元社畜で兵士の提督生活   作:sironio

1 / 6
始まり

高校卒業してすぐに就職した。何処にでもあるような兼業農家の長男で家には大学に行くような余裕は無かったから、大学にいってやりたい事を見付けたいと思った事もあるけど、やりたい事が決まってないのに先に進んでも意味ないだろと自分に言い訳して諦めた。

せめて妹弟は大学に行けるようにという考えもあったが、結局妹も就職し弟は専門学校を選んだ。

 

 

趣味はかわいい女の子たちが中心のアニメやゲームを楽しむことで、特に艦これは一度あまりのイベントの難易度の高さに止めてしまったが一年前に復活してはまっていた。嫁は長門と加賀、そして龍田。

 

あとは精々、宝くじを毎回いくつか買うくらいだ。万が一当たったらあのブラックみたいな仕事を辞めて日本一週でもしたいなと思う。

 

そう、思ってた。だって夢なんて当たらないから、夢なんだから。

 

 

 

ふぁっ!?ゆ、夢か?宝くじ当たった……しかも一等である。

 

何度も確認して興奮して机に脛ぶつけて滅茶痛い……夢じゃねぇな、間違いないことが分かると我慢できずに叫んでしまった。

 

「よっしゃー!!」

 

『ずるいな』

 

「は!?」

 

回りには誰もいなかった筈……いや、自分の部屋だし間違いなくいない……まさか、頭の中に直接?いやいやいや、疲れてんのか?

 

『代わってくれ』

 

「っ!?」

 

やっぱり聞こえる!?周りを見渡しても誰も居ないのに?

 

その瞬間にヌルリと何かが体に入ってくる感覚と同時にズルリと引き摺り出される感覚、自分の体が目の前に……いや自分と目が合ったのを見た瞬間、急激に景色が変わり首根っこを捕まれて一回転した後叩き込まれたかの様な訳の分からない感覚がして、いつの間にか閉じた目を開けた瞬間俺は水に浸かっていた。

ゴボボッ!ザバッ!!

「ガハッ!ゲボッ!オエェしょっぺぇ!っあ!?いてぇ!?っ~~~~~~~~~~!!なんだこれ!?」

 

水を飲み込んで驚き余りの塩辛さと余りの痛みにのたうち、更なる痛みに悶絶しながら自分の状態を確認すると場所は砂浜、明らかに折れ曲がった左腕と痛み方から肋が複数折れている様だ、更に回りには自分と同じ様な格好の奴等がゴロゴロと転がっていた。

 

宝くじ当たったの確認して誰かの声を聞いた後に間髪入れずにこの状況である。全く理解できないまま呆然としていると、突然自分のモノでは無い記憶が頭の中に流れ込んでくる。

 

簡単に言えば艦隊これくしょんの世界をベリーハードにして、艦娘だけではなく人間も試験的にだが海に投入されている世界。

人間が海に投入されるに辺り人体実験が行われ、この体の主は平行世界の自分であり実験台にされている事も分かった。高校卒業後就職して直ぐに拉致されてから、肉体の強化に始まり艦娘や深海棲艦の細胞の移植等も行われており、海上で人間が戦う為の装備の実験台にもされて何度も死にかけていた。

実際に経験してないのに経験した記憶があると言う訳の分からない状態、その時何をされたかが事細かに思い出される。

 

 

そんな鬼畜な世界でも何とか生き延びて現在は海軍特別海上機甲隊隊長補佐、八城支門少尉として日本海側に強襲して来た深海棲艦を迎え討ったのだった。

射撃しながら近付いて駆逐艦の一体に薙刀を突き刺したのは覚えてるんだけどその先の記憶がない、結果として相討ちとなった様で軽巡二隻と駆逐艦三隻が近海に沈んでいるのが見えるが一隻足りない。

 

「キィィ……」

 

仲間の死体の影でボロボロな駆逐艦が苦しそうに此方を見上げている。

あぁ、お前だって苦しいよな……直ぐに介錯してやる。

 

