ウォズ(と鳴滝)のRoad to vassal!   作:すごい時代、現代。

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銀英伝とかじゃないよ。


新銀河帝国の魔王

――――宇宙は星の海とも称される。

 普段我々が生息する地球の外側には、広大な宇宙空間が広がっている。単純に大きさだけで判断するならば、むしろ広大な宇宙空間のたまたま一部分に地球が存在しているといった方が正しく、その膨大な未探査領域は謎と神秘に満ちている。平成仮面ライダーの歴史においては、カブトやフォーゼとの関連が有名だろう。仮面ライダーウォズの最終形態「ギンガファイナリー」及び、その元となった仮面ライダーギンガの力も宇宙からもたらされたものだ。

 一方で本来惑星上の環境に適応した生物は、宇宙空間で活動・生存するのが非常に困難である。詳しく調べればきりが無いが、こと地球の生物においては大気の存在が挙げられるだろう。宇宙線を遮断し、酸素と熱をやりとりする重要な存在は、宇宙においてその代用を余儀なくされる。宇宙服とマルチツールを兼用し、宇宙から供給されるエネルギーで稼働するフォーゼは高機能だが貴重品でもある。やはり、生身で宇宙に飛び出せるようなことがあれば、宇宙開発も一気に進むのだろうか。

 そんなことを、私は思い浮かべた気がする。

 

//////////

 

宇宙船の窓から星々を眺めながら、私はしばし回想にふけっていた。

 

――――異世界との常識の違いがまさかここまでとは

 

 まず最初に訪れたのはキノコ王国。キノコを国の名前に掲げるこの国は、国の特産品や成り立ちの逸話にキノコが関わっているわけでは無く、住民がキノコっぽい国だった。他にも二足歩行するカメやモグラが存在し、魔法も一般に存在する技術として認知されている。個人的には、あちらこちらに存在する土管を利用した通路が目にとまった。暗いところが特別好きと言うようには見えないが何故だろうか。

 鳴滝氏の手により私の姿に違和感を抱かないための細工が施されているらしく、すんなりと溶け込むことが出来た。

 町の中心部の巨大なクレーターを横目に、魔王についての調査を開始した私は、紆余曲折の後宇宙船に乗っていた。

 

「つきましたよ、ウォズさん」

「ありがとう、隊長君」

 

 声をかけられた方に向き直ると、そこには見慣れた……見慣れてしまったキノコヘッドの人物、隊長がいた。相変わらずの二頭身だが、ヘッドライトとリュックサックを身につけた彼は、言われてみれば隊長のようにも見えなくも無い。

 

「でも良いんですか?こんな何も無いところで。僕らは気にしませんが、あのクッパ大魔王の勢力圏にも近いですよ?」

「ああ、ここで構わない。実は待ち合わせをしていてね。場所はここで合っているはずだ」

 

 そう言いながら、宇宙船の外に踏み出す。

 

 生身で。

 

 しかし、死ぬことは無い。この世界の人間(?)には、どうやら生身で宇宙空間で活動出来る者がいたり、それを可能にする魔法が一般に知られていた。全く、とんでもないところに来てしまったものだ。

 

 彼らの宇宙船が飛び立った後、待つことしばし。不意に感じた気配に背後を振り返ると、ローブを纏いメガネをかけ、二足歩行しそうなカメがほうきにまたがって浮かんでいた。

 

「お前がウォズで間違いないか?」

「いかにも」

「大魔王様がお待ちだ。ついてこい」

 

//////////

 

 この世界に存在する「クッパ大魔王」の話を聞いた私は、何とか末端に接触し、謁見を申し入れた。

 正直、成功率は低いとみていたが、返答はまさかの許可。そのため、たまたま帰還していた宇宙船を探し、使者と接触する運びとなった。そしていま。

 

「ほう、貴様がウォズとやらか」

 

 私は、圧倒的な威圧感を放つカメ族の大魔王の前で頭を垂れていた。

 

「いかにも。私は魔王にして時の王者、オーマジオウに仕えるウォズ」

「時の王者か、このワシの前で大きくでたな!」

 

 そう言ってガハハと笑う王は、正しく私の思い描く王の形の一つであった。

 

「まあいい。それで、その時の王者のしもべとやらがワガハイになんのようだ?」

 

