声と境界線   作:うめもち

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第3話 悪魔と中立と苛立ちと

現在俺、夜神唯斗は現在苛立ちの頂点に達していた。

なぜかと問われれば答えはただ一つ。

 

「さぁさぁ!

女子生徒と一緒に登校などという唯斗には天地がひっくり返ってもありえないと思っていたことを体験した感想をどうぞ!!」

 

名前は北帝総悟(きたみかど)

甘いマスクと見た目に反しない爽やかさから校内には多くのファンがいるらしいが、本性を知っている側からしたら一刻も早く目を覚まさせてやりたい。

今朝登校途中にでくわした女子生徒を助け、空間移動を使って学校に来たのが運の尽き。

遅刻ギリギリだったため、教室に飛べば呆気なく捕まってしまったのである。

時間を巻き戻せるならば数分前の俺をぶん殴ってやりたいところだが、そうした所で遅刻をするのがオチだ。

長い付き合いのせいでコイツは俺の弱みを掴むのが上手くなってきている。

 

まさに天性の悪魔。ドS王子。

もうダメだ。

 

「コラコラ総悟。

あまりからからかわないの。

唯斗の周りバチバチ言ってるからね?」

 

どうやって目の前の悪魔を追い払おうか頭を悩ませていると、まさに仏かなにかか。

長い青髪を一纏めにしたロン毛こと黒井奏(くろいかなで)が仲裁に入った。

 

「百歩譲ってロン毛なのはいいとするよ。

うん。もうこの際それツッコんだら負けだと思うし。でもその紹介はどうかと思うな俺!!」

 

「あー、そーだなー」

 

「雑!!」

 

半泣きの奏の抗議を聞き流し、総悟の茶々を完全にシャットアウトしながら取り出したスマホでニュースを確認していく。

我ながらこういった所だけはやたと器用になってしまっているのはどうかと思うのだが、もはやそんな事考えるだけ無駄だ。

現に毎回毎回懲りることなく俺をからかい続ける悪魔がいるのだ。相手にしていたらそれこそストレスかなにかで胃に穴が空いて死ぬ事になるだろう。

そんな死に方は真っ平御免だ。

妖に喰われた方がよっぽどマシである。

が。そんな俺の努力も次に発せられた総悟の言葉で水の泡になることとなった。

 

「そう言えばこのクラスに転校生来るって知ってた?」

 

「は?」

 

「え、そうなの?」

 

ちょっと待てどこで知ったその情報。

確かに朝であった少女はうちの学校の制服を着ていた。顔も見慣れないし転校生なのは直ぐにわかった。そこはいいのだ。

転校なんて他所が口出しすることではないし、構わないのだ。

だが、重要なのはそこではない。

さっき総悟はなんて言った?

 

─そう言えばこのクラスに(・・・・・・)転校生来るって知ってた?

 

「…………」

 

「あれ、唯斗?どうしたの一点集中なんかして」

 

俺の異変に気づいた奏が何か言ってくるがそれどころではない。

転校生がさっきの女子なら俺を見て反応するのは確実。それを見た周りの反応は?

当然興味や嫉妬の餌食になるに決まってる。

総悟1人でも厄介だと言うのにこんなのがさらに増えるというのだろうか。

 

「…勘弁してくれぇ」

 

「どうしたんだ、コレ」

 

「さぁ?」

 

数分後起こるであろう悲劇に真面目に座ってる気力すら失せ、だらしなく机に突っ伏する。

頭上で繰り広げられる総悟と奏のやり取りに返すことも出来ず、俺の口からはただただ情けない声が漏れただけだった。

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