落ちていた槍を拾い突きつけても大人しくしていて、まるで本当にそれを望んでいるかの様だ。

片手だが勢いをつけて全体重で突き入れた。

 

 

 

出来れば次は艦娘として生まれてきてくれ……

 

 

 

ちょいちょいと指でつつかれた気がして少し視線を落とすと、エラー娘が馴染みの姿で猫を吊るして立っていた。

 

『いやいや困ったねー不運だったねー。死にかけた奴が異世界の自分と入れ替わるとか、全く想定してなかったから滅茶苦茶焦ったよ。急遽致命傷だけ治癒させたけど全く説明しないのも酷いから来ました』

 

「……あ、ありがとうございます?」

 

入れ替わり?宝くじ当たったと思ったら異世界?確かに憧れはあったけどタイミングがひどいよなぁ……あと年齢な、今年で三十五だぜ?とっくにオッサンなんだが?何故あと十年早くしてくれなかったのか……

 

『いえいえ、これも仕事ですから。艦これの知識が有ったので助かったよ。前の彼の記憶は見せたのである程度状況は理解したよね?』

 

「まぁ、はい」

 

考えてる場合じゃないな、話しちゃんと聞かないと

 

『しょうがないから体のバランス調整と、ちょっと能力なんかはプラスしといたから後は頑張ってね……あぁ、ちょっと周りの人の記憶も貴方に合わせて弄って都合よく納得とかしやすい様にしておくから。あと面白い知識もあるみたいだし参考にさせてもらうね。じゃあね』

 

そう言って手を此方に振った後に陽炎のように姿が薄れていった。あれ!?結局説明らしい説明全く受けてないんだけど?状況分かっただろ?後は頑張れ的なやつなのか?

 

とりあえず生存者を探したが意識の無い隊員が一人、隊長の天宮大尉及び隊員八人の戦死を確認、結局二人だけが生き残りだった。部位欠損の死体ばかりで三回ほど吐いちまった。

 

実験施設出身が多かった為に外部とろくに接触出来ない部隊だった……まともに会話出来ないやつだっていた。

 

そんな中仲がよかったのは、群を抜いてまともだった天宮隊長……ただし、アニメのキャラに成りきって戦う事以外、バトルジャンキーでハン◯ーx2のヒ◯カのちょっと変態じゃない感じの礼吉、何時もニコニコしてるけど何考えてるかわからなくて隊長の側にばかりいた黒髪ロングの爆乳スナイパー龍間、本ばかり読んでいる無口なボイス◯イドのまな板紫髪風の人弓月、やはり変な奴等ばかりでどこかしらに欠陥を抱えていた。ちなみに生きてたのは無口なまな板紫髪だ。

 

他のやつは……それなりに会話も出来るが薬が無いと動けなくて常にに泡吹いてる奴、ヤバいのだと会話が成り立たず常に目が血走り誰彼構わずに襲いかかる奴まで居た。

 

それな部隊でもたった一人仲間が生きていてくれて嬉しかったがここは無人島、応急手当てはしたが無線も海上装備も壊れていて助けも呼べない状態、捜索隊は出ているだろうか?正直殆ど期待出来ないがエラー娘が言っていた、周りの人の記憶も都合がいいように弄っておくという話がやけに引っ掛かっていた。まぁ仮に出ていたとして見付けてくれるまでに俺も含めて保つだろうか?