 そう言ってジリとこちらを睨みつけてくる。

 

「実は、クッパ大魔王の治世を見せていただきたく参上した次第です」

「ふむ?良いだろう。カメック!案内してやれ!」

 

 意外と寛容なのか、意見が通りやすいのは助かるが。

 

「ありがたき幸せでございます。じっくり拝見させていただきます」

「タダでは無いぞ。まあ、楽しみにしておけ」

 

 カメックにせかされ、玉座の間を辞す。聞かされた話では、これまで謁見を求めてきた者などいなかったので、これまでに無く気分が良いらしい。それにしても何をやらされることやら。

 

//////////

 

「少し、ワシの為に働いてもらうぞ」

 

領内の視察を終えた後そう言われた私は、とある銀河の小さな人工星の上にたたずんでいた。透明なバリアが三重に張られ、星形の射出装置を拘束している。

 

そこに飛来する、一つの影。

 

 

 

「君がマリオ君で間違いないかな?」

<ギンガ アクション!>

眼前に捉えた赤い帽子に青いオーバーオール、小さな黄色の生物らしき者を連れ、口元には立派なひげをたくわえた人物が首肯するのを認め、自らの口上を告げる。

「初めまして、私はウォズ。最低最悪の魔王にして偉大なる時の王者、オーマジオウに仕える者」

<投影!ファイナリータイム!>

満天の星空の下、油断なく構えをとって警戒する目の前で、自らの力を解放させていく。

「今現在は君もよく知るクッパ大魔王のもとを訪問していたのだが、そこで少々頼まれ事をされてしまってね」

<ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー!ファイナリー!>

両者の間に流れていた空気が、一気に張り詰めたものに切り替わる。

「と言うわけで、お相手願おうか。勿論、君がこの先に進むのを諦めると言うなら、その限りではないのだろうが」

 

――――そんなことはあり得ない。

 

 とばかりに初手、一直線に突進してくるマリオに対して、ウォズは警戒しつつもその場で待ち構える。事前に聞き及んだ情報通りなら、今の姿はそこまで突飛な能力を持たないいわばスタンダード型。ならば、こちらも素の力がどこまで通用するのか試しておくべきだろう。

 間合いに入るやいなや、たたき込まれたストレートをピュアパワーのエネルギーを纏わせた手で受け止める。元が配管工だったとはにわかには信じがたい速度だ。その衝撃もなかなかのもので、防御を崩すには至らないものの、十分に踏ん張る必要性を感じさせるものだった。

 

――――やはり、私の力が弱体化しているのか?

 

 予想よりも強い手応えに以前からの疑いをより深める。入れ替えるように放たれたもう片方の拳を受け止めつつ、今度はそのままエネルギーによる拘束を試みる。体勢を戻そうとしたマリオの表情に驚きが混じる。そのままさらに体勢を崩そうとしたところで、

 突然、マリオが猛烈な横回転を行い、なんとエネルギーによる拘束が振り払われた。そのまま一歩踏み込んできた事による攻撃をとっさに再度ピュアパワーで受け止める。

 回転するマリオによりすぐさまエネルギーの防御は剥ぎ取られてしまうが、即座にエネルギーの再収束を行いつつ、攻撃を受け流すことに特化させることで防御を抜かれることは避けた。

 これだけの攻め手では足りないと感じたか、回転が終わると同時に一旦距離をとろうとするマリオ。目前にいる相手を逃すわけ無いと再び拘束を試みる。が、新たに迫ってきた弾丸にそれは阻まれる。

 こちらの死角から放たれた弾丸……スターピースが私に直撃し、ひるんだ隙に背面跳びからのドロップキックを食らう。

 吹き飛ばされ、叩きつけられた先ははバリアの発生装置。小さな爆発音とともに光を放ちだしたそれを見て、彼はすぐさま退避していく。私が建て直して防御態勢を取ると同時に、装置ごとバリア前面が爆散し、一つ下の階層に足場が移る。

 

 

「なるほど。では、これではどうかな?」

<水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかい!>

このままでは面白くないと、属性を切り替える。

<ワクワク!ワクセイ!ギンガワクセイ!>

 

