今は筆の調子が良いので6話までは書いてますが、その先は分からないので更新が続くかどうかは期待しないで下さい。
ナルトと偶然遭遇してから早くも二週間が経過した現在、俺は相変わらずの日常を過ごしている。
とは言え、毎朝のトレーニングには知り合ったばかりのナルトも加わる事になった。
何故朝のトレーニングだけなのかと言うと、午後のトレーニングである座禅がナルトからするとつまらなかったらしく、大層お気に召さなかったからだ。
子供なら当然と言えば当然なのだろうが、体を動かすのは好ましくても、動かずジッとするというのは無理のようだった。
ともあれ、毎日のトレーニングに道連れが出来たし、俺としては充分満足である。
それに、原作のナルトよりも強くなる可能性もあるだろうし、一石二鳥とは正にこの事だ。
ただし、懸念事項が新たに生まれてしまった。
あのナルトとの初遭遇の後、俺はナルトを両親に引き合わせた。
すると、両親は良い顔をしなかった。
当然で必然だと言えるだろう。
何故なら、両親が愛情込めて育ていた愛すべき兄ムジロは、ナルトの中に封印された九尾によって殺されたのだから。
しかし、それはあくまでも九尾がやった事。しかも写輪眼で無理矢理やらされた事なのだ。
それ故、ナルトには無関係の事柄である。
だがそれを両親は知らないし、前者の部分でも充分怒りを持っていて当たり前だと言えるので、両親としてはナルトを目前にして好意的な目で見れる訳も無かった。
だからこその初対面時の反応となるのだが、俺はナルトを家に上げ居間で寛いでいるように言い付けると、俺は両親を伴って寝室へと移動して「ナルトはナルト、九尾は九尾。ナルトと九尾は別物だよ」と、そう発言した。
すると当然、人柱力の事など里では禁句になっているのに何故俺が知っているのかと、両親は口にはしないが猛烈に困惑していた。
里内でナルトが人柱力であるのを知っているのは、中忍以上の者、そして九尾が暴走した時に成人していた大人達だけなのだから、俺が知っているのが分かって困惑するのは当然だ。
でも俺はそれには触れず、「ナルトが大勢の人達から罵詈雑言を浴びているのを見た。大人達の顔は、とても見ていられない程に醜かった」と、そう困惑する両親に向かって告げると何も言わず辛そうな表情に変化した。
それを見て俺は、両親も本心では理解しているのだろうと、そう悟った。
だからこそまだ言うべきだと思い、俺は更に言葉を紡ぐ。
「ナルトは英雄だよ。ナルトが器になったから、だから僕達は今も生きてられる。四代目もきっとそう考えればこそ、ナルトを器にしたんだよ。でなきゃ自分の子供を器になんてしない」と、出来るだけ優しい口調を意識して両親へと自分の考えを述べた。
すると両親は、驚愕と困惑がない交ぜになった表情を俺に向け、小さく「四代目の………?」と呟いた。
驚愕は四代目の息子がナルトという事に対してで、困惑は上忍である自分達ですら知らない事を何故五歳児の俺が知っているのかという事なのは明白。
だけど俺は、何故俺が知る術も無い事実を知っているのかという疑問には一切答えず、「ナルトに対して優しくして何て、そんな事を言うつもりは無いよ。でも、お父さんとお母さんには里の皆みたいに最低な人達にはならないで欲しい」と、そんな風に一方的に告げた。
そうして俺は会話を切り上げ、居間で心細くジッと待っていたナルトの隣に座り、トレーニングに参加しないかと持ち掛けたのだ。
それから二週間、両親はナルトを見ても冷たい眼差しをする事は一度として無かったものの、俺には問い掛けたいが問い掛けて良いものかと躊躇っているのが現在で、俺としては言い訳が思い付かず黙し続けている。
流石に居たたまれない。
大きな溜め息が座禅をしている自分の口から知らず知らず出てしまい、咄嗟にその溜め息を吐いた姿を見られていないかと同じ居間に居る両親へと視線を向ける。
すると、少し滑稽だがキョトンとした表情の両親とバッチリ視線が合ってしまう。
「どうかしたのか?」
「ゲンセイ、何か聞きたい事でもあるの?」
ピンクの頭髪の父親と黒い頭髪の母親は、俺の懸念とは別に微笑ましいと言いたげな表情で尋ねてきた。
その表情を見せられた俺の立場からすると、居たたまれないと思っていた俺の心にクリーンヒットするものがあり、余計に罪悪感が増してくる。
今は四代目の事は追及するつもりが無いようだが、再び疑問が脳裏を過った時は疑問の眼差しを向けられるだろう。
━━これはもう早めに話した方が得策なのでは?
