とりま書きたいところだけ書きました。
既に転生要素も勘違い要素も息してないけど気にしない。
「よっ、遊びに来たぜ」
「……暇なのか?」
──つくづく、奇妙な女だと思う。
山で出会ったあの日から、その印象はついぞ変わらなかった。
鬼の巣窟と化していた霧深い山で1人生きていた少女。
自分以外の人間に初めて会った、と笑う奴に鬼への恐怖が無いことが、逆に恐ろしいと感じたのを覚えている。
鬼の群れにも臆さぬ胆力、弱肉強食の世界で研ぎ澄まされた判断力と身のこなし。
そして何より、
水面を歩く、負傷を回復する──
まるで鬼を滅するために降りてきた神のようだ、と、幼心に馬鹿げたことを考えた時分もあったか。
物見遊山のように藤襲山を踏破し、正式な鬼殺隊員となってからの、産屋敷家の必死の囲い込みが、その妄想を後押ししていたとも言える。
……もっとも、目の前で自分が持ってきた土産の団子を頬張る奴に、そんな覇気は微塵もないわけだが。
「それでさ、結局今回の嘆願書も笑顔で返されたわけよ。若様ったら頑固よね」
「もう若様ではない。御館様と呼べ」
「私らからすればずっと若様だろ。童の頃から知ってるんだしさ。立派になってお姉さん嬉しいやら寂しいやら」
「……もう
「見た目に見合った振る舞いをしてるだけだよ。若い奴が辛気臭い顔してたら上がる士気も上がらんしな。何だ?左近次、いつまでも若い私に嫉妬でもしたか?」
「下らん」
ケラケラと笑うその顔に、自分のように細かく刻まれた皺はない。
老いないのもこの呼吸の効果だ、と20年ほど前に言われたが、ここまで来ると化生の類に近い気がする。
「それで、その嘆願書というのは、また
「おうともさ。何回出しても突っ返される。40年だぜ?若様一族も頑固なもんだ」
「……鬼舞辻にもまだまだ手が届かない現状だ。お前を
「いやいや、わからんよ。海の向こうには鬼以上の怪物がいるかもしれないし、それを打倒しうる方法があるかもしれない。それを持ち込めたら戦局は大きく変わるはずだ」
「そんな憶測で
「……その呼び方、嫌いだって言ってるだろ」
まただ。
根拠の知れない、確信めいたもの言い。
なまじ実力と立場を手に入れたからこそ、後ろ指を指される程度に落ち着いたが、入隊当時はそれはもうひどかった。
命知らずにも
隊員を混乱させるとの理由で謹慎処分を受けてからは丸くなったものの、行動を縛り付けられるように任務続きの日々を送る羽目になったのは、まあ自業自得と言えよう。
お目付け役として自らも厳重注意をされた身故に、この手の話はあまり好かない。
多少強引に、話題を変える。
「ところで、最近の隊の様子はどうだ。炎柱が退いたと聞いたが」
「あー……槇寿郎なあ。見てるこっちが辛くなる憔悴っぷりだったぜ。立派な人だったもんなあ、奥さん。惜しい人を亡くしたよ」
憂いに目を伏せながら、しみじみと語る。
炎柱──煉獄 槇寿郎の凋落は、噂通りであるらしい。
「塞ぎ込む気持ちはわかるが、息子たちにも当たり散らして手に負えん。あのままだとお互いに良くないから、私が預かることにした」
「そうか……む?お前が、か?」
思わぬ報告に、身を乗り出しそうになるのを堪える。
「確か、長男は煉獄自らが鬼狩りにすべく指南していたはずだが……それを継子にするのか?」
「まっさか!
よもや、という期待が外れ、無意識に込められていた肩の力を抜いた。
唇の片端を引き上げる奴から、諦めの匂いが漂う。
「……そうしょぼくれんなって。
「お前の技が使える者が、あと3人──否、1人でもいれば、上弦の鬼どもの頸にも手が届くというのに。ままならんものだな」
「そこまで買ってくれてるとは、ありがたいねえ。ま、せいぜい生きてる内に足掻くさ。
──私の代で、日本の鬼は全て滅殺する。絶対にだ」
強い決意と、焦りの匂い。
一瞬感じたそれは、すぐさま霧散した。
「……あーあ、なんか辛気臭い空気になっちまった。今日はお前の可愛い弟子の様子を見に来ただけだっていうのに」
「やはりそれが目的か……毎度毎度飽きんな」
「飽きんね。後進ってのは皆可愛いもんだ。杏寿郎も義勇も錆兎も、きっと将来いい剣士になるぞぉ。真菰みたいに私を支えてくれるようになるさ。あ、慈悟郎んとこの弟子はちょっと性根がアレだったから一発気合入れてやったけど」
「やはり暇なんだろうお前」
話だけでも既に元炎柱と元鳴柱の所に赴いている。
それぞれそう近い距離にあるわけでもなかろうに。
暇じゃないやい、と頬を膨らませる様子を、面越しに薄い目で見る。
「任務続きの中のちょっとした息抜き、さ。
あの2人、森で鍛錬してるんだろう?ちょっくら行ってくる。その団子、後で3人で食べてくれ」
鈍く光る籠手と脛当てを付け直し、ひらりと身軽な動きで小屋を出ていく姿を見送る。
おそらくは這う這うの体で帰ってくるであろう2人の弟子を思い、今晩は滋養のある夕餉にしようと、支度のために腰を上げた。
なんやかんやで40年経ってしまって焦りを通り越して色々と開き直った。
名前は自分でつけた。格好いいだろ?
日本から出るどころかまず日本内の問題すら解決できずに1部の時期が過ぎ去ってるけど渡航は諦めてない。チベットで本格的に波紋の修行したい。え、駄目?ソンナー。
剣の才能はからきしだったので日輪刀は持ってない。鍛冶師と揉めに揉めに揉めた挙句、同じ材質の手足の防具(兼武器)を作成してもらうことで妥協した。
剣士の才能はない+全集中の呼吸は使えないので色変わりはしない。それ見て担当鍛冶師が地団駄踏んだ。
波紋の呼吸の後継者はいない。
鬼滅世界の人間の身体は全集中の呼吸に適したものであり、似て非なる波紋の呼吸は構造上習得できないため。
そんなことは知る由もない彼女は、半分諦めつつも、いつか適性者が現れた時のために呼吸の体系化、すなわち型を作成している。
十二鬼月は倒しているが、いちいち目なんか確認してないので何番目なのか、そもそも上弦なのか下弦なのかもわかってない。