やや、納得のいっていない部分があるので書き直すかも知れません。
一応、流れは変える予定はないので、お楽しみください。
翌日。
本来ならば麗日家へ向けて出発する予定であった今日。
昨日、僕らが話し合いをしているうちに疲れていたのかリビングで爆睡していたかっちゃんとトガちゃんの要望によりもう一日お世話になることとした。
オールマイトと遊んでもらうなり、サインを貰うなりするつもりだったトガちゃんは明るくなった外を見て絶望した顔をしていたが、貰っておいたサインで一応大泣きするところを免れた。
が、沈んだ表情で床を眺める姿はやはりオールマイトに遊んでもらいたかったのだろう。
その様子を写真に収め、オールマイトへ送ると今夜も何事も無ければ来れるとのことなのでそれを伝えれば陽を浴びた向日葵の如く明るい笑顔が咲いた。
…この笑顔のために必ず来てください、オールマイト…。
「…デクくん…浮気せんよね…?」
「しないよ…お茶子さんに呆れられないように頑張らなきゃいけないんだからそんな暇ないよ?」
そう振り返りながら話し掛ければ、顔を背けられ、ブツブツと何事かを呟いていた。
辛うじて拾えた単語は『惚れた弱み』とかなんとか。
「いずく!もう準備出来たか!?昨日出来なかったから、これからやるぞ!師匠にも許してもらってるから裏行くぞ!」
バンッと勢いを付けて開かれた扉から顔だけ覗かせたかっちゃんはそれだけを捲し立てると足音を消した走りでそのまま階下へと駆けて行く。
「はは…本当に元気やね、爆豪くん…。昨日あんなにボロボロだったのに、一晩寝たらケロっとしちゃってさ」
「まぁ…子供だし回復力もあるんだよ、きっと。筋肉痛とかまだ無縁そうだし」
ダイニングの椅子から飛び降りると扉の方へと向かう僕。
「でく、あたしも行っていーい?」
そう後ろから声を掛けてきたのは、今の今までお茶子さんとお人形遊びに興じていたトガちゃんだ。
今まで持っていたウサギさんの耳を片手にぶら下げ、引き摺ったままこちらへ掛けてくる。
「え?別に良いけど、模擬戦闘だから見てても面白くないんじゃない?」
「爆発さん太郎がボコボコにやられるところが見たいです!」
そう言ってキラキラしたお目々をこちらに向けてくる。
何かのビームが発されているような気がするが、気のせいだろう。
「私も見たいし、一緒に行くよ!何かあれば私が助けられるしね!」
そう言ってクマさんを抱き抱えたお茶子さんはトガちゃんの隣に並び立つ。
二人セットで並ぶと天使度が増す気がして、心臓が跳ねたが顔に出さないよう尽力した。
…お茶子さんの顔が微妙に笑んだからバレバレかも知れない…。
「そ、それじゃあ、一緒に行こうか!」
「「うん(はい)!」」
言及されなかったし、これで誤魔化せたと思っておく。
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「やっと来たな、いずく!今日と言う今日は絶対一本取ってやるからな!!」
ビシッと音の出そうなほど勢いを付けて指を差すかっちゃん。
そうしてから、構えるそのポーズは以前の両手を見せ付けるような構えでなく、拳を握らないボクシングスタイルのようだ。
相対する僕は、手技への牽制のために、右を前に出すような半身を取り、右手を平手で構える。
「両者準備良いか。勝己は出久の体勢を崩せば勝ち。出久は5分耐え切れば勝ちとする。なお、出久は守りのみ、且つ個性の使用を禁ずる。それでは、始め!!」
グラントリノの号令を皮切りにかっちゃんは個性を使わずに真っ直ぐ駆けてきた。
立ち合いの距離は凡そ3m程だったが、それを数秒で食い潰した。
思いの外早い。
僕は個性を警戒して、振りかざされた右をケアするために直角方向へサイドステップ。
元の位置へと飛び込んできたかっちゃんとすれ違いざまに右足を軸に180度反転。
かっちゃんの真後ろを取ったところで右を振ったがために後ろへ回った左手を極めながら回転した勢いのまま足を払う。
走ってきた勢いがそのまま載っており、急に軸が無くなったため、空中へと回転しながら飛び出していくかっちゃん。