 

チャプンという水音と

「あんたが司令官ね。ま、せいぜい頑張りなさい!」

突然聞こえた声に振り返ると、後ろには艦これでよく知っている艦娘が立っていた。

 

「む、叢雲?」

 

「へぇ、分かるの?まぁ名艦だもの知っていて当然よね」

 

自慢気に胸を張っているがこれ言ったらガッカリされるのではなかろうか?言わなければ言わないで後でどやされそうだから言うしかないのだが……

 

「俺、提督じゃないんだけど」

 

「なんですって!?どういう事よ!?や、やだ……ありえない……」

 

やはり滅茶苦茶落ち込んでいる。

 

「落ち込んでる所悪いんだけどとりあえず助け呼んでもらえる?」

 

「……あぁもう、いいわ! やってあげる。高くつくわよ? 覚えてなさいな! 貸しにしといてあげる」

 

 

 

暫くして見えてきたのは七人の影だった。

 

「第三十八鎮守府所属第三艦隊旗艦重巡古鷹です。御迎えにあがりました」

 

「特別海上機甲隊隊長補佐八城支門少尉です。感謝します」

 

「任務完了よ!貸しだからね。キッチリ覚えておきなさい!」

 

「……ありがとう」

 

「海上兵の皆さんは喋らないと有名だったので意外です」

 

特別海上機甲隊は別名人柱とか海上兵とか言われているらしい。喋らないというより余計な事しない様にヘルメットでコントロールされてるんだよね。そう言えば前に爆破された奴見たことあるし壊れてて助かったわ。

 

「あー、喋らないと言うより喋れないですね。自分は気付いたらヘルメット壊れてたので大丈夫ですけど、無理に外したり指示以外の事すると爆発しますからねぇ」

 

これもう事情説明して助けて貰った方がいいよね?この世界の提督は真面目で正義感強い人の割合高いみたいな記憶あるし、何だったら提督になれる様に交渉した方が安全な気がする。

 

 

「ぇえ!?爆発!?」

 

「我々が生きているのも事故みたいなものです。捜索隊とか出されてましたか?」

 

「……いえ、確かに生存者無しと聞いていました」

 

「ですよねぇ……どうしましょう」

 

「うちの提督に掛け合ってみましょうか?悪い事とか許せない性格ですし力になってくれると思います」

 

キターーー!さすが大天使古鷹!マジ天使!

 

「あんた、なに鼻の下伸ばしてるのよ!?私ともちゃんと話した事もないのにどういう了見なの!?」

 

「ちょっ、叢雲落ち着いて気のせいだから、あとちゃんと話しすから……古鷹さんよろしくお願いします」

 

「……ったく、早くしてよ!」

 

苦笑いしながら古鷹は頷いている。

「分かりました」

 

 

 

『そんなバカな話があるか!直ぐに鎮守府に連れて帰りなさい。奴等には痛い目にあってもらおう』

 

古鷹の話し通り提督はいい人らしく、親身になってくれた上に俺が置かれていた環境に激怒してくれた。

 

『一応直ぐに確認出来そうな彼の名前と他の隊員の名前が聞けるなら聞いてくれ』

 

隊員の名前は全て覚えていたので順次あげていった。

最後に生き残りの名前を言った途端に声色が変わった。

 

『弓月優花だと!?もしかして紫髪のペッタン娘じゃないか!?』

 

「確かに紫髪で……ペッタンですが……」

 

『そうか、恐らく間違いないな……わかった。ありがとう』

 

 

 

そこから大本営に話しが行き更にとんでもない事が分かった。

隊員の全てが現提督のなんらかの血縁関係にあるらしい、提督になれる素質と艦娘との親和性は血縁が関係するのかの調査と、別な要因があるのかの研究が元々の目的であったことだ。

人工的に提督を作る事が出来れば軍事力を手に入れたも同然である。

結局提督を作る事は失敗した様だが別な方向の研究へと切り替えられたのだろう。

証言と証拠も見付かった為に研究所は直ぐに一斉に摘発、関係があったと見られる関係者も拘束され捜査される事になった。

 

都合のいい事に叢雲を見つけた実績から、俺には提督の素質が見られるとして強制的に所属変更され、提督として移動する事になった。

 

怪我や証人としての役割もあるために直ぐに鎮守府に着任する訳ではなかったが、それでもゲームで好きだった艦これの世界に来てやって行く事に大きな不安と多少の期待に溢れていた。




1/30誤字修正しました。報告ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。