ジョジョの世界に転生しました。   作:鏡華

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ということで感謝の連続投稿。
またもオリ主不在です。


襲撃・刀鍛冶の里

──半天狗は恐怖していた。

 

 

恐怖と怯えは、半天狗という鬼には常について回る存在だった。

 

いよいよ堪えきれなくなる度に感情を血鬼術で切り離し、本体は影に潜み震えながらその分身に戦いを任せ、殺し続けてきた。

 

無惨に命じられ、玉壺と共に鬼狩りの支援拠点である刀鍛冶の里を襲撃したこの時も、本体を敵前に晒し、敢えてその頸を斬らせた。

 

思惑通りに身体は喜怒哀楽の四体に分裂した。

 

柱の童は可楽が吹き飛ばした。

 

耳飾りをつけた鬼狩りも、鬼の娘も、積怒の雷に打ちのめされている。

 

本体は恐れ慄きながら隠れているうちに、鏖殺はいつの間にか終わっている。

 

いつもの通りに、つつがなく。

 

そう、思っていた。

 

しかし。

 

 

「──波紋の呼吸、」

 

 

もう1人、現れた鬼狩り。

 

不意を突かれて刺された積怒の身体が、()()()()()()()()

 

 

「肆の型・銀鼠!」

 

 

再生はしない。

 

そのもの、()()()()()()()()()──

 

 

「ヒィッ、ぎ、ぎゃあああああ!‼!」

 

 

半天狗は絶叫した。

 

まだ分身が殺し尽くされたわけでも、本体が発見されたわけでもない。

 

それでも、分身越しに得た熱と消滅する感覚、ありえない存在(もの)を目にした恐怖。

 

そして何より、脳裏に響く鬼舞辻 無惨の憤怒に満ちた思念。

 

その全てに追いやられるように、人食いの鬼は脱兎の如く逃げ出した。

 

 

***

 

 

「玄弥!!」

 

禰豆子と俺が鬼の雷を食らい、あわやとどめを刺されるか──というところで、錫杖を持った鬼が、背後から刀に貫かれた。

 

刺された傷から瞬く間に鬼の身体が灰になっていく。

 

その力は、まさに綾鼓さんと同じもの。

 

 

「な──」

 

 

激怒に歪んでいた鬼の顔は驚愕に染まり、次いでさっと青ざめた。

 

何かを叫ぼうと口を大きく開いたが、しかしその頃には喉にまで灰が達していて、鬼は音もなく消え去った。

 

 

「大丈夫か炭治郎! 禰豆子!」

「助かった! ありがとう!」

「よかった……あ、前に言った通り禰豆子はあんまり俺に近づくなよ!危ないからな」

「う!」

 

刀を構えたままこちらを案じる声に心強さを感じながら、未だ電撃に震える筋肉を叱咤し、立ち上がる。

 

一息に四体に分裂した時はどうなるかと思ったが、玄弥がその一角を早速潰してくれた。

 

しかもその呼吸は太陽の力だ。上弦の陸の時と同様に、他の分身体が残っていても、灰と化した身体はそうすぐには再生できない。

 

戦いの序盤でこれは大きい。余力のある状態で玄弥を援護し、残りの3体も確実に撃破すれば──

 

そこで、気づく。

 

俺たちを取り囲んでいたはずの3体が、いない。

 

 

周囲を見渡すより先に、スンと鼻を鳴らす。

 

鬼の匂いが移動した先を辿り──家屋の崩壊した壁の向こう、軒先へと身を乗り出す。

 

下を覗き込もうとした時、それよりも先に、巨大な何かが眼下からせり上がってきた!

 

 

とっさに顎を引き、一歩下がる。

 

月明りを遮るように俺たちを見下ろすのは、木でできた五つ頭の竜だった。

 

 

「な──」

「炭治郎! ()()()()()()!」

「!!」

 

 

呆気にとられるのも束の間、玄弥の言葉に匂いを辿ると、竜の首の集まる根本──胴体にあたる位置の大きな株に立つ、小柄な体躯。

 

喜怒哀楽の鬼のどれとも違う、けれどもそのどれよりも強い匂いがする。

 

5体目……!? まだ増えるのか!?

