とりあえず自作キャラと原作キャラを絡ませたいだけの自己満小説です
あと初投稿です
きっかけは、中国なんとか市で光る赤子が生まれたことらしい。
それからそういう『特殊な力を持った』子供が増えて、ある時からそれが『個性』と呼ばれるようになる。
しかし人間てのはなんでか力を持つと使いたがる。案の定個性持ちは世界各地で暴れまわったそうだ。
この時期のことは『超常黎明期』と呼ばれている。文字通り世界が混沌に飲まれた時代だ。
そして今、俺がいるこの時代はというと、法が整備され、犯罪率は年々減っている。それもそのはず、現代には警察の他に『ヒーロー』という職業ができている。
ヒーロー。悪を許さぬ正義の味方。
歴史が苦手なので詳しい説明はできないが、黎明期にやりたい放題やってた奴等を見かねて立ち向かった人達がそいつらと戦った。
それを見ていた人々が、立ち向かった彼らのことをそう呼んだそうだ。
それが巡りめぐって今は職業として根付き、犯罪の抑止力となっている。
世界総人口の8割が個性を持っているこの超人社会が成り立っているのは、間違いなくその人達が紡いできた歴史のおかげだ。
でも俺はヒーローを目指していない。理由はただ一つ、命の危険がつきまとうから。
ヒーローの主な活動は、人命救助と犯罪者の制圧。ぶっちゃければ、自ら危険に飛び込むってことだ。人を救けるのは立派だし確かにカッコイイのだが、そこに常に自分の命が関わるのなら俺は断固拒否する。
そんな俺ー畑中大河《はたなかたいが》は名部中学の3年生だ。今日は進路希望調査があり、放課後それをネタに友人との会話に花を咲かせていた。
「なぁ人使、進路はどこにしたんだ?」
「雄英のヒーロー科と普通科」
「おっと?今からもう弱気か?」
「ヒーロー科は実技試験あるからな。内容によっちゃ詰むから保険だよ」
「そんな簡単に詰むか?・・・ロボットとか来たら詰みか」
俺の数少ない友人ー心操人使の個性は『洗脳』。話しかけた人が返事をすると洗脳状態になり、人使の操り人形になるというものだ。相手が人語を理解することが条件なので、無機物と人語を介さない生物には効果がない。
「大河は?」
「雄英の普通科とヒーロー科。ぶっちゃけヒーロー科は記念受験だけどな」
「お前俺以上に実技に向いてないからな。最悪何も出来ないまでありそうだ」
「言うな。自覚はある。まぁヒーロー目指してる訳じゃないから俺は気楽だよ」
「『俺は』って、もしかして遠回しにプレッシャーかけてるか?」
「ジジツヲイッタダケダ」
「・・・ったく」
冗談を交えつつ家路をたどる。家が近いため帰りはほぼ毎日一緒だ。
人使は個性のせいであまり人が寄り付かない。そりゃ洗脳なんてされたくないだろうからな。それでも俺達がこうして話せるようになったのは、単に俺の個性のおかげだ。
「しっかし初めて喋ったときは酷かったよなぁ」
「まだ蒸し返すのかよ。忘れろ」
「あんな強烈なもんを忘れられるわけないだろ」
「・・・俺も一生忘れない自信がある」
俺達の出会いは中学入学に遡る。
同じクラスになった初日。人使が自己紹介で個性のことを明かしたのがきっかけだった。
「俺の個性は洗脳です。俺の言葉に返事をするのが条件です。よろしくお願いします」
こんな話を聞いた後に話しかけるなんて、馬鹿か勇者しかいない。だが俺は、とある好奇心とある種の確信を持って、放課後真っ直ぐに人使の席に向かった。
「心操だっけ?俺のこと洗脳してみてくれ」
空気が固まっている。
当たり前だ。自ら洗脳されに行く既知外がいるのだから。
言われた本人も言葉の意味が飲み込めずに戸惑っていたので、敢えてもう一度言った。
「俺を洗脳してくれ」
固まった空気が割れ、周囲から「何あれ」だの「ホモ?変態?」だの聞こえてくるが気にしない。
やがて、怒気のこもった視線と共に人使が口を開く。
「・・・冷やかしのつもりか?」
「試したかっただけだ」
「お前ふざっ・・・!?」
会話が止まり、人使が驚いたようにこちらを見ている。俺はといえば、予想通りだったことに口角をつり上げる
「やっぱり俺には効かなかったか」
教室が静寂に包まれる。俺は平然としているが、クラスメイト、特に当事者の人使には衝撃の一幕だっただろう。
たが俺はこの時、ようやく状況を飲み込めた人使の発言で、今度は自分が固まることになるとは思ってもいなかった。
「お前・・・・・・化け物か?」
「さすがに化け物って言われるとは思ってなかったからなぁ」
「大河が自分の個性のこと先に言ってればああはならなかっただろ」
「好奇心に勝てなかった。若かったんだよ」
「2年しか経ってねえよ。あの後も大変だったんだからな」
「大変だったよなぁ。そこは反省してる」
あの爆弾発言の直後、俺達の話に興味を持った女生徒に人使が誤って洗脳をかけてしまった。慌てて解除したもののその女生徒が逃げるように去っていき、それを皮切りにクラスメイトが俺達を残して全員帰ってしまった。
