シーマ・ガラハウに成り代わった女   作:筆先文十郎

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ケリィ・レズナー、出撃

 ケリィ・レズナーと青年は無事にヴァル・ヴァロを修理し、青年は成し遂げた顔でジャンク屋を後にした。

 そして翌日。『大尉とヴァル・ヴァロを出迎える』という約束通りにザケルフとシーマ(クレア)と共にケリィの元を訪れた浅黒い肌をした(いか)つい小男、クルトがアタッシュケースを持ってヴァル・ヴァロが隠された倉庫へと現れた。

「出迎え感謝する。準備は整っている」

「さすがはレズナー大尉。ヴァル・ヴァロも万全なようで」

 パイロットスーツに身を包んだケリィに、クルトは笑みを浮かべる。

「これが約束の金です。ご確認を」

 クルトはアタッシュケースを地面に置いて(ふた)を開ける。そこには丁重に入れられた金塊(インゴット)があった。

「おぉ、支度金をこんなに!」

 普通に暮らせば数年は暮らしに困らない額の金塊が入ったアタッシュケースを受け取ろうとするケリィを

「おっと、ちょっと待って下さい」

 クルトが制止する。

「どういうつもりだ?」

 ケリィはクルトを睨みつける。しかしそれに怯むことなくクルトは続ける。

「いえ。シーマ(・・・)様からの伝言を言い忘れてましてね」

 クルトはアタッシュケースの蓋を閉じる。

「『私は大尉の実力を認めている。しかし大尉が片腕ということに実力を疑問視する者がいるのも確か。だから戦果(実力)を見せてほしい、大尉がパイロットとして終わっていないと私以外の者にハッキリさせるだけの』……とのことです」

「……」

 その言葉にケリィは黙る。シーマ・ガラハウの名を(かた)る謎の女は自分をパイロットだと認めてくれた。その恩人とも言える存在が自分のせいで立場を悪くするのは気が引けた。

(……ではどうすればいい?)

 自分を疑問視する者達に実力を認めさせるためには戦うしかない。しかしそれをすぐに証明するための戦いの場がない。

「……」

 悩むケリィにクルトは「その点に関してはご心配なく」とアタッシュケースをケリィの前に差し出す。

「実はこのフォン・ブラウンで大尉の実力を証明するおもしろい(・・・・・)ことが行われていましてね。それを行ってくれれば大尉の実力を証明することが出来ます」

「そのおもしろい(・・・・・)こととは?」

 ケリィの問いにクルトは詳細を説明する。

「では大尉、やってくれますね?」

「あぁ、必ずや達成してみせよう!」

 力強く答えると隻腕の戦士は目の前に差し出されたアタッシュケースを受け取り、倉庫の前で様子を(うかが)い戦場に戻るのを止めようとしたラトーラに強引に渡すと、自身の魂と言えるヴァル・ヴァロへと乗り込んだ。

 




長い間投稿出来ずに申し訳ございませんでした。
少しネタバレしますが、次回はヴァル・ヴァロとガンダム試作1号機の対決です。
自分の苦手な戦闘シーンですが頑張りますので応援して頂けると幸いです。
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