 

 

ドン!

 

 

その鬼が背に負った連鼓を叩くと、呼応するように竜の頭が五つそれぞれに動き出した。

 

口を開いて迫りくる頭を避けようと横に飛ぶと、そこにも口を開いた頭が待ち構えていた。

 

全身を衝撃が包む。

 

「喜」の鬼が発していた音波だ。

 

 

「ガっ……」

 

 

身体が吹き飛ばされ、宙に浮く。

 

 

残った3体が合体した?でもさっきの本体の鬼とは違う?他の鬼は消えたのか?

 

 

背中が地面に打ち付けられるまでの数瞬、沸き上がる疑問に解を得ようと、咄嗟に周辺の匂いを探る。

 

かすかな違和感が鼻をかすめた。

 

喜怒哀楽の4体に分裂した時に感じた違和感と同じ──6体目の匂いだ!

 

6体目がいるんだ!姿を潜めて隠れている!そいつの頸がきっと──

 

 

「炭治郎!!」

 

 

玄弥の声と共に、ぐんっと身体が引っ張り上げられる感覚。

 

気づけば俺は禰豆子の腕に抱えられて跳んでいた。

 

さっきまで俺がいた場所に2頭の竜が重なり合うように突っ込んで、床板が粉みじんに砕かれている。

 

食い千切られた禰豆子の脚が、ぎゅるりと再生した。

 

 

「こっの……!波紋の呼吸──伍の型・萌葱!!」

 

 

咄嗟に刀を口に咥えた玄弥が、空いた両の手をそれぞれの竜の頭に添える。

 

竜の双頭は途端に身を強張らせて灰と化すが、それを押し返すように即座に新しい頭が生えてくする。

 

攻撃の密度と頻度が高い!このままじゃジリ貧だ!

 

 

「玄弥ー!6体目だ、6体目がいる!隠れて逃げてる!探して頸を斬るんだ!」

「あぁ!?まだいんのかよ!?」

 

 

次々に迫る5つの頭を掻い潜りながら、怒号に近い叫びで会話する。

 

 

「きっとそいつが本体だ!そいつを斬らないと終わらない!」

「なるほどなァ!クソが、こいつに鬼殺隊がやられてきた図が見えてきたぜ!」

 

 

「──やかましいわ、小童どもが」

 

 

子供のような鬼が口を開くと、途端に空気が重くのしかかる。

 

 

ドドン!

 

 

連鼓の重なる音に呼応して、五つの頭がここぞとばかりに強大な一撃を放つ!

 

音波が、雷撃が、牙が、暴風が、刺突が、一斉に襲い来る。

 

 

 

「避けろーーーー!!!」

 

 

 

どちらからともなく叫び、互いが互いを突き飛ばし合うようにもつれて、3人まとめて軒下へ転がり落ちる。

 

木々の枝葉で体中に擦り傷を作りながら地面に落ちた時には、俺たちのいた部屋は凄まじい音と共に跡形もなく消滅していた。

 

 

「い、生きてる……?」

「なんとかな!おい炭治郎、お前と禰豆子が6体目の鬼を探せ!ここは俺がなんとかする!」

 

 

おぼつかない足で立ち上がると、玄弥が懐から小さい巾着袋を取り出すのが見えた。

 

そのまま頭上の鬼に目掛けて投げつけると、一瞥もなく叩き落とされる。

 

衝撃で破けた袋から何か小さいものが溢れ、地面に蒔かれた。

 

この匂いは……。

 

 

「……なんだ、藤の種?くだらん。いくら藤の花が儂ら鬼に毒だからと、こんなもの──」

 

 

鬼は興味もなさげに吐き捨てると、すぐさま攻撃の動作に移る。

 

 

「玄弥!1人では無茶だ!俺と禰豆子も、」

「いいから、黙って見てろ!」

 

 

焦る俺を尻目に、玄弥は刀を振り上げ──鬼ではなく、足元の地面に突き刺した。

 

 

「波紋の呼吸、漆の型──瑠璃!」

 

 

その刀を中心に、地面に光が広がり、消える。

 

遊郭で綾鼓さんが見せた技だ。

 

けれど、次の瞬間の光景は、予想だにしなかった。

 

 

「な──に?」

 

 

鬼が困惑の声を上げる。

 

地面から生えてきた何か──蔦が、見る間に竜の首を駆け上り、覆い隠していく。

 

そこだけ1秒でひと月が経過しているかのように、蔦は急速に成長して、竜の首をがんじがらめに縛りつけた。

 

そして、その先からは蕾が膨らみ、薄紫の花弁が開く。

 

──満開の藤の花!季節でもないのに!