 構えると同時に放たれたスターピースを、エナジープラネットで迎撃する。しばし、星の弾丸が両者の間を飛び交い、色とりどりの爆発が戦場を彩る。

 こちらのフォームも性能が低下しているらしく、エナジープラネットの耐久性と操作性が低下していたが、威力には概ね問題は無い。

 何度かエナジープラネットの補充の隙などを狙ってこちらをすりぬけようとしてきたが、格闘で十二分に対応できている。

 じりじりと戦況を押し込んでいく。スターピースの連射力には負けるが、エナジープラネットの単発火力と同時展開力で圧倒できているため問題ない。最も、迂回させたり打ち合いを抜けて彼に到達したエナジープラネットも、スピンではじかれてしまうため有効だが無いのが現状だが。

 そして、戦況が動く。エナジープラネットがスターピースによって勢いを削がれた所に彼が踏み込み、爆発する前に打ち返してきた!

 こちらも別のエナジープラネットをぶつけて相殺するが、展開されたエナジープラネットは九つ。最後の一つが迎撃しきれずに直撃し、隙をさらしてしまう。

 そこは直掩に入っていたのもありバリアの発生装置付近。再び強打を食らい、装置を破壊されてしまう。足場が崩壊し、最後の層に落ちる。

 

 

「なかなかの実力のようだね。では、これで勝負といこうか」

<灼熱バーニング!激熱ファイティング!ヘイヨー!タイヨウ!ギンガタイヨウ!>

 

 三つ目の姿に変身し、今度はこちらから弾丸を放つ。

 応じるように彼もスターピースを放ち、先程と同じように激突し、エナジープラネットが一方的に打ち勝つ。わずかな拮抗も見せず、一瞬でスターピースを溶かすように消し飛ばした。

 これはまずいと感じたのか、回避行動を取った彼のいた場所に弾丸が着弾し、大爆発を巻き起こす。余波の熱が駆け抜け、バリアも一瞬揺らいだ。威力には気をつけねば。

 星の中心の射出装置のエネルギーが漏れ出しているのか、あちらこちらに水晶の柱が乱立する戦場で、彼に向かって爆撃を続ける。

 時折スターピースの射撃や彼自身が突撃してくるが、火炎放射やマスクからの熱線照射で応戦する。一応有効打は入っているはずだが、見た目に変化は無い。これも魔法のなせる技だろうか?

 何故か水晶の柱が復活し続ける戦場で、ともにスピンや弾丸で柱を壊しながら戦闘を続ける中、再び彼が接近してくる。

 スターピースを火炎で焼失させ、やや後退した彼に熱線を放つ。バック宙で避けた彼に本命の弾丸を放とうとして、

 耳障りな音とともに、外れたはずの熱線が私に直撃した。

 ぐらつく視界の中、センサーが水晶によって熱線の軌道が変わったことを突き止める。すぐさま放たれたスマッシュにて、私はバリアの発生装置に激突させられ、決着はついた。

 

//////////

 

――――あれほどの宿敵がいるとは、クッパ大魔王も成長途中と言うことなのかもしれない。

 

 あの後、上手く脱出した私はクッパ大魔王に感謝を捧げ、その星を離れていた。

 元々頼まれた要件は足止め。大魔王は貴様ごときにマリオが倒せるはずが無いと言い、拠点の破壊を怒りもしなかった。いつかお前の魔王にも会わせろと言われたが、そんな機会は訪れるのだろうか。

さて、情報によるとそろそろのはず。さすがにまだ情報は出回っていないはずだが……

 

「あれ、ウォズさん!ご無事でしたか!」

「やあ、隊長君。この通り、五体満足で用事も片づいたよ。帰りもご一緒して構わないかな?」

「勿論です!こちらへどうぞ!」

 

探索を終え、帰還途中の彼らの宇宙船に同乗して、私は宇宙を後にした。




一旦終わり。(ネタ切れ)
よほど良いネタとノリがあれば続くかも知れませんが、基本的には他の人の書いたの見てみたいなーのまま放置する予定です。

ウォズさんカルチャーショックなところが結構書いてて楽しかった。
「youtube クッパ 悪事」で検索してみて。

(最終回感想)
ウォズさんが映画ムーブをクリティカルにやればそれだけでオーマジオウになるんじゃ無いかな。(暴論)

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