サーヴァント   作:兎露太

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予約投稿がされてないと思ったら、
投稿予約の日付を間違えて明日に設定してました(;・∀・)


Trick or Treat

ホグワーツに来てからもう2ヶ月も経つ。今日はハロウィンで、朝から甘いお菓子の匂いが漂っていた。

 

今は妖精の呪文の授業中、フリットウィック先生は生徒を2人ずつ組ませて浮遊呪文を練習させた。俺はハリーと組み、ハーマイオニーはロンと組まされた。ロンは恨めしげな視線でフリットウィック先生と俺たちの事を見ていた。

 

「ビューン、ヒョイ、ですよ。いいですか、ビューン、ヒョイ。呪文は正確に、これもまた大切ですからね」

 

みんなそれぞれ練習を始めたが、悪戦苦闘しているようだ。

 

「俺もやってみるか、ウィンガーディアム レヴィオーサ!」

 

「すごいよ、ディア。ちゃんと浮いてる!」

 

「良くできました。皆さん、見てください。エバレンさんがやりましたよ!」

 

俺が呪文を唱え杖を振ると、ゆっくりと羽が浮いて行った。そんな時、隣から揉めるような声が聞こえた。それに俺の集中が途切れて、羽を落としてしまった。

 

「言い方が間違ってるわ。ウィンガーディアム レヴィオーサ。"ガ~"と長ーく綺麗に言わなくちゃ」

 

「そんなによくご存知なら、君がやってみろよ!」

 

どうやらロンの呪文の発音に対して、ハーマイオニーが注意していたようだ。ハーマイオニーは杖を振り呪文を唱えた。

 

「ウィンガーディアム レヴィオーサ!」

 

「オーッ、よくできました!皆さん、見てください。グレンジャーさんもやりました!」

 

羽は机を離れ、頭上1、2メートルぐらいの所に浮いていた。授業が終わると、ハーマイオニーは俺の元にやってきた。そして、さっきの授業の復習の話をしながら教室を出て廊下を歩いていると、ハリーとロンが前を歩いているのが見えた。

 

「だから、誰だってあいつには我慢できないっていうんだ。まったく悪魔みたいなやつさ」

 

前方を歩いていたロンの声が聞こえてきた。俺はハッとして隣にいるハーマイオニーを見たが、それにはもう遅かった。俯きながら、人にぶつかっても気にせず走るように歩き去っていった。

 

「っちょ、待って!ハーマイオニー!!」

 

俺は走り去るハーマイオニーを呼びかけるも、小さくなるハーマイオニーの背中を見つめるしかなかった。一瞬だけ見えたハーマイオニーの表情には涙が見えた。

 

「誰も友達がいないってことはとっくに気がついているだろうさ」

 

ロンにもイラついたが、この事が起きるという事を忘れていた俺自身にも怒りを覚える。

 

「ロン!俺は、ハーマイオニーの友達だと思ってる。誰が何と言おうとな…」

 

俺は半ば八つ当たり気味に、ロンの胸倉を掴みながらそう言うと、ハーマイオニーのあとを追いかけて行った。

 

 

ハーマイオニーを探して城の廊下を走った。女子トイレという事は覚えているが、それがどこの女子トイレかはわからなかった。それに広い城の中を一人で探すのには無理があった。

 

「ディア!そんなに急いでどうしたんだ?」

 

走り回って探しているところに、ちょうどドラコが通りかかった。そう言えば、入学式のあの日以来ドラコと話しをする機会はなかった。

 

「っはあ、っは…ドラコっ、ハーマイオニー…ハーマイオニーっを、見なかったか!?」

 

「グレンジャー?グレンジャーなら、見てないが…それより大丈夫かディア」

 

いつまでも闇雲に走り回っていても意味がない。ドラコにハーマイオニーを見かけなかったか聞いてみるも、良い答えは返ってこなかった。

 

「そう言えば…グレンジャーの話じゃないが、地下室の女子トイレで誰か泣いてるやつがいるとかって…っあオイッ、ディア!」

 

ドラコのその話を聞いた瞬間、俺は別れも告げず走り出した。

 

 

地下室の女子トイレにたどり着くと、ひとつだけ閉まった個室のドアの向こうからハーマイオニーのすすり泣く声が聞こえた。俺はその個室の扉をゆっくりノックした。

 

「ハーマイオニー、俺だ…こんなとこにいないで戻ろう」

 

ハーマイオニーからの返事はなかった。思い切ってドアノブに手をかけてみたが、鍵がかけられていたため開けることはできなかった。俺はもう一度、そっとドアをたたいた。静かな空間にノックの音が響いた。

 

「ここを開けてくれ、ハーマイオニー。ロンの言葉なんか気にする必要なんて…」

 

「友達面しないでっ!私の事なんて、どうでもいいくせにっ…放っておいてよ!!」

 

友達面ねぇ…けっこう傷つくな。でも、開けてくれる意思がないことは良くわかった。

 

 

「そうか。ハーマイオニーが開けてくれないなら…アロホモーラ!」

 

俺は解錠呪文を使い、個室の扉を開いた。

 

「な、何してるのよ…放っておいてって言ってるでしょう!!」

 

「トリックオアトリート。ハーマイオニーはお菓子を今もってないと思ったから、返事も聞かず先にイタズラさせてもらった」

 