 

 

「馬鹿な──」

 

 

蔦に拘束され、藤の花の毒に侵され、竜の動きが明らかに鈍くなる。

 

流石の鬼も想定外だったのか、目を見開き即座には対応しきれていない。

 

 

「すごい……」

「呆けてないで、早く行け!この状況なら俺の生命探知よりもお前の鼻の方が役に立つ!」

「……!わかった!ありがとう玄弥!」

 

 

玄弥に背を向け、禰豆子を連れて駆け出す。

 

早く、早く!玄弥が時間を稼いでくれている間に、本体を見つけないと!

 

 

 

「行かせるものか──この、極悪人がァ!!」

 

 

 

鬼が咆える。

 

その口から音波が、こちらに向けて。

 

 

「……!!」

 

 

竜だけじゃなく、本体も技を出せるのか!?

 

まずい、回避が、間に合わ──

 

 

 

鋭く、疾く、空を切り裂く音がした。

 

 

 

「恋の呼吸、参の型・恋猫しぐれ!!」

 

 

 

「かっ……甘露寺さん!?」

 

 

俺と禰豆子に迫っていた攻撃は、届く前に斬り裂かれた。

 

 

「大丈夫!?ごめんね遅れちゃって!!……って、なあにアレすごいお化け!!」

 

 

俺たちを守ってくれた恋柱の甘露寺さんは、笑顔を見せたのもそこそこに、子供の鬼と竜に向き直る。

 

 

「甘露寺さん、こいつは本体じゃない!炭治郎が本体の鬼を探すから、それまでこいつを俺と一緒に食い止めてください!」

「えっそうなの!?わかったわ!」

 

 

玄弥の端的な状況説明に、甘露寺さんもまた瞬時に判断して、会話の合間にも襲い来る攻撃を斬り捨てた。

 

 

「任せて、炭治郎くんも禰豆子ちゃんも玄弥くんも、みんな私が守るからね!」

 

 

そう言って駆け出す甘露寺さんと、正反対に走り出す。

 

本体の鬼の匂いを探りながら。

 

玄弥に、甘露寺さんに託されたものに背中を押されて、悪鬼の頸を斬らんと──夜の森へと駆け出した。




竈門 炭治郎
半天狗が玄弥の存在のために早い段階で逃げに徹してしまい、夜明けまで鬼ごっこを繰り広げた末に撃破。逃げるな卑怯者(迫真)
その過程で禰豆子が太陽を克服した。

不死川 玄弥
炭治郎が頸を斬るまで、甘露寺と共に憎伯天を足止めした。
綾鼓&真菰との訓練のおかげで女性との会話は慣れた。あと戦闘中だとそんなこと言ってらんないな、というのも気づいた。
ちなみに兄の実弥は風柱として多忙のため、一足先に里から帰ってしまっていた。
隠された刀鍛冶の里だしと油断していた矢先のあまりに間の悪い襲撃に、報告を受けた時にはとんでもない顔になっていたとか。

甘露寺 蜜璃
恋に恋する筋力捌倍娘。
力が強いのもよく食べるのも人間の延長線上の話なので、綾鼓という人間辞めてそうな前例のある鬼殺隊では「全然おかしくない。可愛い子だね」くらいのテンションで受け入れられた。そのため全力を出すことへの恐怖心はあまりない。
上弦との戦闘で全霊を賭した命のやり取りを経験し、痣が発現した。

鬼舞辻 無惨
半天狗を通して波紋使い2人目を観測した時はどうしたものかと思ったが、その直後に禰豆子が太陽を克服したことで割とどうでも良くなった。
あの娘を喰って太陽を克服できれば奴らが何人いようと何の脅威にもならん。
貴様らの最期も近いぞ産屋敷。
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