シーマ・ガラハウに成り代わった女   作:筆先文十郎

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シーマ・ガラハウに成り代わった女~クレアの熟考~

 シーマがデラーズ・フリートの傘下に入ることを表明して数時間後。

「……」

 クレアは制服のまま愛機であるゲルググM(マリーネ)のコックピットで腕を組んでいた。

 一人になりたい時や何か考え事をする時、彼女は決まってコックピットの席に身体を預ける。故に乗組員の誰もがクレアの行動を怪しむことはなかった。

 クレアは考える。

(シーマ様はデラーズ・フリートの情報を連邦に渡すことでシーマ艦隊の保障を獲得するおつもりなのだろう。そうなると一つ気になることが出る。それは『デラーズ・フリートが何をしようとしているか』だ)

 

 現在発動している作戦、『星の屑』。詳細は(いばら)(その)で伝える。

 

 デラーズが詳細を語っていないため現時点で星の屑作戦の行動と目的を知る者はシーマ艦隊には誰もいない。現時点で分かっているのはデラーズ・フリートの大まかな戦力、デラーズの右腕とも言える『ソロモンの悪夢』ことアナベル・ガトーが連邦軍が極秘で開発した戦術核搭載の機体を奪ったということだけだった。

(デラーズ・フリートの目的は何だ? 奴らは何をしようとしている?)

 クレアはスッと目を閉じる。

(奴らが目指すのはジオンの再興。それを果たすにはまず拠点となる場所が必要だ。今デラーズ・フリートが身を潜めている旧サイド5の跡地『茨の園』はあくまで秘匿基地。拠点と言うには脆弱だ。つまり基盤となる場所が必要だろう)

「それだと一年戦争(先の大戦)で取られたソロモンやア・バオア・クーか」

(……となると核装備の機体を奪ったのは奪われた拠点を奪還するための戦力?しかし核を使うのか?核は南極条約で決められたコロニー落としをはじめとした『大量殺戮兵器の使用禁止』に含まれるぞ……使うとは限らないのでは?)

「いや……」

 クレアは自分が導きだした答えを否定する。

(南極条約はあくまでも戦時条約。一年戦争が終結した宇宙世紀0080年1月1日の時点で失効している。それに条約を締結したのはジオン公国と地球連邦政府。デラーズ・フリートはジオン公国から派生した組織ではあるがジオン公国ではない。条約を締結していないのだから核を使用しても条約違反にはならない)

「つまり……」

 クレアはゆっくりと目を開ける。

「デラーズ・フリートが核搭載の機体を奪ったのは拠点となる場所を奪還するための交渉の道具、そして交渉決裂の際に核を使用して敵戦力を壊滅させた後に力づくで制圧するため?しかしデラーズ・フリートの戦艦数はシーマ艦隊を入れても50を超える程度。占領したとしても連邦が大規模の反撃部隊を派遣すれば持ちこたえることは出来ない。アクシズは連邦と刃を交えようとは思わないだろうから援軍を出すことに難色を示すだろうし……」

 その後一時間、彼女は考えた後

 

「うぅん……ピーマンいらないよ、ひぃいっ!」

 

 悪夢にうなされるのであった。

 

 




今回の話は
①クレアが戦略的な思考は高いとはいえないが分析はしていること。(クレアは拠点奪還のためにガンダム試作2号機を奪ったと読み違えたが、その後の戦力差で拠点防衛は不可能に近いと考える)

②デラーズ・フリートの矛盾点(一年戦争は未だに継続中であると主張しているのに、デラーズ・フリートは明らかに条約違反である核兵器の使用およびコロニー落としを行っている)

③普通は思いつかない、コロニー落としというインパクト(もちろんクレアは夢にも思ってない)

④最後のオチ。

⑤コッセルさんの重要性(クレアの足りないところを補う)
が書きたくて書きました。

こうして見るとデラーズの戦略家&盲信がすごいと改めて気づかされます。

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