個室の扉を開いた時は、ハーマイオニーはまだ泣きながらも、扉を開いた俺に対して怒っていた。しかし俺がトリックオアトリートと言うと、ハーマイオニーは予想もしない言葉に唖然として涙も止まったようだった。

 

「誰が何と言おうと、俺はハーマイオニーと友達だと思ってる。友達面してるわけじゃない。俺達、友達だろ?」

 

そう言うと俺はハーマイオニーに手をさし出した。そしてその手を、ハーマイオニーは苦笑いを浮かべながら握り返してくれた。

 

「ありがとう、ディア。でも、泣いてる女の子にトリックオアトリート以外の言葉はなかったの?おかげで、泣いていたことも忘れちゃったわ」

 

「っう…それは、悪いと思ってる。でも、顔を見て話した方が気持ちが伝わると思ってさ」

 

そんな事を話しながら歩き出そうとした時、入口から大きな獣の声が聞こえ、直後に巨大なトロールが入ってきた。

 

悪臭に眉をひそめるハーマイオニーを入り口とは反対側に押しやり、杖を持って身構えた。

 

トロールと鉢合わせする前に出れば良いと思っていたが遅かったか。確かこの後、ハリーとロンが来るはず。それまで一人で持ちこたえられるのか。だけど、俺はやるしかない。

 

「ッキャーー!!」

 

後ろで甲高い悲鳴が聞こえた。ハーマイオニーの悲鳴にゆっくりと振り返ったトロールは、棍棒を振り上げてこちらに向かってきた。

 

「一か八か、ステューピファイ!!」

 

トロールに失神呪文が効くのかわからなかったが、少しでもトロールの足止めをしたかった。そしてそれは成功したようだ。トロールは少しよろめいただけだったが、それでもう十分だった。

 

「こっちに引きつけろ!」

 

扉が開きハリーとロンが女子トイレに入ってきた。二人は突入するなり自分たちにトロールを引きつけようとしていた。ロンが金属パイプを投げつけ、それがトロールの頭にあたった。トロールはロンの方に鼻面を向けた。

 

「早く、走れ!走るんだ!」

 

ハリーが俺達に向かって叫んだ。しかし、ハーマイオニーは恐怖で動けず、俺の服を掴んできた。

そしてついに、トロールは唸り声をあげてロンに向かっていった。その時ハリーが走り出しトロールの首根っこに腕を巻きつけた。ハリーが飛びついた時、杖は持ったままだった為、杖はトロールの鼻の穴を突き上げた。トロールは痛みに唸り声をあげ棍棒を振り回していたが、ハリーは必死にしがみついていた。俺はその様子をハーマイオニーを背に隠し見ているしかなかった。

 

「ウィンガーディアム レヴィオーサ!」

 

ロンが杖を振ると棍棒が空中を高く高く上がった。棍棒はゆっくり一回転してから、ボクッという嫌な音を立ててトロールの頭の上に落ちた。トロールはふらふらと頭を揺らした後、ドサッと音を立ててその場にうつ伏せに伸びた。

 

「これ…死んだの?」

 

「いや、ノックアウトされただけだと思う」

 

急にバタンと音がしてバタバタと足音が聞こえた。まもなくマクゴナガル先生が飛び込んできて、そのすぐ後にスネイプ先生、最後にクィレルが入ってきた。

 

「一体全体あなた方はどういうつもりなんですか」

 

マクゴナガル先生の声は冷静だが怒りに満ちて聞こえた。

 

「マクゴナガル先生、三人とも私を探しに来たんです。私一人でやっつけられると思いました…」

 

ハーマイオニーが嘘をついた。本当は俺が代わりにこれを言おうかと思っていたが、ハーマイオニーに先を越されてしまった。それならば俺がとる行動は一つだ。

 

「マクゴナガル先生。彼女のせいではありません」

 

「どういうことですか。ミスター・エバレン?」

 

本当の事に少しの嘘を交えれば、嘘も真実性が増す。俺達は何も悪いことをしたわけじゃないのだから、ハーマイオニーだけが減点されるなんて真っ平御免だ。

 

「彼女はずっとこのトイレにいて、トロールが来たことを知らなかったんです。それで心配になって、私達三人は彼女を探してここにたどり着きました。その後、先生を呼びに行く暇なんて、私達にはありませんでした」

 

「そうですか…。助けに来たのだとしても、とても愚かな行いでした。もっとよく考えて行動してもらいたいものです!」

 

俺達は何とか許してもらえたらしい。

 

「無事だったのは運が良かったからです。一年生で野生のトロールを相手にして生きて戻れるのはそういないでしょう…よって5点ずつ、三人に与えることにします」

 

「ありがとうございます、マクゴナガル先生。」

 

「その幸運に対してです!」

 

その後、俺達はやっと帰ることを許された。俺は皆の一番後ろに付いて、先生達の横を通り過ぎトイレを出ようとした。その時、俺は視線を感じた。先生達がこちらを見ているのかと思い、後ろを振り向いたが、先生達は誰一人こちらを向いている人はいなかった。考えられる視線はあと一つだが、俺はその考えを捨てて気のせいだったのだと思い込むことにした。

 

 




今回の話で更新ストックが切れました^^;


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