ポケデレ〜不思議な生物とシンデレラガールズの日常〜   作:葉隠 紅葉

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タイプ改定

 ジタバタともがく少女がいた。年齢は14歳前後といった所だろうか。妙齢の美女、というよりは花のように愛らしい少女という言葉がふさわしいだろう。頭にお団子をまいた茶色い髪をもつ少女、棟方愛海は事務所の廊下でジタバタと手足を動かしていた。

 

 そんな彼女の胴体を掴む一人の男性。まるで米俵でも抱えるようにして、彼女を逃さないように掴む彼は彼女のプロデューサーであった。どうやら説教の最中に逃げ出してしまったようだ。眉を潜めて説教を再開する男性に対して愛海はつぶらな瞳で疑問をなげかけた。

 

「どうしてお胸を求めてはいけないの?求める事が罪ならどうして人は生まれてきたのかな」

 

 その言葉にハッと息を飲んで驚嘆するプロデューサー。彼女、棟方愛海の視線はまっすぐであった。キラキラと純粋で邪気のない綺麗な瞳。プロデューサーは企画書を握りしめたまま呆然と立ち尽くしてしまった。

 

 愛海はきっと誰よりも純粋なのだろう。彼女はそのまま自身の上司である男性プロデューサーを射抜くような視線で見つめーー

 

「おいこら」

 

「いった!?アイドルの頭を叩かないでよ!」

 

「叩かれるような事をする方が悪いだろ」

 

 叩かれた。ポカリと小気味の良い音が事務所の廊下に響き渡る。うごごとアイドルらしからぬ声をだしながら床にうずくまる愛海に対して30台後半である男性プロデューサーはため息をついた。

 

「あれほど共演者の胸を揉むのはやめろと言っただろ」

 

「も、揉んでないよ?」

 

「俺の目を見て言え」

 

「ただマッサージしてあげただけだよ!」

 

「それを揉むというんだ」

 

 言い訳を重ねる愛海に対してプロデューサーは呆れ顔で返した。そうして愛海の手を引き事務所の裏スペースへと連れ込む。あまり表立って声をあらげるところを誰かに見られるのはよくないだろう、との男性プロデューサーの配慮であったのだが14歳である愛海は気がつかない。

 

 まるで散歩を嫌がる柴犬のような顔をしながら引っ張られるアイドルの姿がそこにはあった。彼女はなされるがままに彼に連れて行かれる。

 

「よりにもよって765プロの三浦さんの胸を…あのときは心臓が止まるかと思ったぞ」

 

「うっ…それは本当にごめんなさい…」

 

 思わず謝罪をする愛海。どうやら本当に反省をしているようだ。彼女はうな垂れるようにして下を向いた。指を力なくわきわきと動かしながら彼女は反省の言葉を述べた。

 

「グラマラスなお山が…母性が私を惑わせたんだ…」

 

「ぼ、母性か…」

 

「うん…すごかったよ…母性…」

 

 手をわきわきとさせながらうなだれる愛海。彼女自身、反省をしていたのだ。三浦あずさ自身も笑って許してくれたとは言え理性を保てなかった己の甘さがなによりも許せなかったのだ。

 

 登頂はお互いの同意あってこそ

 

 そんな信条を持つ愛海にとってはその出来事は明確な失敗であったのだ。否、恐るべきはこのハンター自身をも狂わせる魔性の乳をもった三浦あずさという存在そのものなのかもしれない。愛海はその夢のような過去を振り返る。

 

 彼女の乳を揉んだ感触は今でも思い出せる。ブラウスの谷間から漂う芳醇な香りは、香水とほのかな石鹸の甘みがしていた。己の鼻腔をくすぐる妖艶な香りが脳細胞を破壊していくのを感じてしまう。気がつけば己の手が動いてしまっていた。気がつけば止められなかった。そうして愛海の双腕はあずさのお山へと触れてしまう。それは天国のように甘美な衝撃であった。

 

 それは驚愕の柔質であった。指先を優しく押し返すその弾力は14歳の少女の理性と羞恥心を暴風のように破壊しつくした。ほんのりと固いしこりのようなものを感じる、おそらくはブラジャーであろう。長年の経験と天性の嗅覚から彼女のバストが91のFカップであることを見抜いた愛海はそのまま巨乳の海へと溺れていく。

 

 指の動きが止められない、女性の驚きと嬌声の声もまた彼女の行為を加速度的に推し進めてしまった。何よりも掌に伝わるしっとりとしたお山の感触が彼女を狂わせた。それはまるでマシュマロのように柔らかで暴力的なまでの弾力を兼ね備えていた。

 

あぁ

これこそが

己が生まれてきた意味なのかもしれない

 

 彼女は十四年というあまりにも長いこれまでの苦節の日々を思い返していた。幼稚園の先生の胸を揉み本気で泣かれた日を、欲求を収める対象もおらず泣く泣く父親の雄っぱいをもみしだくしかなかった苦難の時代を。千川ちひろの胸を揉もうとして本気で後悔した時に流した涙の味を。

 

愛海はこの三十秒で宇宙の広大さを悟った

…のかもしれない。

 

 素晴らしいお山の定義とは、バランスであると愛海は常日頃から主張していた。極上の柔質、人肌の温かさ、ほのかの生命の吐息。全てが兼ね備わってこそ最高のお山であると言えるである。成長期のお山も熟成されたお山もそこに違いはないのであってーーー

 

「やめないか」

 

「むぎぃ…い、いはい…」

 

「またトリップしてたぞ…頼むから人前でその顔はやめてくれ」

 

 愛海のほおを軽くつねるプロデューサー。どうやらとてつもない顔をしていたらしい。にへへと笑みをうかべてよだれを垂らすアイドルは確かによくないものなのかもしれない。

 

 いひゃいいひゃいと呟く愛海の頰からそっと手を話す。プロデューサーは彼女にハンカチを渡しながら問いかけた。

 

「愛海、この後説明会があるから第3会議室へこいよ」

 

「え?説明会?」

 

「職員の人が詳しいことを説明してくれるからな。持ち物は筆記用具と手帳な」

 

「なにかあったっけ…というかなんの説明会なの?」

 

「5日ほど前にも言っただろ、タイプ改定があるかもしれないから備えとけって」

 

「タイプ改定…」

 

 可愛らしく小首を傾げて問いかける愛海。本人も無自覚であるのだが愛海のこういった仕草はじつに女性的であった。こういった仕草をもっと押し出していけばきっと女性ファンだってもっと増えるだろうに、そう思わずにはいられないプロデューサーなのであった。

 

 事務所の廊下に設置された長ベンチに腰掛ける愛海に対して資料を手渡しながら彼は答えた。

 

「お前もポケモン飼ってるだろ。ピィのタイプはちゃんと覚えてるか?」

 

「ノーマルでしょ?それがどうしたの」

 

「説明は後な、とりあえず今はそっちに向かいなさい」

 

「えっ、ちょっと…っ?」

 

背中をぐいぐいと押される愛海。プロデューサーの強引な行動に少し動揺しているようであった。そのまま戸惑いつつも目的の場所へと向かうのであった。

 

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