ダンジョンに傭兵上がりの先生がいるのは間違っているだろうか?   作:デキンハンザー

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第五章 霧中の影

新たな剣セイロスを手にいれたベレトは、ダンジョンの第七階層に来ていた。

ここにはキラーアントという瀕死時に、フェロモンを出し、仲間を呼ぶという習性を持つ蟻型モンスターが出てくるということをギルドの受付嬢に聞いたので、わざとキラーアントを瀕死にし、セイロスの切れ味とフォドラにいた時との魔法の違いを確かめる為に来ていた。

しばらくダンジョンを探索すると、広い空間に出てきた。そしてその中心には、五体のキラーアントがいた。

その姿を確認したベレトは、キラーアントに右腰の鞘からセイロスを抜きながら歩いて近づいた。

セイロスをベレトが抜いた時、一体のキラーアントもベレトに気づき、大顎をガチガチ鳴らしながらベレトに突進してきた。

ベレトは、その突進を右に一歩、上体を反らしすれ違いざまにキラーアントにセイロスに切りつけた。鉄の甲殻を持っている筈のキラーアントは、豆腐のように横半分に別れ一瞬に灰になり、魔石を落とした。

仲間の一体が一瞬で消えたことを認識した残りのキラーアントは、散開して他方向からベレトに突進を仕掛けた。ベレトは、そのうちの一体に左手を向け

 

「【天上より見守りし主よ、我に勇気と安らぎを】…【リザイア】」

 

するとベレトの左手の先に金色の魔方陣が浮かび上がり、左手を向けていたキラーアントの足元が白く輝き、白い光の帯がキラーアントを包み一瞬強く発光したと思えばキラーアントの複眼から光が失われ、ズザァァと転がり、糸が切れた人形のように動かなくなった。

 

その間にベレトに近づいた三体のキラーアントは、同時にベレトに飛びかかっていた。それに気づいたベレトは、前に前転し三体の飛びかかりを回避し、体制を建て直し、三体に左手を向け

 

「【天上より見守りし主よ、我に浄化されし光で敵を討つ力を】…【オーラ】」

 

すると左手の先に先ほど唱えたリザイアよりも複雑になった金色の魔方陣が浮かび上がり、三体のキラーアントの足元から太い光の柱が昇りキラーアントは、一瞬で魔石と共に消え去った。

 

『………なにしとるんじゃ!!おぬしは!!』

 

いきなりソティスが怒鳴るので理由を聞くと

 

『キラーアントを全部殺してどうする!!瀕死にして仲間を呼ばせるのではなかったのか!!!』

 

あ……とソティスに言われてそういえばと思い出したベレトに、はあ…とため息をソティスは吐き

 

『…全く……昔から知っとたがなんでおぬしは、こう…ぬけておるんじゃ……』

 

すまないとソティスに謝っていると奥の通路から聞き覚えがある声が聞こえてきた。

 

「あれ?ベレトさんじゃないですか!どうしたんですか?ダンジョンは明日から潜るって言ってたじゃないですか?」

 

声が聞こえた方に目を向けると驚いた表情をしたベルとその隣には、自分の背丈より一回り以上の大きいバックパックを背負った小さな女の子がいた。

ベレトは、セイロスを右腰の鞘に納めながらベルに近づき自分がここに来た理由を話し、こっちの女の子は?とベルに聞くとベルより早く女の子が答えた

 

「はじめまして!リリルカ・アーデと言います!リリとお呼びください!」

 

ベレト・アイスナーだ、よろしくと挨拶をすると

 

「ベレト様ですね!よろしくお願いします!」

 

ベレトはリリに様は、やめてくれと頼んだがリリはサポーターのポリシーに反するとかなんとかで頑なに拒否されたので諦め、ベレトはベルに今日はもう上がりか?と聞くと

 

「はい!もう充分魔石は、取りましたし…ッイテテ」

 

と右脚を押さえたので、どうした?どこか怪我でもしたか?とベルに聞くと

 

「はい…ちょっと油断しちゃって…」

 

傷を見せてくれとベルに頼み了承を得てから、右のふくらはぎを見ると決して浅くない傷がついていた。

ベレトはその傷を見て、ベルに動くなと伝え、はいと返事を確認したあと、傷に右手を向け

 

「【天上より見守りし主よ、我に癒しと安らぎを与える力を】…リカバー」

するとベルのふくらはぎに緑色の優しい光が包み込み、一瞬強く光ったと思ったら、傷が元からなかったかのように治っていた。

 

「……すごいです!ベレト様!即効性の回復魔法だなんて!」

 

そうなのか?とリリに聞くと

 

「そうですよ!回復魔法でさえ珍しいのに即効性の回復魔法を使える人なんて数える程しかいないんですよ!」

 

そうなんだ、とリリの説明を聞き、ベルに脚に異常がないかと聞くと

 

「はい!大丈夫です!ありがとうございました!…でベレトさんはどうするんですか?」

 

まだモンスターをそんなに切ってないからあと一時間はここら辺で切る予定だとベルに伝えると

 

「わかりました!じゃあ先に帰ってますね!リリ!行こう!」

 

「はい!ベル様!ではベレト様!失礼しますね!」

 

と言ってベルとリリは、ダンジョンの上層に向かう道に向かっていった。その後ろ姿を見送るベレトにソティスが話しかける。

 

『…のう…ベレトよ…あのリリルカとかいう小娘をどう思う?』

 

何か隠していることがある……と思う…とソティスにに伝えるとソティスは、

 

『やはり、おぬしもそう思うか…あの小娘には警戒して損は、ないじゃろう。…さて!ベレトよ!先に進もうではないか!』

 

話を切り替えて来たソティスにあぁと答えながらベレトはベルとは反対方向に、ダンジョンの奥に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあとベレトは、モンスターをセイロスで切り捨てながらダンジョンの10階層まできていた。10階層は、今までの階層の洞窟とは違い、枯れた木々に深い霧に包まれてた場所だった。

 

『ほう?ダンジョンとはずっと洞窟ばかりが続いていると思っておったが……このような場所もあるのじゃな…』

 

かなり深い霧だから注意して行動しようと思い、10階層に足を踏み入れた…瞬間だった

 

急に殺気を感じ、その場から前に飛び退いた。

すると紫色の魔力の塊がベレトがさっきいた場所を抉り炸裂した。

ベレトは、体制を建て直し、セイロスをいつもの剣を肩に担ぐように構え周囲を警戒する。

 

『気を付けよ!ベレト!さっきの魔力はおぬしを簡単に傷つけるものだった!』

 

わかっているとソティスに答える。すると

 

「…フフ、流石は、フォドラの夜明けと言わしめた男よ…完全に不意を突けたと思ったのだかな……」

 

!!なぜ自分の異名を知っている! 誰だ…姿を見せろ声の人物にと言った

すると霧の奥から人影が出てきてこちらに近づいてくる。

「…ほう…少なからずお前とは、因縁があったと思っていたが…こう言えばわかるかな…?凶星(・・)よ…」

 

それは…!まさか…!とベレトは、思う。そして、その人影の姿が見えた。

 

黒く金色のラインが入った鎧に、紫かがった血色が悪い肌、そして常に目は、白目を向いて黒目を確認できない

 

「久方ぶり……と言えばいいかな…ベレトよ……!」

 

闇に蠢く者の頭目 タレスがベレトの前に立った

 

 

 

 

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