納得の行く文で終わらせるのに手間取りました。
前回の疑問に対するアンサーにはなったと思いますが、後書きにて補足します。
「一泡吹かせてやったぞ、いずく!!」
ビシッと指差し勝ち誇るかっちゃん。
確かに条件の通り、体勢を崩されたので僕の負けだ。
ハーッハッハッハ!とオールマイトリスペクトな笑いを高らかに上げ、喜色を満面に映し出す。
しかし…
「調子に乗るな、と何度言えば分かるんじゃ勝己ぃ!!」
ジェットの噴射で飛び上がり、落ちる勢いにまでジェットを載せたグラントリノの無慈悲なストンピングがかっちゃんの無防備な顔面を襲う。
勢いそのままに叩き付けられたかっちゃんは、抗う間も無く意識を飛ばした。
「ああ!?かっちゃん!?」
「ふん、調子に乗られちゃ今後の修行に悪影響だ」
慌てて抱き上げるが、コブなどは出来ていないようなので、意識を刈るだけの技だったようだ。
ホッとするのも束の間。
外野にいた二人は口々に…
「チッ…不意打ちが上手くいったからって調子付きおって…」
「…さん太郎…ボロボロじゃないです…」
怖いよ…特にお茶子さん…。
「…起きたら次は私が行ってこようかな…」
全力で止めにかかった。
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「んあ…?」
ノートにいつものように書き物をしていると隣で大の字で寝ていたかっちゃんが目を覚ましたようだ。
「…あれ?…俺…いつのまに寝て…?あっ!?いずく!!さっきの勝負俺の勝ちだよな!!夢じゃないよな!!」
目覚めて数秒で状況把握。
しかし、夢との境界が分かってないようだ。
「うん。今回は負けたよ。凄いね、かっちゃん。
「へへん!どうよ!師匠が足の裏から吹き出すのなら俺はどうなのか、って試して出来たんだよ!」
「かっちゃんの個性はニトログリセリンみたいな汗だから、手のイメージが強かったけど、実際は全身の汗で出来るんだね…盲点だったなぁ…」
「まだ、手と違って他の場所だと皮膚が耐えきれないみたいでさ、三回もやると血だらけになっちゃうんだよなぁ」
「そこは修行、だね!何度も使ってればその内皮膚も硬く、厚くなるよ!!」
未来のかっちゃんが辿り着けなかった一つの分岐点。
掌だけでも十分に強かった彼が、その他に選択肢を得たらどうなるのか。
想像も付かない。
「あと、師匠みたいに足の裏を爆破させて俺も跳ぼうと思うんだけど、どうもバランスが取れなくてさ…」
「そこは回数を重ねてけばきっと出来るよ。何たってかっちゃんだもん」
「そ、そうか?いずくにそう言われると何か出来そうな気がしてきた!」
「うん。次はそれ込みで対策立てるから今日みたいな勝ちは無いと思ってね?」
「ぐっ…いずくのくせに…」
「いつも僕が勝ってるからね!」
数秒、渋面で互いに睨み合っているとどちらともなく笑い出す。
コレで良い。
コレが良い。
かつては辿れなかった、無個性だからヒーローに憧れててもなれるわけがない、と諦めていた自分では有り得なかったこの時間。
互いに切磋琢磨し合えるのは、本当に貴重で大切なことだったんだ。
暫くそうして笑い合っているとビルの方からお茶子さんに呼ばれる。
そろそろ麗日家へ出発する時間だ。
「いずく。次も負けねーぞ!」
「次も楽しみにしてるよ、かっちゃん」
そう言って、互いに拳を差し出すグータッチ。
教えたらカッコいいって理由でいつからかやるようになったそれ。
「じゃあね、かっちゃん」
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Side:Katsuki Bakugou
手を振って送り出す俺。
ビルの影からいずくと肉球女が見えなくなったところで手を下ろす。
下ろしたその手をじっと見て、今日の手応えを再確認した。
「…よし。よし、よしよしよぉぉぉし!!」
そう言って座った体勢から後ろにゴロリ。
腕をそのまま投げ出した。
「はー…。ようやく一歩。手加減してもらって、不意打ちしてようやく一勝。…幼馴染なのに…遠いなぁ…」
「喜んだり、落ち込んだり忙しい人ですね?」
「どわああああ!?」
突如掛かる声に驚きの余り飛び上がってしまった。
「て、てめぇイカレ女!?いつからそこにいたんだ!?」
「あなたが起きる前は出久くんとお話ししてましたよ?それとトガです」
木の影から顔だけ出してコチラを見てるイカレ女。
