行われた、ジオン公国軍と地球連邦軍による一年戦争最後の戦いである。
開戦当初はジオン公国総帥ギレン・ザビの指揮と公国軍の善戦により有利に進んでいたものの、突然のギレンの
防衛は不可能と悟ったジオン公国軍では各隊に独自の撤退命令が下り、キシリア傘下としてこの戦いに参加していたシーマ・ガラハウ率いるMAUシーマも月方面への脱出を図った。
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「フンッ! どうせこの世は
赤いノーマルスーツを着て愛機のシーマ専用ゲルググMを駆るシーマは、『MAUシーマを中心に他のMAUも損害に構わず突撃し包囲網に穴を開けろ』という命令を遂行すべく、あちらこちらに漂うデブリを回避しながら連邦軍に突撃を開始する。
『MAUゲールも続けッ!! 出たとこ勝負だぁッ!!』
「ゲール! 腹が出来てるねぇ! さぁて、仁義の代わりに軍律か!!」
普通なら恐怖で縮みこんでしまう圧倒的な連邦軍を前にして
『さっさと死ねよ、連邦の犬がぁ!! シーマ様とゲール中佐のデートを邪魔するヤツは、このクレア・バートンがぶっ殺す!!』
シーマが背中を預けられるほど信頼できる副部隊長、クレア・バートンがシーマのゲルググMに先行し、狙いを定めるMSをビームライフルで的確に葬っていく。
「
言葉とは裏腹に、笑うシーマは先行するクレア機を援護する。
連邦軍の猛攻に次々に脱落していく友軍。もう少しで包囲網を突破出来るところまできた。その時だった。
「……ッ!!」
シーマは痛みで声にもならない声を漏らす。
雨のように降り注ぐ銃弾を回避しきれず被弾したのだ。その衝撃はコックピット内部にまで伝わり、シーマのヘルメットにヒビが入る。
「……チッ!!」
額からの流血が目に入り、シーマは顔を歪める。しかしシーマに痛みで苦しむ暇はなかった。
「……クッ!!」
あらゆる箇所が被弾し失っていく様子に覚悟するシーマ。しかし攻撃はしばらくして収まった。
(……どういうことだ?)
その疑問はコックピットに聞こえる声で理解した。
『シーマ様とシーマ様のゲルググMを傷つけた罪、その薄汚い命で償えッ!!』
シーマに攻撃を加えていたMS部隊にクレアのゲルググMが単機で突撃。MS部隊はシーマへの攻撃を中断せざるを得なかったからだ。
『私が囮になる! その間にシーマ様を!!』
クレアの命令に部下は被弾したシーマを守るように展開。包囲網を無事突破した。シーマの撤退を確認したクレアは、電灯に群がる虫のように自分に集まるMSに被弾を恐れず突撃。各箇所を被弾しつつも五体満足の状態でシーマと合流を果たし、ア・バオア・クーから脱出した。
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月 フォン・ブラウン市郊外
「……」
ア・バオア・クーでの戦闘を思い返していたシーマは、椅子に体を預ける。
「……
ふとシーマは机に置いたサイコロを掴み、掌で転がし眺めた。
「……ゲール。アンタは今どこで何をしてるんだい?」
呟いたシーマは掌のサイコロをグッと握り、格子のつけられた窓から空を見た。