ちなみに俺の個性は『不干渉』。他人の個性の影響を受けないというものだ。不慮の個性事故を防げるのでわりと重宝している。
これまで精神に干渉する個性の持ち主に出会わなかったため、確認半分からかい半分で話しかけた覚えがある。
とりあえず人使には説明をして事なきを得たのだが、次の日からが散々だった。人が逃げていくのだ。話しかけても返事をせずにどこかへ行ってしまう為弁明が出来なかった。
件の女生徒への謝罪も出来なかった。放課後2人で謝ろうと意を決して話しかけたところ、女生徒は短い悲鳴をあげながら椅子から転げ落ちたのだ。
周囲からの白い目。沸き上がる罪悪感。結局小さく「ごめん」とだけ言い、逃げるように教室を出る。帰り道、彼女が落ち着くまで謝罪は控えることを決めた。
明くる日も状況は変わらない、どころかむしろ悪化していた。噂が広まったのか、他クラスの生徒にも避けられるようになった。
完全に孤立した俺と人使は頭を抱えたが、会話が成り立たない以上弁明そのものが出来ない。担任ですら俺達を避ける、文字通りの八方塞がりだ。
その日から俺達は、教室の隅で2人だけで話をすることが増えた。少しでも目立たないようにしようという俺の提案を受け、なら隅っこにいたほうがいいと人使が言い、この構図が生まれた。
端から見たらいじめにしか見えないが、原因が俺達にあるのでどうすることも出来ない。
最悪これから3年間これが続くのかと思うと、絶望に心を押し潰されそうになる。唯一の救いは、話相手が心操人使その人だったことだろう。
人使はその個性故に小学校時代からこのような環境に晒されていたようで、「むしろ気兼ねなく話せる相手がいるだけましだよ」と言っていた。
その折れない心に俺が感動し、「親友になろう」と握手を求めたところ、人使は照れくさそうに微笑みながら握手に応じてくれた。お互いに名前で呼び合うことを決めたのもこの時だ。
それから2週間ほど経ったある日の昼休み、いつものように2人で話していると、クラス委員長に選ばれたあの時の女生徒が話しかけてきた。
なんでも数日前から俺達の様子や会話を気にしていたらしく、悪い人じゃないんだと気付き、意を決して話しかけてくれたらしい。
話しかけてくれたことへの感激と謝れていなかった罪悪感が爆発し、俺達はその場で土下座した。勢いがよすぎてちょっと引いてた。
それから3人で話をして、ようやくあの日の誤解を解くことが出来た。最初は恐怖心が前面に表れていた彼女も、次第に生来のものと思われる明るさを取り戻していった。
「そういえば2人は知らないと思うんだけど、今2人の噂すごいことになってるよ」
「ヤバい、聞いたら落ち込むの分かってんのにすげぇ気になる」
「俺は慣れてるからそんなにかな。どんな噂?」
「最初は『畑中は頭がおかしい』っていう噂だけだったんだけど、途中から2人でいることが増えたでしょ?」
委員長の性格を知った今だからこそ、その言葉は俺の心に深く突き刺さった。
「もう心が折れそう」
「大丈夫だから続けていいよ」
「カナシイ。2人でいるようになったのは成り行きというかなんというか」
「『このままじゃ俺は孤独に殺される』って言ってたのはどこの誰だったかな?」
「ボクジャナイヨ」
黒歴史を掘り返すな。普通に話しかけても無視されそうな気がしたんだよ。
「ふふっ。それで、いつも2人でいるから、『あの2人は何かを企んでいる』みたいな話になってって」
「あれ?もしかして俺人使巻き込んだ?」
「巻き込んだな。親友やめようかな」
「俺がそんなに情の薄い男に見えるか?」
「開き直んな。それで?」
「うん。私が聞いたのは『あのクラスは洗脳済み』だとか『そのうち学校が乗っ取られる』とか『あいつらは敵《ヴィラン》だ』とかかな。」
「ハートがブレイクしました」
「真顔じゃ説得力ねえぞ。俺としては想像の域を出なかったな」
仲良くなったからか人使が俺の扱いに慣れてきてるな。嬉しいような悲しいような。
「慣れてるとは言ってたけどすごいね心操くん」
「慣れないうちは抵抗もあったけどな。人間言われ続けると受け入れられるようになるもんだよ」
委員長には誤解を解くついでに人使の過去を話してある。俺から。
デリケートな話のはずなのだが、人使は特に気にしていなかった。親友だからかな。
「人使の心の強さはそこから生まれたのか」
「大河は人のこと言えないだろ。悪いけどあれに耐えられる人見たのお前が初めてだからな」
「ってことは、前にもそういう人はいたの?」
「ああ。俺と親しくするやつは大概同じ目に会って離れてったよ。あんな自己紹介したのも、そういうのを見るのが嫌だったからだしな」
クラスメイトを気遣い、自分から遠ざけるための自己紹介。さすがは俺の親友だぜ!
