三代目や暗部達への説明会という名の尋問の場を、俺は全てエルフの剣士へと任せた。
勿論その場の状況によっては、デュエリストの力を証明する為に魔法カードやトラップカードの効果を見せるべく、回復アイテムや罠を精霊界から然も口寄せで呼び出したかのように偽り、その高く有用な効果を見せ付けたりしたのは言うまでもないだろう。
そうして三代目や暗部達は、エルフの剣士による話が終わると漸く精霊界の事とか精霊の事、そして勿論俺の力であるデュエリストという名の血継限界の事も信じてくれるようになった。
この夜明けと同時に始まった説明会は、昼を過ぎても続いていたので、終わった頃には酷く疲労感が襲ってくる始末だった。
━━腹減ったし疲れた……。肉体的には兎も角、精神的に疲れたな。
説明会が終わると母が昼食を用意し、何故かこの居間が今回の騒動の対策本部と化した場所で、不釣り合いな様子で食事を摂り始める俺達家族と三代目や暗部達。
一口おかずを口に含めば誰か知らない忍者達が三代目へと何やら報告して出て行き、そして白米を口に含めば再び新たな忍者達が何やら三代目へと報告して出て行き、それがひっきりなしに続いた。
そんな慌ただしく入れ替わる忍者達の中、知っている忍者もチラホラと居て少し驚く。
紅上忍、アスマ上忍、それにコピー忍者として有名なカカシ上忍等々と、原作でも登場した人物達と続々遭遇しつつ、勿論それ以外の忍者とも遭遇。
その時の忍者さん達の全員が、何故火影室ではなく此処なのかと、そして何故普通に俺みたいなガキが居るのかと、そんな風に思い疑問げな表情を浮かべていた。
それは仕方ないと俺も思うが、あまり俺という存在は気にしないでもらえたら幸いである。
変に目立つのはよろしくないし、場違いなのは自分自身が一番理解しているので皆さんには察して欲しい。
そうして慌ただしくも忙しない時間が暫く続いた後、夕方頃になって三代目は暗部達を此処に残して帰って行った。
多分、フガク夫妻の護衛という名目であり、実質は監視なのだと察せられる。
フガクは平和的な解決を求めていたが、それでもうちは一族の長としてクーデターを企む者達の纏め役をしていた事もあって、やはり対外的な意味合いもあって監視してますよという姿勢を見せる為には必要な処置なのだろう。
少し世知辛いと思う俺は、きっと甘いのだろうな。
こういう処置を三代目は取れるのなら、最初からやっておけよと言いたくなる。
ともあれ、今回は自分なりに考えると最低限の事は出来たんじゃなかろうかと思う。
サスケの為にはフガク夫妻………と言うよりは、奥さんはクーデターに深くまで関わっていないからフガクさんからになるものの、目が覚めたフガクさんがサスケへと真実を話してくれれば万事うまくいくって考えて間違いないと思う。
今のサスケなら突飛な考えに至らないだろうし、闇落ちとかは考えなくて良い筈だ。
そう考えるとガクッとくるものがあったのか、抗いがたい眠気が唐突に襲ってきて、俺は堪らず暗部達の目の前で横になった。
すると召喚していたエルフの剣士がニコリと微笑みを浮かべて近付いて来て、自身のマントを外して俺へと掛けてくれる。
「ありがとう」
「いえ、当然の事で御座います」
まるで執事もかくやと言った雰囲気でかいがいしく世話をしてくるエルフの剣士に礼を述べると、その時ふと思った。
━━いつまで居るんだろう?
俺が召喚しといて疑問に思うのも何なのだが、やはり深夜12時を回る時までは召喚されっぱなしなのかもしれない。
三代目達への説明の為に召喚したが、それが終わり暇になったエルフの剣士には申し訳ない。
━━今寝ると昼夜逆転するし、エルフの剣士と修行してみようかな?
