シーマ・ガラハウに成り代わった女   作:筆先文十郎

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ヒイラーの献策

「……クレアのアホめ。余計なことをしやがって……」

 オサリバンとの裏取引のためにクレアに同行したドラント・ヒイラーは頭を悩ましていた。

 戦術だけならば、軍や政界を牛耳(ぎゅうじ)る者達を相手に交渉を有利に進められるほどの頭脳を持つシーマ・ガラハウに匹敵するヒイラー。

 そんなヒイラーを悩ますこと。それはクレアがシーマ艦隊に引き入れることにしたケリィ・レズナーの存在だった。

 クレアはシーマ艦隊の根底を(くつがえ)しかねないと言っても過言ではない重大な秘密、『クレア・バートンがシーマ・ガラハウに成り代わっている』という事実を漏らした。故にケリィ・レズナーを殺すか監視下に置くかの二つに追い込まれた。しかしシーマ=クレアがケリィ・レズナーを迎え入れる決断をした以上、前者の殺害して永遠に口を封じることは不可能になった。

「そもそもケリィ・レズナー……あの男は使えるのか?」

 ヒイラーはケリィが片腕ということでその実力に疑問を感じていた。

「ヒイラー。帰ったよ♪」

 悩むヒイラーを逆撫でするように、ケリィの家から戻ったクレアはノックもせずに鼻歌を歌いながら部屋に入ってくる。

「……!」

 その態度にヒイラーの怒りは爆発した。

「こ~の~ア~ホ~がぁぁぁっっっ!!」

 ヒイラーは暗殺者のように素早く回り込むと、両手で握り拳を作り、こめかみを両側から拳の先端を挟み込むように()てがって固定、そのままねじ込みながら圧迫した。

「うぎゃあああぁぁぁっっっ!! 痛い痛い痛いっっっ!!」

 完全に油断していたクレアは親友の不意打ちをまともにくらい涙目で攻撃を受け続ける。

「ヒイラァァァッッッ!! 何でこんなことするのよぉぉぉっっっ!!」

「お前が正体バラ(バカなこと)したからだ! このボケが!!」

「ひぎいいいぃぃぃっっっ!!」

 子どものように泣くクレアに容赦することなく攻撃を加え続けるヒイラー。クレアにとって永遠とも言える地獄を解放したのは

 コンコンッ

「ザケルフです。入ってもよろしいでしょうか?」

 諜報工作員のデフキサ・ザケルフのノックだった。

「入れ」

 子どものように泣きわめくクレアに手錠と猿轡(さるぐつわ)をすると、ヒイラーは入室したザケルフの方へ振り返る。

「我々に味方をしているアナハイムの人間からの情報です。明日──」

 ザケルフの報告にヒイラーの頭に衝撃が走る。

「でかした、ザケルフ。これでこのバカが持ってきた災厄(さいやく)が片付く!」

 そう言うとヒイラーは「うううっっっ!! (解放しろっっっ!!)」と部屋の隅でもがくクレアを無視してケリィ・レズナーを利用した策を思案。襲い掛かろうとするクレアに「シーマ様のため」と釘を刺して考え抜いた策を伝えた。

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