「イィイイイヤッホォオオオオウ!!!!」
叢雲とタイマンでの演習中、それも鍔迫り合いの真っ最中に突然弓月が叫び声を上げ、どちらともなく戦闘を中止する。
「は?何事?……ん?は?しゃべった!?今の声ゆかりさん!?」
「……」
「ゆかり入ってま~す♪」
「おぃい?マジで!?」
「……」
「は!?しまった!?やっと同調完了してあまりの嬉しさにテンションがフィーバーして暴走しました」
「ん」
とか
「あ」
位しか喋らずに筆談や動作で意志疎通を図るのに突然の叫びである。
叢雲は開いた口が塞がらずにずっとポカーンとしているし、俺は俺でビックリし過ぎてパニックになりかけていた。
「ぁぅ、やらかしました」
「いやいやいや!?え?ゆかりさんなの!?」
「ゆかりさんですけど、何で分かるんですかねぇ?」
「……ちょっと待ちなさいよ!アンタ喋れたの!?」
あ、叢雲復活した。
そしてキレそう……あー、意志疎通上手くとれなくてイライラしてたもんなぁ。
「ぃゃ、まぁなんと言いますか」
「ハッキリといいなさいよ!!」
「た、たすけてください」
涙目の上目遣いは反則です。
「あー、叢雲、どうどう」
「私は馬じゃないわ!」
「ごめん、先ず落ち着け」
「っ~~!フンッ!」
何とか怒りを飲み込んでくれたらしい。
「とりあえず一つずつ確認しよう。弓月はゆかりさんなの?」
「あー、はい、そうですね。私は弓月さんの体を戴いた結月ゆかりです。弓月優花さんは残念ながら最後の戦闘で亡くなっています。と言っても私が入る際に蘇生しているので、実は一つの肉体に二つの魂が入っている状態なんですけどね。当分引きこもりたいそうです」
最後の戦闘でという事はタイミング的に俺と一緒だな。
引きこもりたいってなんだよ……
俺は魂二つも無いから違うけど似たような状態と言えなくもないか?でも自分の意思で来てる所は全く違うけども。
「それってアンタと一緒じゃないの?」
「え?」
「あっ」
「叢雲さんや」
「……ごめん」
二人だけの秘密だったのにうっかりバラされたんですけど?意外におっちょこちょいなのか?
こうなってしまえばしょうがないのでゆかりさんにも事情を説明することにした。
「なるほど、そうですか。しかも?そちらの世界では私がボーカロイド?として声が使われたり動画やら何やらが作られていると?」
「そうだね」
「しかも胸が無いのもネタにされてるとか?何なんですかその羞恥プレイ……私はまな板じゃない!」
「私はやっておりません」
「……最低」
生のやつ来ました!ありがとうございます!
「……何でうれしそうなんですかねぇ?」
「気のせいです」
あぶないあぶない変態扱いされてしまう所だった。
「まぁいいです。私はこの世界に友達を探しに来ました。今は手懸かりすらありませんがきっと見つけ出して見せます」
「……マキさん?」
「はぁ、それもボーカロイドの情報ですか?正解ですけど、誰かそちらの世界に行ったんですかねぇ?」
半目のゆかりがこちらを睨んでいるが安定のコンビだしなぁ。マキさんは行方不明で、それを探しに来たゆかりさん、キマシタワー?
藪をつついて蛇出したくないから黙っておこう。
「ねぇ、バラしちゃったのは私が悪いんだけど、そっちのけで会話するのってどうなの?」
「……へぇ、もしかして焼きもちですか?意地っ張りなだけかと思ってたんですけど意外と可愛い所あるじゃないですか。ツンデレキタコレ!」
「な!?アンタ、酸素魚雷を食らわせるわよ!」
「どうどう、叢雲落ち着きなさい。ゆかりさんも煽らないで」
「だから馬じゃないって言ってるじゃない!」
「ごめんごめん謝るから、だからその魚雷発射管は此方に向けないで」
「フンッ!」
何とか落ち着いたがこれから一緒にやっていくのにこんな感じで大丈夫なのだろうか……
とりあえず分かったこと、弓月優花は一度死んでいて中身は結月ゆかり。
俺と同じタイミングで此方の世界に来た。
その際に死んだ優花の魂と遣り取りをして記憶は引き継いでいるのでこの世界の情報は持っている。ってか中に居て引き込もってこちらを見ている。
ゆかりが此方に来た目的は弦巻マキの捜索で、現状手懸かりは無し。
そのうち東北ずん子とかも来たりしてな……ハハッ……艦これの世界だけじゃなくて混ざってんのか?
エラー娘さんよ、一体どうなってんのよ?
『さあ?そちらは私も知らなかったよ』
うお!?コイツ脳内に直接!?
『神様ならテンプレでしょう?』
あ、そういえば知識がどうとか言ってたな……あれ?神様?
『詳しくはその内分かると思うけどね。そう君はこの世界の神と話しているのだ。光栄に思いたまえ、なーんてね。一応監視もかねて当分周囲を見張らせてもらってるよ。気にせず生きなさい』
なるほど、おかしな話しじゃないな。
とにかく、ゲームの世界だと思って油断してると足元掬われそうだな。
慢心、ダメ、絶対
今日はあの人の誕生日ですね