ポンと思い付いた事なのだが、それが以外にも妙案に思えなくもない。
エルフと言えばやはり弓って感じで有名なので、そこは勿論使えるだろう。
弓の師匠として的確な人物かもしれない。
少し考え始めると全てが適切な事のように思えて、俺は素早い動作で起き上がるとエルフの剣士を伴って庭に出て、予備の弓と自分の弓を倉庫から取り出して準備した。
そしてエルフの剣士に笑顔を浮かべつつ予備の弓を手渡すと、それを自信がありそうな笑みで受け取ってくれる。
「弓を自分なりに練習してるんだけど、教えてくれる人がいないんだ。弓は出来る? 出来るなら教えて欲しいんだけど」
「お任せ下さい」
突如俺がエルフの剣士を伴って庭へと出たのを不思議に思った暗部数名が見守る中、エルフの剣士は弓を構えると矢を三本も手に持って全部を番え、標的である木材に向けて一度に三本を放つ。
それにギョッとする俺を置き去りに、矢は三本全てが的へと命中した。しかも命中した矢は深々と刺さっており、とても俺が使用している弓と同じ出来の物の結果とは思えない。
因みに、暗部達は心底感心したように「ほぉ」と声を漏らしている。
やっぱりクナイや手裏剣は使用する事がある忍者だが、遠距離用の弓を使用する者が居ないからこそ驚いたのだろう。
「スッゲェ………!」
「こんな事が出来るようになる為には、まずは素早く連射出来るようになるのが肝要です。故に、一本ずつ正確に、しかし出来る限り素早く矢を番えて放つ訓練をすべきでしょう」
何でも無いかのように、そして然も当然かのように告げたエルフの剣士に呆然となってしまう俺。
そんな俺を見てクスッと笑うエルフの剣士は、更に言葉を続ける。
「さぁ、我が君。まずは準備運動も兼ねて一本を」
「そ、そうだね」
「焦らず訓練するのが弓です。じっくりと取り組みましょう」
爽やかな笑みと共に促すエルフの剣士に従い、俺は弓を構えて矢を一本番えると勢い良く放つ。
そして放たれた矢は的から十センチ離れた地面へと突き刺さり、少し物悲しい雰囲気が漂った。
だがこれでもかなり上手くなった方で、今回は外れたがいつもは十本中七本は命中させていたりする。
しかしそれを知らない暗部達は「ブフッ」と笑いを堪える始末で、俺としては居たたまれない。
「少し構えが悪いですね。左肘が下がっているので、それを少し修正すれば良いでしょう」
イケメンエルフは、俺の失敗を笑う事もなく指摘してくれるが、それが却って悲しくなるという事を知って欲しい。
そう思いつつも、折角教えて貰ってるし、尚且つ俺は教えて貰う立場なのだから何も言わず指摘通りに弓を構え、新たな矢を番えると勢い良く放つ。
するとその矢は見事的に命中。しかも、俺が今まで放った時より遥かに感覚が違うと思える程に易々と矢を射れたような気がした。
それを感じて少し呆気にとられていると、エルフの剣士は小さく拍手をしながら誉めてくれる。
「一度の助言で完璧に修正されていました。流石ですね、日々の修練が窺い知れます」
「え、あ、うん。ありがとう」
「さぁ、次々にいきましょう」
少し照れながら俺が返答すると、そこから促され次の矢を放つ。
そうしてエルフの剣士によるブートキャンプは、何と夕御飯が出来るまで続き、俺はひたすら矢を放ち続けたのだ。
中盤からは拷問としか思えなかったものの、爽やかな笑みを浮かべるエルフの剣士が、何故か爽やか笑みを浮かべているものの俺には鬼のように思えて何も言えず、粛々と指示に従って矢を放つという地獄のような時間だった。
俺としてはもう二度とエルフの剣士と二人きりではやらないと言わざるを得ないだろう。
教師としては大変優秀なのは認めるところだが、ストッパーとなる誰かを召喚しなければ延々とさせられるので、クリボー的な奴とかを一緒に召喚しようと心に決めた。
次からはかなり遅めの更新になりまーす!
ノンビリお待ち下さーい!