「あれってそういうことだったんだ・・・」
「なるほどなぁ。・・・ん?その理屈でいうと俺は普通じゃないのか?」
「ああ。お前は化け物だ」
肺の空気が勢い良く飛び出した。委員長は、どうにか吹き出すのは免れたらしく、口に手を当てて小刻みに震えている。かわいい。
「お前さぁ。このタイミングでそれは卑怯だろぉ」
「他にふさわしい言葉が思い付かない」
「てかその理屈だとお前も化け物になるぞ?」
「俺は普通だよ。強くなっただけだ」
こいつめ。親友だからって調子乗ってんな?なろうって言ったのは俺だけども。
そんな何気ない?会話を続けるうちに、ようやく落ち着いたらしい委員長が戻ってきた。
「2人は仲良しなんだね」
「おうよ!なんたって親友だからな!」
「俺は個性を気にせず話せる相手が初めてだからかな」
「そっか・・・なんか、ごめんね・・・」
急にテンションが下がり俯く委員長。そこに人使が切り込む。勇者だな。
「いきなりどうした?」
「さっき話した噂のことなんだけど・・・2人が『夜な夜な女生徒を犯している』っていうのがあって・・・嘘だとは、思ったんだけど、その・・・あの日の事があったから、ちょっと、信じきれなくて・・・」
ばつが悪そうに話す委員長。委員長はあの日、短時間とはいえ自分の意思で体が動かせない、金縛りのような状態を経験している。
人使の洗脳にかかると、いつでも命令を受け付けられるようにするためそういう状態になるらしい。
うん。俺なら全力で疑うな。こればっかりは。
「しょうがないよ。でも大丈夫!人使はホモだからそんなことしないよな?」
「フォローしきれてないし新しい噂のタネになるからもっと言葉選べ」
「えっ・・・あの・・・ホモなの?」
「ごめん委員長。先に言ったのは俺なんだけどあえて言うよ。その単語は軽々しく口に出さない方がいい」
まさか聞き返されるとは思ってなかったから動揺しちゃったよ。
あれでも今の言い方だとつまりそっち系の知識があるということでそれがあるということは一般的な男女のそういう知識もあるということになり・・・いかん、急に委員長が色っぽく見えるようになっt
「大河」
危なかった。人使の呼び掛けがなかったら煩悩の渦に飲まれるところだった。
「そういうのはもう少し隠すべきだと思う」
「そういうの?どういうこと?」
あああ委員長の純粋な眼差しが痛いいいい!
「こいつが変態だってこと」
「おい待て語弊がありすぎる訂正しろ俺は健全だ」
「お前が健全だとすると俺が神仏か何かになっちゃうからお前は変態でいい」
ついてこれない委員長を置き去りにしてマシンガントークをしているうちに、授業開始5分前の予鈴が鳴った。
「お話しできて良かった。これからもよろしくね」
「「こちらこそよろしく」」
軽く会釈して席に戻る委員長の足取りが、俺の目にはなんだか嬉しそうに見えた。その姿を見届けた後、人使も委員長を見ていたことに気付く。
向こうも気付いていたようで目が合ってしまい、肩をすくめて苦笑いしつつ、それぞれの席へ戻った。
その日の帰りのHRに委員長から話があり、晴れて俺達はクラスメイトの誤解を解くことが出来た。
・・・2週間の溝が思ったより深く、全員と会話が出来るようになるまでに半年もかかったが。
「あの子が委員長でホントに良かったよなぁ」
「大河のせいで新たにホモ疑惑が浮上したけどな」
「あれは俺だけのせいじゃないぞ!・・・言い出しっぺは俺だけど」
委員長の話の中に「彼らはホモではありません!」とかいうよく分からない1文があったため、それまでの噂が消えた代わりに『あいつらはホモ』とかいう不名誉な噂が流れ出した。
2人でいることが比較的多いからか今でもその噂は受け継がれている。
「親友と駄弁ってるだけなんだけどなぁ」
「『親友』ってのも原因かもな。大体の人は友達って言うだろ?」
「でも俺らは親友じゃん?」
「大河が言い出したんだろ。まぁ俺も友達よりは親友の方がしっくりくるな」
中学入学からこれまでずっと同じクラスだったこともあり、俺達の仲は留まることなく深まっていた。
「んじゃ、また明日な」
「おう、お互い受験勉強頑張ろうな!」
人使の家に着き別れの挨拶を交わす。俺の家は、ここから1分ほど歩いた先にある。
「お前なら、いいヒーローになれるよ」
人使が家に入るのを確認してから、直接言うには少し気恥ずかしい台詞を呟き、家路を辿った。
やたら膨らんだ2人の馴れ初め
委員長はこの先出てこない予定なのであえて名前はつけませんでした
心操が化け物と言ったのは、人間は洗脳可→目の前の奴に洗脳がかからない→こいつは人間じゃない という思考からです
次はとりあえず実技試験のことでも書こうかなと思ってます