上手い言い訳は思い付いていないが、俺の能力を暴露すれば辻褄も合う。
出来るだけ話さない方が無難だというのは理解しているのだが、両親なら口止めをすればきっと第三者に話さないだろうし、そう考えると話す方が良いような気もする。
能力を使用する時のアドバイスも貰えるかもしれないし、味方になってもくれるだろうし。
そんな風に考えつつ両親の顔を見つめ、俺は意を決して口を開く。
「何で僕が九尾の事を知っていたのか、そして何で上忍のお父さんとお母さんが知らないナルトの父親の事を知っていたのか………それを今から説明しようと思うんだ」
俺がそう告げると、両親の表情は一変。
両親が生唾を飲み込む音が、静かな居間に響く。
「僕が知り得る筈の無い事実を知っている理由は、見聞きしたからだよ。ナルトの中に封印される九尾の姿も見たし、ナルトの父親である四代目と母親であるうずまきクシナさんが、泣きながら最後の言葉を息子であるナルトに伝えているのを見たからなんだ」
再び生唾を飲み込む音が、静かで緊張感漂う居間に響いた。
そして数拍の後、父親であるムゲンが信じられないと言いたげに口を開く。
「そ、そんな筈は無い。あの災厄の日、確かにお前は存在していたが………しかし、お前は零歳の赤子だったんだぞ」
「その通りよ。あなたは歩く事はおろか、寝返りさえ満足に出来なかったのよ?」
父親のムゲンに続いて、母親であるミルが続けて言葉を発した。
二人の表情は真剣そのもので、まるで俺を窘めるような口調だ。
「うん、確かにお父さんとお母さんの言う通りだ。でも、僕は実際に見聞きしてるんだよ。ナルトに九尾が封印されたあの場所に、僕は居なくても僕の目と耳の代わりになる僕の
「「代わりに………!?」」
話の内容に驚愕し目を見開く二人に向かって、俺は指を鳴らすと同時にデュエルモンスターズで最もポピュラーなモンスターを呼び出す。
パチンと響く音が木霊し、その次の瞬間にはテーブルの上に攻撃力300・守備力200のクリボーが音も無く姿を現した。
丸々っとした体型と同じく丸々とした目が特徴で、ステータスとは裏腹に非常に役立つ効果を持つ事で有名なモンスター。
実はこのモンスター、攻撃力から分かる通り、ナルトに出会った日まではとても召喚出来ないモンスターだったのだが、何故かナルトと遭遇した次の日に上限だった155という数値が倍近くも上昇して、俺自身も理由は不明だが何故か召喚出来るようになっていた。
ナルトと遭遇した次の日の朝、目が覚めた瞬間その事実を感覚で理解して、困惑しつつも嬉しくて色々な感情が混ざり、喜んで良いのか悩めば良いのか困った事を覚えている。
ともあれ、愛らしくもこの世界には存在しない生物を目前にした両親は、流石は上忍と思える素早い動作で身構えた。
しかもどこから出したのか、両親二人の右手にはクナイが妖しくも不穏な光を放っている。
「この子の名前はクリボー。僕の言う事を聞く
「クリクリ〜」
大丈夫だよ〜と両親へと告げているのか、クリボーは俺の発言の後に両親に向かってつぶらな瞳を見せつつ鳴いた。
正直言うと俺も初めてモンスターを召喚したのでビビっているが、ここは毅然とした態度で居るのを心掛けなければならない。
そんな俺の態度を見て、両親は警戒を解いて少しクリボーから距離を取りつつ、俺へと近付くとクリボーと俺の間に入ってきた。
多分、俺を守ろうとしてくれているのだろうが、俺の力で召喚したので大丈夫な筈だ。
「こ、これは口寄せなの?」
「いや、ゲンセイは口寄せの印を結ぶどころか、指を鳴らしただけだ。それでは口寄せなど出来んし、何より口寄せは契約しなければ絶対に出来ない類いだ」
「そう、そうだったわね。でも、それならどうしてゲンセイが口寄せに似た術を使えるというの?」
両親二人共に上忍なのだから、それぞれが互いに口寄せについての知識が深くて当然。
その一方で俺はというと、原作で描写された部分しか知らないので深くまでは分からない。
だが、ナルトが口寄せ契約を結ぶ瞬間の描写を見ていたので、その部分だけは理解出来る。
だから訳知り顔で小さく何度も頷いていると、両親は俺へと視線を向けてきた。
「この……クリボーってのは、どうやって口寄せしたんだ?」
「いえそれよりも、口寄せ契約をいつどこで結んだの?」
「この子は口寄せで呼んだ訳じゃないよ。それに、僕は口寄せ契約をした事なんてないし、赤ん坊だった僕が契約出来る訳がそもそもあり得ないよ」
俺の言葉を聞いて、二人共に「確かに」と呟きながら頷く両親。
俺は更に言葉を続けて説明する。
「クリボーは精霊っていう種族なんだよ。それで、精霊は精霊界って場所で暮らしてるんだけど、僕はその精霊界に住むクリボーや他の精霊をこの世界に呼び出せるんだ」
精霊、精霊界というワードを聞いた両親の脳内では、きっと疑問符が大量に浮かんでいるのだろう。
それ故に本気で意味が分からないと言いたげに渋面を浮かべ、二人共に首を傾げている。
そんな二人の反応が少し面白くて、俺はちょっと笑いながら尚も説明を続ける。
「精霊界っていうのは、この世界とは別次元の世界の事だよ。そして精霊っていうのは、生物とは少し違う超常の存在って意味なんだ」
「「な、なるほど………?」」
十全に理解した訳ではないが、それでも多少は理解したのだろう。
二人の表情は先程浮かべていた渋面とは違って、今は分かるような分からないような、とそんな感じの表情に変化している。
「僕はこのクリボーの目や耳を通して、遠く離れた場所でもクリボーが見聞きしたものを自分で見聞きするかのように見て聞く事が出来るんだ。だから四代目がナルトに九尾を封印する際、僕は呼び出したクリボーによってその時の様子を知る事が出来たんだよ」
「……そういう事だったのか」
「まるで口寄せのようでいて、血継限界のようでもあるのね」
どうやらこの説明で納得してくれたのか、両親二人は心底感心したように大きく頷いた。
それにホッとした俺は、呼び出してずっと放置しっぱなしのクリボーを撫でて内心でお礼を述べる。
━━クリボーのお陰で上手く誤魔化せたよ。ありがとう。
「クリクリ〜」
まるでクリボーが「どういたしまして」と、そんな風に愛らしい姿で言っているような気がした。