「爆発さん太郎…昨日の喧嘩で大体の強さが分かったと思ってましたけど、見直しました。凄かったですね、出久くんとの模擬戦」
「そう呼ぶな、って言ってんだろ」
「あたしもイカレ女って呼ばないで欲しいです」
「名前」
女と話したのは母ちゃんといずくの母ちゃん、幼稚園の先生、肉球女に次いで五人目かも知れない。
男と違って接し方が分からなかった。
「名前ですか?トガです」
「フルネームを聞いてんだよ。」
「人に名前を聞くなら自分から名乗るべきだってテレビで言ってたですよ?」
「ケッ…爆豪勝己。てめぇはよ?」
「渡我被身子、です。ひーちゃんって呼んでも良いですよ、かっちゃん」
「絶対呼ばない」
そう言って、建物に戻る。
そろそろ昼飯だ。
振り返れば、頬を膨らませたイカレ女。
今日はあのいずくに勝ったし気分もいい。
だから、気紛れにこう呼んだ。
「オラ、飯だから行くぞ、
そのまま気にせず歩き出せば、幾らかの間を置いてから、慌てて駆け寄ってくる。
「かっちゃん!?今なんて言いました!?聴き間違えじゃなければ、ヒイコって呼びませんでした!?ねえ、かっちゃん!?無視しないでかっちゃん!?かっちゃん!!」
「カッチャカッチャうっせぇなぁ!?」
そこから、また殴り合いの喧嘩に発展したため、師匠に落とされる羽目になった。
イカレ女はイカレ女でいいや、二度と呼ばない。
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「お茶子おおおお!!遅かったやないか、お茶子おおおお!!」
「ちょっ!?父ちゃん、うっさ!?どうしたん!?」
「お前、今日の朝帰ってくるって言ってたのに、もう日が暮れてるじゃないか!!」
「そんなん、昨日の内に母ちゃんに連絡したやん!!インコさんも一緒やし、危険は無いって言っとったやろ!!」
「仕事も手に付かへんから今日は休んだった!!」
「仕事増えて来てんのに何してんねん!!母ちゃんもなんか言ったってよ!!」
「いやぁ、父ちゃんな?なんも聞いてくれへんし、もう母ちゃん諦めててん」
「父ちゃん?いい加減にせんと、私もう帰らんよ?」
「父ちゃん!仕事行ってきます!!」
麗日家は今日も慌ただしい。
玄関口でのやり取りは、既に五度目の帰省にして、馴染みの物となっている。
毎回、予定日より遅れてしまっているので心配も
母さんと顔を合わせれば、同じような表情で乾いた笑いを吐いていた。
オールマイトに相談して、ヴィランによる破壊などで壊れた市街地の復旧や復興に協力する形で三重県界隈での仕事に顔を出せるようになった今、以前の苦慮も大きく改善された。
その上、仕事の早さや丁寧さの口コミが呼水になり、リピーターも着々と増えている。
昔、貧乏だって言ってた窮状は少しは良くなってきているようだ。
「全く…父ちゃんと来たら…」
「まぁ、娘さんを心配するのは当然だし、遅れたのは僕らなんだからしょうがないよ」
「そうは言っても毎度毎度仕事ほっぽってるんは許されんでしょ…」
「まぁ、それは
そう言うとお茶子さんが一瞬目を丸くして固まった。
次いで、ニンマリと意地悪い笑みを浮かべると…。
「
「うつった…?」
「デクくんが『
そう言われてようやく気付いた。
僕も気付かないうちに訛ってしまうのだろうか…?
でも…
「まぁ、一緒が増えるのは良いこと…かな?」
そうぽそりと呟くも隣の彼女には聞こえていたようで、静かに顔色を赤らめていた。
麗日家でエンド。
場面変更が多すぎて纏まらず、遅くなってしまい申し訳ありません。
前回、不意を打たれデクくんが負けてしまった理由は、個性成長の方向性が未来と異なる物があったからです。
グラントリノの個性ジェットは足の裏から吸い込んだ空気の噴出。
それを側で見ていたかっちゃんが、汗が爆発するなら手以外でも出来るのでは?と考え、個性が成長。
掌と違って回数制限付きですが、全身任意爆破可能と言う個性になりました。
その為、無理な姿勢から蹴り。
その蹴りに爆破の威力を上乗せしたので、勝利条件の『体勢を崩す』を満たした、と言う話の流れでした。
ここで補足するのは未熟ゆえと思うのが自論ですので、出来るだけこうならないように皆さんに文中にてご理解いただけるよう精進したいと思います。
次からは各所を回り、修行パートに参ります。
…なるべく場面移動なしに魅せられれば良いなぁ…。
あと、今回はかっちゃんに「カッチャカッチャ」言わせるのが目標でしたマル(小並感)