4話も戦闘追加してます
銃声の一件からすぐ、私は井戸にいたというよりも誰かのせいで浮かんでいたエルフの子のすぐ横に座っている。
エルフの集落には最近はまったくいっていない。もちろんこの子のことも知らない。でもどこか彼の面影がある。
あの森は私が初めてエルフ、まともに話ができる人とあった場所。
それから気が向いたらちょっかいを掛けたりふらっと立ち寄ったりしていたがこんなことになってしまうとは思ってもいなかった。
もし私があの時あそこにいたらきっとあんなことにはなっていなかっただろう。
本来、炎龍というものはどうすることも出来ない天災。私も普通ならば手を出すことはない。それに何処かの神だったかと自然の物には極力手を加えないというちょっとした約束事のようなものをしてしまっていた。
ただあの時、燃え盛る森を見たとき分かってしまった。もうあそこには誰もいないと。多分あのエルフの集落の生き残りは本当にこの子だけ…………自然には極力手を加えないとはいったが天災がもし私の行く手を阻むのであればそれは例外のはずよね。
次にあのトカゲが私の前に出てきたときが最後だと思うことね。といっても伝える方法なんてないんだけど。
改めてエルフの子を見てみる。……やっぱりどこか面影があるのよね。ホドリュー・レイ・マルソー、あの集落にいた一人のエルフ。彼はエルフの中でもかなりの弓の名手だった。それに私に一度だったけど矢をかすらせるというかなりの偉業成し遂げた人物。他のエルフは大したことはなかったけど彼は違ったのよね。
もしかしてこの子は……もっと親しくしておけば良かったかしらね。そっと横になっている子の頭を撫でる。
綺麗な金髪に整った顔立ち、エルフの特徴である尖った耳……私がもっと気を配っていれば誰も死なずにすんだのかもしれない。
「ごめんなさいね…何が賢者よ…」
そう声が漏れてしまう。少しだけ涙も出てしまったが誰にも見られていないはず。………やめましょう!湿っぽくなってもしょうがない!……はぁ、といってもやっぱり少しきついわね。
それでもいつまでも気を落としているわけにはいかない。カトーをからかったときを思い出し、気分を変える。
後でまたあそこに行くことにしましょう。その時は一人無理にでもつれていかないといけない奴がいるけど、別にあっちの都合は関係ない。もし拒むならスキマに落として連れていこう。
今は伊丹さんたちを待っていましょう。覚えている限りの想い出を脳内で反芻させながら。
紫が車に戻っていった後、伊丹と倉田は未だに駄弁っていた。
「それにしても隊長、紫さんどっからでも出てきますねぇ…」
「ああ、そうだな。まさか逆になって出てくるなんて…というかあんなことできるもんなんだな、流石異世界」
倉田もウンウンと頷いている。ふと倉田が紫の乗った車の方を見る。そして何かに気がつく。
「隊長、紫さん……泣いてません?」
「なに……あぁ、確かにそうだな」
「俺、平気か聞いてきます!」
倉田が走り出そうとした時伊丹がそれを止める。
「そっとしておいてやろう。こういうのは下手に俺たちみたいなのが入っていっても、変に気を使われるだけだ」
倉田は伊丹の言葉に納得したようでその場にとどまることにしたらしい。それと、今見たことは黙っておくことにした伊丹と倉田だった。