いつもなら、これで一本。
立ち上がるまで残心を保つ僕だが…。
二ヶ月の修行は伊達ではなかったらしい。
空中での制御を諦め、かっちゃんは片手で地面に接触。
その手を爆ぜた勢いを載せて高く跳躍。
空中で上下を反転させ、綺麗に足から着地した。
僕は思わずほぉ、と声が漏れ、目を大きく見開いていた。
最初の立ち合いよりやや開いた距離で相対するも刹那の後には直ぐにまた詰めてくる。
両手を使って身体を押し出す、高校時代に名付けられた、曰く『爆速ターボ』で先程より速度の載った攻撃をするようだ。
コレは選択肢が狭まる、ある種の悪手ではあるが、速度を生かすヒットアンドアウェイの戦法であれば十分に効果的である。
爆速ターボを続けながら、急加速した飛び蹴りを顔面目掛けて行ってくる。
顔面狙いなのはバレバレ過ぎて、避けるのも受けるのも思いのままだ。
右手の届く範囲に入った瞬間に手の甲を使って彼の身体を接触する範囲から弾き出した。
「チィッ!?これもダメか!?なら、これならどうだ!!」
直ぐ様反転し、片手のみの爆速ターボ。
回転を使って後ろ回し蹴りの様相になるものの、スウェーの要領で回避。
その後、回転の勢いのまま左手が顔面を襲うも、それを右手で捕まえ回すように上げる。
空いた左手で吊り上げた彼の腕の付け根を押してやれば、ストンと座り込むように身体が下へと崩れる。
「ほら、これで一本。でも、勝利条件は違うからね。まだ、時間はあるよ、かっちゃん」
そう言うと奥歯を噛み締め、その奥から唸り声が漏れ出す。
「クソ!!まだまだぁ!!」
闇雲に発せられた爆破を読んで、飛び退くとかっちゃんは、すぐに立ち上がる。
と思ったらしゃがみ込んだ?
「まだ完成してねぇが関係ねぇ!!全力で行くぞ!!」
そう言うと両足とも靴を脱ぎ捨て、履いていた靴下までも脱ぎ捨てた。
一体何を…?
そうしてから、かっちゃんはクラウチングスタート…いや、どちらかと言えば肉食獣の…虎やライオンを想起させる構えを取る。
…まさか!?
「…ふふ…やっぱりグラントリノに預けて正解だ…!!」
「行くぞ、いずく!!」
そう言うや否や、盛大な爆音を奏で僕へ向かってくるかっちゃん。
ミサイルの如く、真っ直ぐ向かってくるも、直前に左を爆発させ、飛び込む速度に切り揉み回転を付属させる。
そのまま、大振りの右を放つ彼の技は高校一年生の体育祭でお目見えしたかの必殺技を思い出させる。
「…もうここまで来たか…!!」
しかし、僕もタダではやられない。
飛び込みに合わせ、僕も間合いを詰める。
詰める勢いに任せて、かっちゃんに背を向け、右腕を脇の下を通すように上げる。
「ぐっ!?…ぬぉおお!?」
いきなり距離を詰められたからか、背を向けられたからかは解りかねるが、かっちゃんが呻く。
肩から伸びた彼の腕が大爆発を起こすが、左腕でそれを押さえつけ、反動で逃げられないように確保。
そのまま腰で打ち上げるようにして、爆炎の中へと彼を放り投げた。
黒煙で姿が見えないものの、警戒して二回バックステップ。
その煙の中で数度爆発が起きると上の方から黒煙が尾を引いたままかっちゃんが飛び出してきた。
両の手のひらを重ねて前に出し、開いた隙間で更に爆破。
コレも見たことがある。
所謂目潰しだ。
反射的に片目を閉じるも対応が遅れ、少しばかり目を焼かれた。
ぼんやりと視界の真ん中が暗く沈み、周囲のみしか確認出来ない。
音を頼るも目の前で爆風が閃き、身体が少し流される。
たたらを踏んで、数歩後ろに下がったところ、殺していた足音が砂を踏む音で聞こえた。
「うおおおお!!」
叫ぶことで彼の位置が丸分かりになった。
勿体無い。
正中線を大きく動かすように避けたところで、かっちゃんが突撃。
空を殴ったその腕を絡め取り、身体を回すように遠心力を加えて、地面へ引き倒す。
しかし、別のところからの爆発により、その状況が崩された。
倒される寸前に爆破の勢いを載せた
「そこまで!!」
そうグラントリノが宣言したところで模擬戦は終了。
やり直してからは初めてかっちゃんに白星が着いた。